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第62回独立行政法人評価制度委員会評価部会 議事録

日時

令和6年2月15日(木)17:05~18:00

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)原田久評価部会長、浜野京評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)谷口管理官ほか

議事

 中(長)期目標の変更について(諮問案件)
 役員の業績勘案率の点検結果について【非公開】

配布資料

 資料1-1 目標の変更関係資料(内閣府:(研)日本医療研究開発機構)
 資料1-2 目標の変更関係資料(外務省:(中)国際交流基金)
 資料1-3 目標の変更関係資料(文部科学省:(研)量子科学技術研究開発機構)
 資料1-4 目標の変更関係資料(文部科学省:(研)日本原子力研究開発機構)
 資料1-5 目標の変更関係資料(文部科学省:(研)宇宙航空研究開発機構)
 資料1-6 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立がん研究センター)
 資料1-7 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立循環器病研究センター)
 資料1-8 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立精神・神経医療研究センター)
 資料1-9 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立国際医療研究センター)
 資料1-10 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立成育医療研究センター)
 資料1-11 目標の変更関係資料(厚生労働省:(研)国立長寿医療研究センター)
 資料2 役員の業績勘案率の点検結果【非公開】

議事録

【原田評価部会長】  それでは、ただいまから第62回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
 委員会に引き続き、傍聴者には、会議の模様をオンラインで中継しております。
 それではまず、議題1各府省から諮問のあった11法人の「中(長)期目標の変更について」でございます。事務局から説明よろしくお願いいたします。
【越尾管理官】  内閣府担当管理官の越尾でございます。
 私からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の中長期目標の変更につきまして、御説明をさせていただきます。
 主な変更内容といたしましては、大学発医療系スタートアップの支援に関する業務追加というものでございます。
 新たな感染症に対するワクチンの開発やバイオ医薬品など、革新的な医薬品、医療機器の開発等におきまして、大学発医療系スタートアップは欠かせない存在となっておりますが、諸外国に比べ、日本では、こうしたスタートアップの数が少ないという状況でございます。アカデミア発のシーズの研究開発に関しましては、これまでもAMEDにおいて、橋渡し研究プログラムを実施しておりまして、医学的研究を行う10の大学や国立がん研究センターから成る橋渡し研究支援機関を通じまして、基礎研究から実用化まで一貫した支援を行ってきたところでございます。
 しかしながら、これまでの同プログラムは、スタートアップに対する支援がない、あるいは十分ではなく、起業前後の段階において実用化に向けて薬事規制対応などが必要な医療分野に特化した事業化支援など喫緊の対応が必要であることや、令和5年11月2日に閣議決定されました「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージ向けて~」におきまして、国内の優れた研究シーズを生かし、健康医療等の分野における研究開発・拠点整備・人材育成等を通じてスタートアップを支援するとされましたことを踏まえ、令和5年度の補正予算に計上された大学発医療系スタートアップ支援プログラムによりまして、AMEDの革新的研究開発推進基金、こちらの既存の基金に補正で152億円を積み増しまして、新たに橋渡し研究支援機関を通じた医療系スタートアップに特化した支援を講ずるということにされました。この新しいプログラムでは、橋渡し研究支援機関の中から選抜された大学等の機関に対しまして、AMEDがスタートアップを支援するために必要となる体制整備のための費用支援を行うとともに、研究費の支援も行い、当該支援を受けた機関は、専門人材の確保など、必要な体制を整えた上で、起業を目指す若手研究人材やスタートアップを介して医薬品等の実用化を目指す課題に対して伴走支援や研究費の支援等を実施するということを予定しております。こうした業務の追加を受けまして、AMEDの中長期目標中、既存の基金事業の項目に加えまして、大学発医療系スタートアップ支援プログラムに係る項目を加えるというものでございます。
 私からの御説明は以上です。
【原田評価部会長】  では、続けてください。
【佐藤管理官】  続きまして、国際交流基金(JF)の中期目標の変更について御説明申し上げます。外務省担当の佐藤と申します。
 令和5年は日ASEANの友好協力50周年の節目ということでございまして、日ASEANの首脳会議や外相会議が幾つも開かれておりました。そこで、文化のWAという事業を引き続きやっていこうということが合意されております。
 日ASEAN首脳会議議長声明において、文化のWAの延長を期待すること、それから、特別首脳会議において、JFの「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」を通じて人的交流促進を進めていくということが合意されております。
 文化のWAの「WA」というのは、日本語の漢字の3つの意味だということでございまして、1つは平和の和、もう一つは環境の環の字の環、それからもう一つは車輪の輪の字の輪、そのWAを深めていこうということでございます。その最初の文化のWAというのが2014年から始まっており、これが終わっておりますので、これから10年かけて文化のWA2.0をやるということでございます。
 令和5年度の補正予算において、この法人が管理する基金に400億円が予算措置されております。これに伴いまして、中期目標に関連の指標を盛り込むということでございます。
 この文化のWAの中身につきましては、(1)双方向の知的・文化交流事業ということで、大学での共同研究、初等・中等教育機関の教師を招いて交流をすること、それから美術等の分野での人的ネットワークを掲げていこうということでございます。
 もう一つの柱は(2)日本語パートナーズ事業ということで、日本人の日本語話者を現地に派遣いたしまして、現地で行われている事業のアシスタントをやるというものでございます。これは今までも行っておりますが、引き続きやるということでございます。また、日本語パートナーズの受け入れ先の先生方や学習者を日本に呼び研修するといったことでございます。
 JFの事業は、文化芸術交流事業と日本語教育、それから国際対話・ネットワークという3本柱がございます。文化のWA2.0の事業はだいたいこの中に入っておりまして、目標そのものは変わらないわけですけれども、それを測る指標を今回追加するといったものでございます。
 一つ御紹介いたしますと、文化のWA2.0を実施する中高教員交流プログラム参加校の教師の招へい・交流につきまして、何人招へいしたかというだけではなく、それに伴い、日本関連の授業・講座を継続的に実施している学校数を増やしていこうといった指標を盛り込むというものでございます。
 以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 続いて、文部科学省3法人、お願いいたします。
【川口管理官】  文部科学省担当管理官の川口でございます。
 文部科学省関係では3法人分の目標変更がございます。
 まず、量子科学技術研究開発機構(QST)、そして日本原子力研究開発機構(JAEA)について御説明を申し上げます。
 「次世代放射光施設」(「NanoTerasu」)につきましては、平成31年度から施設整備に着手しておりましたけれども、昨年5月に「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(改正共用促進法)が成立いたしまして、この法律の中の特定先端大型研究施設に「NanoTerasu」が追加されることとなりました。それとともに、その共用部分を研究者等の共用に供する業務をQSTに行わせることとされました。
 共用施設の利用開始は、令和7年、2025年3月からとなりますが、改正共用促進法につきましては、令和6年4月1日に施行されますので、それに合わせて、今般、中長期目標を変更するものでございます。
 JAEAの中長期目標につきましては、改正共用促進法の施行により生ずる項ずれを反映させるための形式的な変更ということでございます。
 次に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)についてでございます。
 変更内容につきましては3点ございます。まず1点目でございます。JAXA法におきまして、JAXAの中長期目標の策定変更は、「宇宙基本計画」に基づかねばならないとされていることから、令和5年6月に改定された「宇宙基本計画」に合わせて、中長期目標の変更を行うものでございます。
 2点目でございます。「宇宙基本計画」の改定等に伴いJAXA法が改正をされ、宇宙空間を利用した事業の実施を目的として、民間事業者等が行う先端的な研究開発に対する助成を行うこととされました。それによりまして、JAXAに当該業務が追加されるとともに、助成を行うための基金をJAXAに設けることとされたため、中長期目標に関連する記載を追加するものでございます。令和5年の補正予算によりまして、3,000億円の基金が積まれております。
 さらに3点目でございます。宇宙政策の目標達成に向けたプロジェクトのさらなる効果的な実施のため、令和4年度実績評価書の大臣評価において、改善を要するとされた内部統制の重要事項等につきまして、併せて中長期目標に関連する記載を追加するものでございます。
 以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 続いて、厚生労働省の6法人についてよろしくお願いします。
【辻管理官】  厚生労働省担当の辻です。ナショナルセンター(NC)6法人についての御説明をさせていただきます。
 変更内容は大きく分けて2点ございます。1点目が、国立成育医療研究センターについてですが、女性の健康に関するナショナルセンター機能を追加するというもの、2点目が、6つの法人全てですけれども、医療DXの取組を明確化するというものでございます。
 まず1点目につきまして御説明します。
 女性の心身の状態が年代によって大きく変化するという特性を踏まえまして、性差医療の視点も持ちつつ、長期的・継続的かつ包括的な観点に立って健康増進を支援するということが必要だという基本的な考え方に基づきまして、令和5年12月に「こども未来戦略」において女性が妊娠前から妊娠・出産後まで健康で活躍できるように、国立成育医療研究センターに女性の健康に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究や妊娠前の健康管理、これはプレコンセプションケアと言われますけれども、こういったものを含む成育医療の提供に関する研究を進めていくこととされました。これを踏まえまして、同法人の中長期目標に該当の記述を加えるというものでございます。
 2点目は、医療DXの取組の明確化でございます。
 医療DXは、政府全体としての重要課題であり、要すれば、医療分野でのDXを通じたサービスの効率化及び質の向上の実現を通じて国民の保健医療の向上を図るというものでございます。このための基盤を整備する中で、NC6法人においても、電子処方箋や医療扶助のオンライン資格確認対応などの取組に率先して取り組む必要がありますので、各法人の中長期目標に明示的に記載するものでございます。
 また、この趣旨の記載につきましては、先日来、御議論いただきました病院関係の3法人の次期中期目標案においても同様の記載をさせていただいているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明につきまして、御意見などございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
 なお、改めてお伝えさせていただきますが、本議論においては、各省が法律や閣議決定等でやろうとしている政策内容に照らして、目標や指標が適切に変更されているのか、という観点を中心に御意見を賜りたいと存じます。
 金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  ありがとうございます。
 2点お伺いします。まず、JFは海外における日本語教育や、国際対話・ネットワーク形成の推進を掲げていらっしゃるところ、文部科学省でGIGAスクール構想の下、1人1台のITデバイスが小・中学校、高校にも配布され、教育現場でも、ITの利活用が相当進んできたなという印象を持っています。
 目標に掲げていらっしゃる日本語教育や国際対話は、ITの利活用が非常に重要になってくると思うのですが、目標の中に、具体的にITといった言葉が出てきてないのですけれども、日本語を学ぶためのIT教材の開発や、そういうもののあっせん、あるいは国際対話・ネットワーク形成のために、具体的に日本と諸外国を結んで、何かミーティングをやるといったことに対するアクションは、もうされているのかどうか、少しお聞きしたいなと思っております。
 もう一つは、NC6法人について、医療DXと絡めて、情報セキュリティの確保は重要だと思います。特に個人情報として、個人の財産、出自、それに並んで健康情報は非常に重要だと思いますが、昔よりは改善されたと思うものの、実態として、患者個人の病的な履歴といった情報を重要視しておらず、公開しても良いというような形で考えていらっしゃる医療関係者は、特に地方では、まだまだ多い印象を持っております。個人の就業、その他保険においても、どういう病気にかかっているかといったヘルスに関する情報とは、今後ますますセンシティブになっていくと思うのですが、情報セキュリティの確保をどういう形で、NC6法人共通として目標に取り入れていこうとされているのかということについて少し教えていただければなと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。
【佐藤管理官】  御指摘ありがとうございます。
 JFについて、オンラインの活用に関しては、前回、この目標を策定するときにもそのような御指摘があったところ、例えば、目標中、「(イ.日本語教授法及び日本語学習者の能力評価の充実並びにオンライン日本語学習プラットフォームの提供関連の指標)」において、オンライン日本語学習プラットフォームの構築と記載があるように、この法人としてITを活用するということについては既存の目標に書いてあります。今回の目標変更は、日本文化のWAの事業を継続して行っていく上での目標ということでして、当然、その中では、ITを使い、法人がベースとしてやっているような取組を行いながら、そういった事業を進めるということになると思います。
 また、コロナ禍で、JFの事業の実施が難しくなった時期において、リモートを活用した様々な方法についてノウハウを蓄積したとのことで、今後、それも活用していくと聞いております。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 続いていかがでしょう。
【辻管理官】  厚生労働省担当、辻でございます。
 金岡委員御指摘の点については、今後さらに注意していくべき課題だと認識をしているところでございます。
 医療DXに関する個人情報の取扱いや情報セキュリティ確保に関しましては、昨年5月に改定された厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」において、診療情報をはじめとする個人情報の適切な取扱いや、医療情報システムの安全管理のための情報セキュリティ対策を確保するよう示されています。一方で、そのガイドラインがきちんと現場医療機関で守られているかどうかという点は、また別の課題だと考えられるため、今この瞬間にそのガイドラインが守られているかどうかということまでお答えできる状態にありませんけれども、いずれにしても、このガイドライン等に基づいて、各医療機関において医療情報システムの安全管理の実効性を高めていただくということになっているという状態ではございます。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【原田評価部会長】  医療DXに取り組む厚生労働省所管の法人は、NC6法人だけに限りませんので、ぜひ、今の金岡委員の御指摘の観点から、目標案をお互いに点検してみるということも必要かなと思いました。ありがとうございました。
 それでは、横田専門委員、どうぞ。
【横田専門委員】  ありがとうございます。私からはAMEDに関して意見申し上げたいと思います。
 大学発の医療系スタートアップということで、モニタリング指標を拝見していて、適切な指標ではあると思っていますが、危惧するところが1点ございます。
 科学技術振興機構(JST)でも、大学発スタートアップの8つのプラットフォームが立ち上がっており、そのうち1つか2つのプラットフォームが医療系に関するものとなっております。そういった観点では、同じ目標を持ち、両法人の対象となる大学が競合するような状況も発生し得ると考えておりまして、それぞれうまく連携、あるいはすみ分けをしていく必要があると思いました。
 以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 JSTとの関係も含めていかがでしょうか。
【越尾管理官】  AMEDから御説明させていただきます。
 横田専門委員、ありがとうございました。これは法人もさることながら、主務省の連携が極めて重要だと思っております。JSTとAMEDは実際、文部科学省内での担当課が分かれているという状況がございます。所管課が分かれているからといって、ばらばらとやっているということがあってはいけませんので、主務省の中でよく連携をして取り組むようにということはしっかり申し伝えるようにしたいと思います。
 以上でございます。
【原田評価部会長】  ぜひ、その点、主務省にしっかり伝えていただき、委員会でも、評価をするときに、その点、気をつけておきたいと思います。ありがとうございました。
 目標案そのもの、指標等については、このように変えたらどうかというところまでの議論はなかったと承知をしております。そのため、本件の11法人の目標変更につきましては、意見なしとさせていただくことで御意義ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任させていただきます。
 続きまして、議題2「役員の業績勘案率の点検結果について」、審議を行いたいと存じます。
 本議題につきましては、資料に個人情報が含まれることから、会議及び資料は非公開といたします。そのため、傍聴者への中継はここまでとさせていただきたいと思います。
(傍聴者退室)
【原田評価部会長】  よろしいでしょうか。
 本日は、前回1月25日の評価部会において継続審議となった、勤労者退職金共済機構の1件について御議論いただければと思います。
 それでは、まず事務局から説明をお願いします。
【谷口管理官】  それでは、御説明いたします。
 前回の評価部会におきまして、多くの委員の皆様から、年度評価等の組織としての実績に表れない、元理事長個人の貢献について、資料の内容だけでは判断できないとの御意見等を頂きました。それを踏まえまして、主務省である厚生労働省に、元理事長が個人の見識、人脈を生かし、いかに組織に対して貢献されたかを中心に聞き取った内容について整理させていただきました。
 それでは、具体的な元理事長個人の貢献について御説明申し上げます。
 一つめは、「(1)民間企業役員経歴を踏まえたリスク管理に関する指導・助言」についてでございます。
 元理事長が着任以前の組織体制におきましては、法人を取り巻く状況を踏まえたリスクを分析し、適切にマネジメントする仕組みが構築されておりませんでしたが、平成27年10月に元理事長が着任した直後、平成28年3月に新設した元理事長を座長とする「リスク管理・コンプライアンス委員会」における議論を通じて、法人のリスクマップを導入するにあたり、大手金融機関及び大手民間企業の役員経験を有する元理事長の見識に基づき、民間企業における高度なリスクマネジメントを参考として、金融資産運用機関として適切な水準のリスクマップを策定するため、元理事長がリスク管理の必要性などに関する法人内の議論についてスピード感を持ってリードするとともに、自ら職員へ指導・助言等を行い、約300項目にわたるリスクマップを策定するとともに、年度ごとに見直しを行う仕組みも構築されたということでございます。
 また、リスクの洗い出し、優先順位づけの作業を通じまして、役職員のリスクに対する意識改革にもつながったということでございました。
 二つめは、「(2)金融機関等における経歴を踏まえた人脈の活用及び専門的知見の提供」についてでございます。
 長年改正されてこなかった法人の運用資産の基本ポートフォリオの見直しや、法人初めての取組であるスチュワードシップ活動などの取組に関して、元理事長の金融のプロとしての専門的知見に基づいて議論を深めるとともに、元理事長の人脈や業界における信頼を基盤として、関係機関との協力関係を構築されたということでございます。
 また、国の制度見直しに関して、厚生労働省と法人との連絡会議を立ち上げるなど、積極的に主務省と意見交換を行うことにより、運用や財務に関する元理事長の専門的知見を主務省に提供し、令和4年度の付加退職金の支給に関する算定ルールの見直しなどに貢献されたということでございました。
これらのことは、年度評価などの評定に表れない、元理事長の個人の見識や人脈を生かされた貢献であると主務省より聞いております。
 これらの成果は、元理事長が民間企業などの役員経験を生かし、先頭に立って組織体制の整備等に取り組まれたものでございまして、主務大臣より通知があった業績勘案率について、算定ルール等に照らし妥当であると考えてございます。
 御説明は以上でございます。御審議のほどお願いいたします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 前回、御意見くださいました清水専門委員、いかがでしょうか。
【清水専門委員】  もともと整備不十分なところや、管理が足りていないところを短期的に取り組んでいただき、状況がニュートラルになったという点が評価ポイントだったと思いますので、それまでやれていなかったというところは問題だったのかもしれませんけれども、短期間で結果を出していただいたというところで私も理解いたしました。
 特に評価に対しては、意見はございません。
 以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 栗原委員、いかがでしょうか。
【栗原委員】  前回提示した質問に対して御説明いただいたと思います。
 今後、業績勘案率の決定の際には、こういった改革が組織の中まで浸透し、かつ職員のモチベーション向上につながったのかどうかをぜひチェックしていただきたいと思います。その観点から、我々委員会も見ていきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 天野委員、いかがでしょうか。
【天野委員】  ありがとうございます。
 本件の評価については意見ございませんが、このような改革をおやりになられたのであれば、例えば理事長ヒアリングの際に、改革による効果についてしっかりと示していただけると良いのではないかと思いました。また、ヒアリングの趣旨についてしっかりと伝えていただいた上で、ヒアリングに臨む必要があるのではないかと思いました。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 整備が不十分なところを、元理事長が改革を行うことで、状況の改善に貢献されたということかと思います。 一方で、天野委員の御発言にあったように、実際に、ヒアリングで理事長や理事の方にお話を伺う際に、この場がどういう場なのかということを、もう少し整理をしてお伝えし、伺ったお話を踏まえ、こうした業績勘案率の決定の際などにつなげていかないといけないのではないかと感じました。来年度以降の主務省へのヒアリングや法人へのヒアリングのときにも、こうした観点を、しっかりと意識し、先方から情報を引き出すことや、ヒアリングの時点で疑問が生じるような状況があれば、その段階でお伝えしていくということも必要ではないかと思いました。
 本件につきましては、特段の意見なしということで整理させていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、本件については、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任にさせていただきます。
【天野委員】  すみません、原田評価部会長。
【原田評価部会長】  どうぞ。
【天野委員】  この機を捉えて、申し上げたいなと思うことがございます。
 2014年に制度改正が行われ、新しい独法制度が立ち上がったところ、その設立された独立行政法人評価制度委員会や独法制度の新しい考え方が時間とともに薄れてしまっていると感じます。
 時代のニーズとともに、変化するところもあってもちろんいいと思うのですが、大本の考え方が、表面的なものだけで流れていってしまうところが若干あるように感じております。本日の委員会で御紹介いただいた広報の取組事例についてでも申し上げましたが、一度、制度改正時点の本来の考え方に立ち返り、考えるという場があると良いのではないかと感じました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 委員会は独法通則法により規定されている役割というものがあり、それを果たしていきつつ、独法の活躍を後押ししていくようなことも行っていく中で、いろいろなことが、委員間、あるいは主務省、法人において、共通認識として持つことができていないということかもしれません。何らかの形で委員間において意見交換するような機会があっても良いのではないかと思います。
 そもそも2014年の改正では何を目指していたのか、また、現状どこまで達成しており、プラスアルファで、運用上、主務省及び法人にどのようなアシストができるのかということについて考えるタイミングにしたいと思います。御発言ありがとうございました。
 本日の議題は以上でございまして、事務局から報告事項があれば、よろしくお願いいたします。
【谷口管理官】  次回の評価部会の開催につきましては、また別途、事務局から御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【原田評価部会長】  以上をもちまして、第62回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。本日は、皆様、お忙しい中を御出席いただき、ありがとうございました。
 
 
(以上)

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