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第61回独立行政法人評価制度委員会評価部会 議事録

日時

令和6年1月25日(木)15:00~17:00

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)原田久評価部会長、浜野京評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)武藤大臣官房政策立案総括審議官、谷口管理官ほか

議事

 令和6年度から中期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
 中(長)期目標の変更について(諮問案件)
 役員の業績勘案率の点検結果について【非公開】

配布資料

 資料1 見直し対象法人の新目標案に係る資料【非公開】
 資料2-1 目標の変更関係資料(総務省:(研)情報通信研究機構)
 資料2-2 目標の変更関係資料(国土交通省:(中)住宅金融支援機構)
 資料3 役員の業績勘案率の点検結果【非公開】
 参考資料「独立行政法人の中期目標の策定等について」(令和5年11月27日独立行政法人評価制度委員会決定)

議事録

【原田評価部会長】  それでは、定刻でございますので、ただいまから第61回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
 本日の会議は、傍聴者には、会議の模様をオンラインで中継をしております。
 また、議題3につきましては、資料に個人情報が含まれることから、会議及び資料は非公開とさせていただき、議事概要及び議事録は例年同様、公表とさせていただきます。
 それでは、まずは議題1「令和6年度から中期目標期間が始まる法人の新たな目標案について」、現時点の案が主務省から出てまいりましたので、審議を行いたいと存じます。
 なお、本議題の資料はあくまで現時点の案ということですので、資料は非公開といたします。それでは、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【谷口管理官】  それでは、事務局より御説明申し上げます。本年度の見直し対象法人について、昨年11月の委員会におきまして、次期目標の策定等に向けて法人ごとに留意いただきたい事項を、参考資料のとおり御決定いただいたところでございます。
 現在、各府省においては、これを踏まえて、次期目標案を検討いただいているところでありますが、現時点の目標案が、11月の委員会決定の留意事項を踏まえたものであるか等、事務局にて確認をさせていただきました。
確認の結果、事務局としては、委員会が決定した留意事項に対応する形で、検討が進められているものと考えております。個々の法人の対応状況の御説明につきましては、資料の配付をもって、代えさせていただければと思います。
 本日の評価部会では、来月15日に予定している委員会での審議に向けて、現時点の次期目標案について事前に御審議いただきたく存じます。本日、頂いた御意見につきましては、主務省にもしっかり伝えてまいりたいと存じます。
 説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 それでは、現時点の目標案について、御意見等がございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いしたく存じます。なお、大学改革支援・学位授与機構の運営委員会委員を務めていらっしゃる高橋委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくこととされておりますので、よろしくお願いいたします。
【島本委員】  今までの議論をうまくまとめていただいているので、追加的に、私からは特にございません。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。清水専門委員、どうぞ。
【清水専門委員】  取りまとめありがとうございます。今回、病院関係の法人についてはしっかり議論しましたが、その内容も踏まえ、よくできているなと思っております。
 目標案を改めて見ていて少し思ったのですが、最近は個別の施策について、QRコードで文字を読める仕組みもあるため、簡易に情報をトレースできる仕組みをつくることで、過去の中期目標期間の実績や目標の達成度合いを振り返るときに、さらに深掘りできるような情報がそろうと、振り返りがより良い内容になるかなと感じたところです。
 今回のまとめの内容というよりは、またその先で、こういうこともできないかなと思い、考えていたところでした。
 以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。私も御指摘のとおりだと思いまして、次期目標案を仕上げていく段階において、現行の目標期間までにいろいろな項目についてどこまで達成できているのかということが忘れがちになりますので、過去の中期目標期間の実績や目標の達成度合いを比較してみるということも、一手間ではありますけれども、非常に貴重な、大事な作業になるのではないかと思いました。谷口管理官、いかがでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。貴重な御指摘でございます。
 これまでもう何十年も実績がございますので、その進捗がどうなったかというのを一覧で見ていただきたいという思いはやまやまでございますが、そういった仕組みを作るのは、今、なかなか手が回っていないところでございます。先生御指摘のとおり、重要な点だと思いますので、どういったことでできるか、あるいは、例えば見直し対象法人の議論をするにあたって、そういった情報も併せて御提供したほうが議論も深まるのではないかなど、いろいろございますので、事務局において考えていきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  お取りまとめありがとうございます。私もほかの委員の方々と同じく、付け加えることはございません。中には、非常に定量的な目標、指標を積極的に取り入れていらっしゃる法人もあり、そういった目標、指標に対する今後の実績を見てまいりたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  ありがとうございます。私も特に意見はございません。法人の方々から見ますと、委員会の意見というのは第三者の意見ということになろうかと思いますが、それをネガティブに捉えるのではなくて、年々、その提案、提言というものを真摯に受け止めていただいて、目標案に入れ込むかどうかを検討していただいた、そういう傾向が強くなってきたのは大変ありがたいことではないかなと思います。
 それから、清水専門委員の御発言に関連して、今、情報公開が大変進んでおりまして、特に学校法人ですと、10年以上前から基本的な学校の概要、生徒数、財務情報はほとんど公開されています。しかし、そのような情報を1年分だけ掲載していらっしゃる学校法人もあれば、公開が求められるようになった10年以上の情報をトレースできるように全て掲載していらっしゃる法人もあり、この差が結構大きいと感じております。
 したがって、今後、情報公開をさらに進めていくにあたり、何年分の情報をホームページに掲載していくかというのは一つの論点になってくるのではないかなと感じた次第です。
 私からは以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。谷口管理官、いかがでしょうか。これは以前からの課題でありますけれども、ある程度網羅的に、評価の情報、法人そのものの情報も含めて、一覧性があるような形で、アクセスしやすいサイトがあれば良いなとよく思うところですが、いかがでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。まさにそういった情報が求められるところでございます。各法人で様々な情報を公開しているところでございますが、御指摘のとおり、恐らくその粒度、年数は、ばらつきがあるかと思います。国民から見て、見やすく、使いやすい一覧性をどのように担保するのかというところを考えていきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。独法評価というのは、年度によって数多くの法人を評価する年度とそうでない年度がございます。来年度は、恐らく少なめの法人数かと思いますので、いろいろな点検をしてみるタイミングかなと思いました。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。今回の目標案につきましては、よく書き込んでいただいていると思いますので、内容に付け加えることはありません。
 過去を振り返るということに関しまして、平成27年度から新しい独法制度が始まっていると思いますが、特に国立研究開発法人に関しましては、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の評価専門調査会において、国立研究開発法人の評価手法が並行して定められていると思います。また、国の研究開発に関しては「科学技術・イノベーション基本法(科学技術基本法)」に基づくと思います。こちらの委員会でも、もし可能であれば、それぞれの国立研究開発法人が、科学技術基本法の中で、どのように成果を発揮しているのかということをお示しできるような場があると良いのではないかと感じました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。谷口管理官、いかがでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。貴重なアイデアだと思います。そういった御意見も踏まえて、内閣府ともどういった連携ができるかということを相談していきたいと思います。
【天野委員】  法人の評価を上げる上でも重要なことかなと思いますので、よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。浜野委員、どうぞ。
【浜野評価部会長代理】  委員会の御意見を反映していただいて、今回取りまとめていただいてありがとうございます。その点については、異論はございません。
 DXの推進や人材の確保・育成については、それぞれの法人に共通する重要な課題のため、その点の委員の御指摘も多かったかと思います。委員会では、先進的な取組を行っている法人の事例の紹介もありますが、一方で、例えば都市再生機構のように、次期目標に具体的な記述が必要と指摘されている法人もありますので、法人の皆様におかれましては、より具体的に記述していただけるようにお願いしたいなと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局におかれましては、今、浜野委員がおっしゃったところを少し後押ししてくださるようお願いします。
 栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  今回の目標策定に関して、個別の法人に対してコメントさせていただきたいのは、厚生労働省の病院関係3法人、労働者健康安全機構、国立病院機構、地域医療機能推進機構でございます。
 この3法人は、法人の在り方について、委員会でも時間をかけて議論しておりましたし、実際に主務省とのコミュニケーションも深く行った結果、委員会の留意事項について今回の目標案に反映していただいたと思っております。その中で、例えば国立病院機構に関しては、病院を取り巻く環境変化が非常に激しい中で、次期中期目標案に実効性や実現可能性があるのかという点について問いかけていましたが、それに対しては、環境が非常に厳しくなる中で、組織の在り方や機能の在り方を再編等の検討も含めて見直しを進めていくとありますので、大きな環境変化の中での組織の在り方について検討していくという意識を示していただいたという点については、評価できるのではないかなと思います。また、労働者健康安全機構でも、今後の地域における変化等を踏まえ、病院機能の見直し、合理化を図っていくということを書いていただきました。
 これらの法人については、診療事業についての運営費交付金が交付されていないため、通常の運営においても、あるいは、いろいろな設備等の整備、更新についても、組織の中で財務基盤を整えつつ、大きな変化も捉えた高度な経営が求められる組織だと思っております。そのため、より一層、実効性を考えながら目標を策定していただき、かつそれを実行していただくことが、組織がより機能を発揮するためにも重要だと思っております。
 法人の持続可能性に疑義が生じることのないよう、今回、目標案に書いていただいたことも評価しつつ、今後の推移を見ていきたいと思いますし、主務省においても、そういった環境であるということを改めて認識いただいて、よく法人と議論を行っていただきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。私も病院関係の3法人について、少しだけコメントをさせていただきますと、特定して申し上げはしませんけれども、目標案そのものというよりは、困難度の記載について、「もしかしたらできないかもしれない」という記載は、本来書いてほしいことと少しずれているのではないかと思います。
 例えばムーンショット目標のように、このようにチャレンジングにやっていきたいよねということが困難度のところに書かれているというのは腑に落ちますが、これはできないかもしれないという記載のしかたは、困難度と言えるのだろうかと疑問を持ちますけれども、事務局いかがでしょうか。
【辻管理官】  原田評価部会長、栗原委員、どうもありがとうございます。
 今までの目標に比べると、全体の厳しい環境に言及をしていること、また、従来の記載について要因ごとに分解をして、丁寧に目標を策定するということについては行っていただいていると思いますが、目標をどのように達成するのかという部分が、結局のところは経営努力というような抽象的な言葉にとどまっているというのは、おっしゃるとおりだと思っています。そのため、何らかの具体化を図るべきなのではないかという観点から、引き続き、主務省や法人とやり取りを続けていきたいと思います。一方で、具体的にとはいっても、例えば、「こういう状況になったら組織の合理化の検討に着手する」というようなことを予め決めて公表するのは極めて困難であり、どういったやり方があるのかということについて、引き続き、委員方の御支援も頂きながら、検討してまいりたいと考えています。
【原田評価部会長】  栗原委員、いかがでしょうか。
【栗原委員】  実現可能性を持ちつつ、ぜひ進めていただきたいなと思いますし、法人の域を超えて議論しなければいけないことだと思いますので、目標を策定する主務省において今後の方向性をしっかり議論していただくことが何よりも重要かと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 それでは、よろしゅうございますか。各委員からご意見等があった事項につきましては、限られた時間の中ではありますが、引き続き、各省においては御検討いただきたいと思っております。事務局におかれましては、今日の議論の内容を各省にお伝えください。
 次に、議題2の「中(長)期目標の変更」について、審議を行いたいと存じます。事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【越尾管理官】  総務省担当管理官の越尾でございます。私から国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の中長期目標の変更につきまして、御説明させていただきます。
 まず、1点目に関しまして、ルーターやネットワークカメラといったネットワークに接続する機器を総称して、IoT機器と呼んでおりますけれども、これらIoT機器のサイバーセキュリティ対策の促進についてです。
 昨年の臨時国会において成立した、「国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律(改正NICT法)」により、サイバーセキュリティ対策を十分に講じていないと認められるIoT機器の管理者等に対する助言及び情報提供に関する業務行うこととされたことに伴いまして、これらに関する目標を追記するというものでございます。
 IoT機器は、社会全体のデジタル化の進展に伴い、急速に普及しております。一方、昨今、こうしたIoT機器を踏み台として悪用したサイバー攻撃が増えておりまして、通信サービスの安定的な提供を脅かすリスクが生じております。このため、推測されやすい文字や数字の羅列、実際にサイバー攻撃を受けたことのあるID・パスワードなど、脆弱性のあるID・パスワードを利用しているIoT機器をNICTが調査し、それが見つかった場合には、機器の利用者への注意喚起や、その他関係者の働きかけ等により、対策を促すという取組を2019年から実施しており、このプロジェクトをノーティス(NOTICE)と呼んでおります。本取組により、少なくとも数万台規模と言われるIoT機器について、ID・パスワードの脆弱性が解消するなど、一定の成果が上がってまいりました。
 しかしながら、ID・パスワードの脆弱性を狙ったサイバー攻撃といいますのは継続的に発生しているほか、IoTのライフサイクルが想定以上に長期にわたっており、本取組で通知をしておりますものが毎月約5,000件程度あるのですが、約半数が、10年以上も前に発売された機器ということも分かってきております。
 こうしたことも踏まえまして、改正NICT法により、ID、パスワードに脆弱性のあるIoT機器の調査について、来年度以降も切れ目なく継続して実施可能とするものでございます。
 あわせて、サイバー攻撃につきましては、ID・パスワードの脆弱性以外にも、IoT危機に搭載されているプログラムである、ファームウェアと呼ばれるソフトウェアの脆弱性を狙った新たなサイバー攻撃も発生しております。このため、脆弱なファームウェアを登載しているIoT機器の調査や、既にウイルスに感染している機器についても調査対象を拡大し、IoT機器を悪用したサイバー攻撃に対して、総合的に対応することとされました。これらを踏まえまして、中長期目標に、IoT機器のサイバーセキュリティ対策の促進を追加しております。
 2点目は、大規模言語モデル(LLM)の開発に必要となる言語データの整備、拡充等についてです。背景としましては、2022年から生成AIと呼ばれる学習データを基に、自動で画像や文章等を生成できるAIが本格的に登場し始めました。中でもチャットGPTを始めとする、人間と遜色のない自然な文書を生成することが可能なLLMは、大きな社会変革をもたらす技術として、世界中で開発競争が激化しております。
 NICTにおきましては、これまでのユニバーサルコミュニケーション分野におけるAI技術の開発を通じて、日本最大級の言語データを蓄積しており、我が国のAI開発力の強化の観点から、NICTが有する言語データへの期待が寄せられているところです。こうした状況を踏まえまして、昨年11月2日に閣議決定された、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」におきまして、LLMの開発力強化に向けたデータの整備、拡充及びリスク対応力強化を図ることとされました。
 これを踏まえまして、NICTの中長期目標に大量かつ高品質で安全性の高い日本語を中心とする学習用言語データを整備、拡充し、我が国の大規模言語モデル開発者等に提供すること等を追加するものでございます。
 3点目が、Beyond5G、いわゆる6G基金の支援メニューの追加です。先日の総合経済対策において、「Beyond5Gの実現と我が国発の技術確立に向けて、社会実装・海外展開を目指した研究開発及び国際標準化活動を支援する基金を拡充し、企業等による投資を促す」とされたことを踏まえ、昨年3月にNICTに設置された基金について、新たに国際標準化活動に関する支援を行うため、支援メニューを追加することとなっております。
 これを踏まえ、中長期目標に国際標準化活動の支援を盛り込むということでございます。あわせて、昨年1月に開催された第55回の独立行政法人評価制度委員会評価部会におきまして、本基金によって支援する社会実装、海外展開促進、研究開発成果の最大化に向けた取組状況という評価指標に対するモニタリング指標として、会合の開催や出席者数だけでは、指標として不足ではないかという御指摘を頂きました。
 これを踏まえまして、アンケート評価に基づく参加者の満足度、ステージゲートの評価の結果、評価委員の評価等についてもモニタリング指標として追加することとしております。
 私からの説明は以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。では、住宅金融支援機構(住金)について、よろしくお願いいたします。
【橘副管理官】  国土交通省担当副管理官の橘でございます。住金の中期目標の変更につきまして、御説明させていただきます。
 今回、法人に追加される事業が2点ございます。1点目は、昨年12月に閣議決定されました、「こども未来戦略」におきまして、子育て世帯等に対する住宅支援の強化が求められることを踏まえ、現行のフラット35に、新たに子供の人数等に応じて金利を引き下げる子育てメニューとして、フラット35子育てプラスが追加されます。
 具体的には、夫婦のいずれかが40歳未満、または子供が1人であれば、5年間金利が0.25%引き下げられます。また、子供が2人以上であれば、人数に応じて、0.25%が加算され、最大1%の金利引下げとなるメニューとなります。
 2点目は、近年、空き家が増加している背景を踏まえまして、空き家等の対策に取り組む地方公共団体を支援するため、「空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が昨年6月に成立しまして、12月に施行となりました。
 こちらの法改正によって、法人におきましては、空き家等対策に資する金融に関する情報の提供等を行う業務が追加されたところでございます。具体的には、法人のホームページにおきまして、空き家の所有者に対して、地域に即した金融商品等の情報として、空き家解体ローンやリフォーム融資のほか、自治体の補助制度に関する情報を提供することとしております。
 それぞれ追加された事業につきましては、主に「こども未来戦略」と改正法の記載から抜粋しておりまして、中期目標の変更を行っているところでございます。
 変更箇所の説明は以上となります。法人に追加された業務につきまして、目標に適切に反映されているかとの観点から、御審議のほどよろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 それでは、NICTと住金の目標変更案に関する説明につきまして、御質問・御意見などございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。島本委員、どうぞ。
【島本委員】  御説明ありがとうございます。6Gについては、消費電力が少ないことが大きな魅力というかメリットだと思います。こうした支援メニューを新たに追加するということについて、今、気候変動対策というイニシアチブも様々なところで起こっていますが、そこと絡めた形でのアピールもしているかということと、来月から、財務省がクライメート・トランジション利付国債を発行するということで、何か予算的な関わりがあるのかについて、もし分かれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  事務局、いかがでしょうか。
【越尾管理官】  島本委員、ありがとうございます。今、御質問いただいた2点に関しては、現時点では具体的にそういった連携というような話は承知をしていないというのが率直なところでございます。
 ただ、冒頭、島本委員から御発言があった中で、省電力についてはまさにBeyond5G、6Gのコアなところでございますが、そういった優れた技術であっても、なかなか世界標準を取ることができなかったという率直な反省に立ち、今回、国際標準化というところを支援メニューに追加するというところでございます。そういった流れから、今、御指摘の部分の連携がまだ足りていない、あるいは検討が及んでいない部分があるというのが正直なところだと思いますので、今頂いた御指摘の点については、主務省にもしっかりお伝えしたいと思います。
【島本委員】  ありがとうございます。この手の先端分野については日本のオリジナリティーを大事にしたほうが良いと思います。LLMについてもそうですが、例えばアメリカのテック企業の研究開発投資が国家予算レベルで、25兆円とか1,700億ドルという報道を見たのですが、この手の研究開発については、無理に競合分野で挑むというよりは、独自のフィールドや日本固有の部分に選択と集中をしたほうが効果が出るのかなと感じまして、6Gについては、比較的日本は優位性もあるため、独法という枠組みであれば、いろいろな省庁を巻き込んで推進したほうが、国民の期待も高まるのではないかと思い、そういう観点で質問させていただきました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。金岡委員、いかがでしょうか。
【金岡委員】  ありがとうございます。NICTについて、少し意見を述べさせていただきたいのですが、今、特にITに関する技術の研究開発というのは、一つの社会インフラになっているため、様々な国立研究開発法人、あるいは大学等において研究開発されているのではないかと思います。
 そうしますと、一つの省の中だけでクローズするのではなくて、例えばサイバーセキュリティとLLMについて、今回の業務追加に関してはIoT機器ということですけれども、経済産業省所管の法人との関係もあると思います。そのため、省をまたいだ一つの大きな社会インフラに既になっている、ITの研究開発というのはどういう形で進めていけばよいかという調整はどこがされているのかについて、少し心配になったところでございます。
 それから、先ほどの御指摘にもありましたとおり、LLMについては、特にアメリカ等がかなり先行している現状を考えますと、恐らくは研究開発をやるにあたっても、いつまでに何を日本語のモデルで達成していくのかということで、時間軸をはっきりさせておかないと、実質的には日本語も含めた形で、欧米のLLMに対して太刀打ちできなくなっていくというような可能性もあるのではないかと思います。既にかなり競争が激しくなっている分野については、いつまでに成果を出すというようなことを明確にすることが、より重要ではないかと感じた次第です。
 私が申し上げたかったのは、省庁をまたぐような大きな課題について、どういう調整をされているのかというのが一つ。それから、競争が激しい分野については、いつまでに何をやるかということを打ち出していかないと、お金をつぎ込んだものの、成果としてなくなってしまう可能性があるのではないかということを、やや懸念点として申し上げたいと思います。
 以上です。
【原田評価部会長】  特に後者のほうは、目標の変更案、具体的には、評価指標に今の御指摘の点が具体的にうまく組み込まれているのかということかと思いましたが、いかがでしょうか。
【越尾管理官】  後者から申し上げますと、LLMについては、令和5年度の補正予算で100億円の予算がついており、日本語をベースとした大量高品質で安全な言語モデルを構築していくということでございますけれども、現在、NICTにおきましては、350ギガバイトの学習言語データを持っていると承知しておりまして、これを令和6年度末までに10倍の3.5テラバイト、令和8年度末までに17倍の6テラバイトまで拡充するということを目標にしていると聞いております。また、民間企業と連携した共同研究の調整を進めているところだと聞いております。以上が今後の予定に関する部分の御説明でございます。
 また、サイバーセキュリティなどの大きな課題の調整はどうなっているのかということについて、例えば情報処理推進機構(IPA)では、主に情報処理の安全性を確保するという観点から、ソフトウェアのセキュリティ対策などを行っているところでございまして、そういった意味では、ほかの法人でも違う切り口でサイバーセキュリティ対策をやっているというのが実情でございます。
 こういった点、もちろん省庁の枠組みでも、また違う切り口でやっているところもございますので、内閣官房サイバーセキュリティセンターで、サイバーセキュリティに関する全体的な調整を行っているほか、現在、デジタル庁を中心としました「デジタル社会推進会議」の枠組みの中で全体的な調整を図っているところでございますので、そういった場を利用しながら、重複を避けるような形で取り組んでいるということでございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。天野委員、お願いいたします。
【天野委員】  金岡委員と同じ意見なのですが、日本の国際標準化につきましては、経済産業省の日本産業標準調査会が一元的な窓口となっているのですが、各省庁独自に進める傾向があり、結局、国際標準化機構で国際規格が認められないということが多いように感じます。日本として、窓口を一本化し、しっかりと国際標準化に向かうために、こういったNICTの新しい技術についても、国際標準化を軸にしっかりと意識してやっていっていただけると良いのではないかと思います。
 特に国立研究開発法人は国際標準化について、海外に遅れをとってしまう傾向にあるため、ぜひよろしくお願いしたいなと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 今の意見をぜひ主務省に伝えていただきたいと思います。また、恐らくIPAとNICTは、サイバーセキュリティの観点では、かなり近い事業だとか、あるいは目標を書いているところがあると思われるため、場合によっては、それぞれの法人でどのように評価指標を立てているのか、また、評価軸はどうなのか、といった突き合わせも意味がある作業なのかなと思います。これはこの2つの法人にとどまらず、ほかの法人でも同じかなと思います。
 それでは、目標変更案そのものについては御意見がないと受け止めましたが、意見なしとさせていただくことで御意義ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任をさせていただきます。
 それでは、議題3「役員の業績勘案率の点検結果について」でございます。こちらにつきましては、資料に個人情報が含まれることから、会議及び資料は非公開といたしますので、傍聴者への中継はここまでとさせていただきます。
(傍聴者退室)
【原田評価部会長】  それでは、事務局から説明をお願いします。
【谷口管理官】  それでは、業績勘案率の点検結果について御説明いたします。
 今回は、昨年11月開催の評価部会に引き続き、今年度2回目となり、7法人7件について御審議いただきます。
 業績勘案率につきましては、主務大臣が「0~2」の範囲内で、法人の業績評価に応じて決定するとされております。また、算定については、総務大臣決定の「業績勘案率の算定ルール」に基づき行うこととなっております。
 今回、各主務大臣より通知のありました7件のうち、特段の事情等による加算又は減算があった1件について、御説明させていただきます。
そのほか6件につきましては、算定ルールどおりの計算となっておりますので、説明は省略させていただきます。
 では、加算のあった1件でございますが、厚生労働省所管の独立行政法人勤労者退職金共済機構の理事長の案件で、当該理事長の在任期間は平成27年10月から令和5年3月までの7年6月でございまして、この在任期間中に当該理事長自らが強いリーダーシップを発揮され、組織体制の整備、役職員の意識改革、関係機関との連携などにより、機構全体のガバナンスの整備を総合的に推進されたほか、資産運用におけるリスク管理体制、情報セキュリティ体制、事業推進体制の強化などにあたり、理事長が先頭に立って取り組まれたとのことでございます。
 具体的には、ガバナンスの整備といたしまして、外部有識者委員が参画する「情報セキュリティ有識者委員会」や「リスク・コンプライアンス委員会」を新設するなど、最新情報や外部有識者の見識の活用による責任ある意思決定体制を整備されたことなどがございます。
また、資産運用におけるリスク管理の強化といたしまして、資産運用委員会において、機構に最適なポートフォリオとリスク許容度の考え方について、ゼロベースからの見直しを実施されたことや、経理別となっていた資産運用部の体制を機構横断的な形に変更し、資産運用における組織統合のシナジー効果を格段に向上させたことなどがございます。
また、情報セキュリティの強化等といたしまして、3,000万件の個人情報を預かる組織として、サイバー攻撃の危険性を厚労省幹部にも強く訴え、情報系システムと業務系システムとを物理的に分離したことや、インシデント発生時の迅速な対応体制の確立、機構の役職員の情報セキュリティ・リテラシー向上のための研修や訓練を実施するなどにより、体制の強化がなされたことなどがございます。
 また、事業推進体制の強化として、エビデンスに基づく活動方針の作成や、活動結果を踏まえた次期活動計画の作成などPDCAサイクルの導入を主導されたことなどでございます。
 これらの成果は、理事長が強いリーダーシップを発揮し、先頭に立って取り組んだことによるものであり、業務実績評価に表れない当該理事長の法人に対する特段の貢献として、業績勘案率を「0.1加算する」と主務大臣より通知があったものでございまして、算定ルールや過去の加算事例等に照らし、妥当であると考えております。
 算定ルールどおりの計算となっております6件と合わせまして、7件全てについて、「意見なし」としてはどうかと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見・御質問などございましたらどなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。清水専門委員、どうぞ。
【清水専門委員】  業績勘案率に関する直接的なコメントではないのですが、委員会では、今まで法人の長のリーダーシップに基づくトップマネジメントを重視していましたが、そうした観点だけではなく、組織全体でうまく運営しているかという観点でも確認したほうが良いのではないかと思ったため、コメントさせていただきます。以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  リーダーを選定する主務省のプロセスにおいて、組織にどういうリーダーが必要なのかということを考えながら、選んでいただきたいと思います。
 また、本件の加算のあった1件について客観的に見てみますと、理事長は8年間という長い期間、在籍されていました。この間に、資産運用において起こった環境変化を考えると、スチュワードシップ・コードの導入や情報セキュリティ対応は、この期間に当然やるべきことだったと思いますので、この説明だけですと、加算の説明としては十分ではないのではないかと思います。
 それから、長い期間やっていれば、本来業績に反映されるものだと思います。短期間の場合は、なかなか業績には表れないので、将来的に出てくるものとして評価しますという説明は分かりますし、また、業績に反映されづらいことであれば分かりますけれども、長期間のうちに業績として勘案されなかったのだろうかと考えると、説明不足かと思われます。
 それから、期間の長短に関わらず、まさにリーダーシップについて評価されるのであれば、リーダーシップがどう発揮されたのかということと、組織にどう浸透しているのか、組織での職員のモチベーションにどうつながったのかということなど、単に定性的な面だけではなく、どう主務省として把握したのかということを少し考えていただきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。
【辻管理官】  ありがとうございます。
 先ほどの栗原委員の御指摘について、どうやって成果について考えていくのか、それをどうやって実行していくのか。また、その中で、トップはどのようにリーダーシップを発揮したのかということを、感覚的なものではなくて、きちんと外にも説明できるような仕組みというものを考えなくてはいけないだろうなと思いました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。ガバナンスの整備、資産運用に関するリスク管理の評価やシステムの再構築については、結構、業務実績評価と重複するところもあるような気がしています。別の言い方をすると、今回加算のあった1件については、業務実績評価に表れないものを特段の事情と整理していらっしゃると思いますが、もう少し、業務実績評価との重複がないような形で、整理していただくということで、事務局、いかがでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。これらの成果に対して、理事長がどれだけ貢献したかというところが分かりにくいという御指摘であったかと思います。もう少し検討してみたいと思います。
【原田評価部会長】  金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  ありがとうございます。民間企業の場合、代表取締役社長、会長を抑止するという役割を果たすのは、社外取締役、社外監査役だろうというように一般に言われており、独法の場合は、恐らく主務大臣が行うことかなと思いますが、内部の監事方、あるいは、理事からの抑止といったことは行われなかったのかなというのは、やや気になったところではあります。
 以上です。
【原田評価部会長】  金岡委員、ありがとうございました。
 それでは、今の点も重々踏まえて、業務実績評価に表れない特段の貢献としてという観点について、理事長のリーダーシップがどのように発揮されたのかということを、より分かりやすく、浮き出るような形で整理していただくようお願いします。
 では、加算のあった1件を除きまして、そのほか6件については、特段の意見なしということで整理させていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】  それでは、加算のあった1件は別にいたしまして、そのほか6件につきましては、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任させていただきます。
 最後に、次回について、事務局から説明よろしくお願いいたします。
【谷口管理官】  次回の委員会は、2月15日木曜日、16時からを予定しております。委員会終了後に、併せて評価部会も開催予定でございます。会場等については、本日の委員会と同様に、中央合同庁舎2号館8階第1特別会議室及び、ウェブ会議を併用したハイブリッド開催の予定でございます。
【原田評価部会長】  それでは、以上をもちまして、第61回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。本日は、皆様、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございました。
       
 
       (以上)
 

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