外務省・新着情報

冒頭発言

大臣のG7外相会合出席

【上川外務大臣】私(大臣)から、3件です。まずは1件目です。
 4月17日から19日まで、G7外相会合に出席するため、イタリアを訪問いたします。
 私(大臣)にとりまして、対面でのG7外相会合に参加するのは、昨年11月の飯倉公館での会合以来となりますが、その間も、国際情勢は、目まぐるしく変化をしてきました。
 ロシアによるウクライナ侵略や、また、中東情勢により、国際社会の分断や対立は深まっております。直近でも、極めて深刻な、ガザの人道状況への対応に加え、イランがイスラエルに対し、無人機やミサイルを用いた攻撃を行うなど、事態の緊迫度が高まっています。インド太平洋地域を含め、国際社会の重要課題にG7として結束し、役割を果たしていくことが、従来以上に求められていると感じています。
 また、今回の会合では、G7外のパートナーとの協力など、昨年来の、我が国の優先事項につきましても、引き続き重点的に議論される予定です。昨年のG7議長国、かつアジアで唯一のG7メンバーである日本といたしましては、我が国の外交的取組などを紹介しつつ、議論にしっかりと貢献してまいりたいと考えております。
 先週の岸田総理の訪米では、同行した私といたしましても、日米両国が、グローバルなパートナーとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を、共に維持・強化していくとの決意を力強く示すことができたものと感じたところであります。それに続く、今回のG7外相会合でも、私といたしましては、まさにグローバルな視点から、今述べたような諸課題に関して、率直かつ突っ込んだ議論を行い、G7の結束を更に強め、連携を深めてまいります。

令和6年版外交青書

【上川外務大臣】続きまして、2件目です。
 本日の閣議で、令和6年版外交青書を配布いたしました。
 外交青書は、1957年(昭和32年)以来、毎年発行している外交の記録です。その一冊一冊には、これまで我が国が、国際社会において歩んできた道が刻まれています。
 それは、今の日本外交への信頼に繋がる、先人達の努力の足跡とも言うべきものです。私は、就任以来一貫して、この信頼に応えるべく、外交の現場に立ち続けています。
 第67号となります令和6年版外交青書では、ウクライナや中東の情勢も踏まえ、世界が歴史の転換点を迎える中で、「法の支配」や「人間の尊厳」に焦点を当てながら、日本の国益を守り、国際社会を分断・対立ではなく、協調に導く日本外交の姿を、様々な角度から切り取り、記録しています。国際的に高い評価を得たG7広島サミットの成果や、WPSの取組についても取り上げています。
 本書は、本日から外務省ホームページで閲覧していただけます。できるだけ多くの方々に本書をお読みいただき、日本外交への御理解を、より一層深めていただけるよう、よろしくお願いいたします。

国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会

【上川外務大臣】続いて、3件目であります。
 現在、国際社会が、様々な複合的な危機に直面する中、SDGsを含め、国際社会全体の持続可能性の確保に向けた取組は、大きな困難に直面しております。
 こうした中、我が国として、今一度、各界の知見を広く得ながら、成長と持続可能性を同時に実現していくことができるようなアプローチを改めて、創造的に検討し、我が国として、国際社会をリードしていくことが強く求められていると考えております。
 こうした問題意識に立ちまして、今般、4月下旬を目途に、産業界、学術界、芸術界、思想界を含む各界から、それぞれ有識者の皆様のご参加を得て、私(上川大臣)の下に、「国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会」を立ち上げることといたしました。
 同有識者懇談会における自由闊達な議論を通じまして、現行のSDGsだけではなく、SDGsの期限年であります2030年以降も見据えながら、我が国自身の持続的成長と国際社会全体の持続可能性の確保に向け、我が国として、国際社会をいかにリードしていくかにつきまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)からは、以上3点申し上げました。

中東情勢(イランへの働きかけ・邦人保護)

【NHK 五十嵐記者】イランによるイスラエルへの大規模な攻撃の関連で伺います。一昨日、G7の首脳会合が、オンラインで開かれ、岸田総理大臣は、事態の早期沈静化に向けて、日本としてあらゆる外交努力を行う考えを示しました。日本は、イランと伝統的な友好関係があり、本日、外相電話会談が行われたとのことですが、その内容を伺います。併せて、中東情勢における日本の果たす役割や、邦人退避の取組についても伺います。

【上川外務大臣】我が国といたしましては、イランに対しまして、事態の沈静化を強く働きかけしております。本日、イランのアブドラヒアン外務大臣と電話会談を行い、私(上川大臣)から、今回の攻撃は、現在の中東情勢を更に一層悪化させるものであり、我が国として深く懸念しており、このようなエスカレーションを強く非難する旨、伝えたところであります。
 また、現在の状況は、イランやイラン国民はもちろんのこと、我が国を含めました国際社会全体の利益にもならないということを強調し、更なる緊張の高まりを防ぐ必要があるとして、自制を強く求めたところであります。
 更に、航行の自由と安全の重要性を指摘いたしました。地域の海洋における航行の安全の確保を求めるとともに、在留邦人保護への協力を要請したところでございます。
 引き続き、イランへのハイレベルでの更なる働きかけを含めまして、必要な、あらゆる外交努力を行ってまいりたいと考えております。
 邦人退避を含めてのご質問でございましたが、在留邦人保護につきましては、本事案を受け、速やかに現地の在留邦人の安否確認、注意喚起、これを実施してきたところでございますが、これまでのところ、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報には接しておりません。
 我が国といたしましては、在外邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいりたいと考えております。

中東情勢(在外公館攻撃・対イラン制裁)

【朝日新聞 松山記者】関連で、イランのイスラエル攻撃についてお伺いします。14日に行われたG7首脳テレビ会議では、イランに対する制裁についても協議されたと、米国側が公表しています。現在のこちらの制裁の調整状況と、新たな制裁に踏み切る場合、日本もG7各国と足並みを揃えて、制裁措置を講じるのか教えてください。また、イラン側は、今回の攻撃について、シリアのイラン大使館が攻撃されたことへの反撃だとしています。一方で日本政府は、大使館攻撃へのイスラエルの関与については、事実関係を把握することが困難として、評価を避けている状況です。昨年10月のハマスによる奇襲の際は、日本は、イスラエルの自国を守る権利を強調されて、今回イランによる攻撃についても、G7とともに非難していますが、その一方で、「国際法で不可侵と定められている大使館攻撃の主体を特定せず、非難しないのはダブルスタンダードだ」という指摘もあります。大使館への攻撃にあたり、事実関係を把握することが困難な理由と、こういった「ダブルスタンダードだ」という指摘に対する大臣のお考えをお願いいたします。

【上川外務大臣】4月1日のシリアにおけるイラン施設に対する攻撃につきましては、イスラエルは関与を認めておらず、我が国として、事実関係を十分に把握することが困難である中、確定的な評価をすることは、差し控えさせていただきたいと思っております。
 その上で、一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は、許されるべきものではなく、我が国として、本事案について、重大な関心と懸念を持って受け止めているところであります。
 今後の我が国やG7を含みます対応につきまして、現時点で予断をすることについては差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、今回のイランによる攻撃は、現在の中東情勢、これを更に一層悪化させるものとして深く懸念しておりまして、我が国といたしましては、このようなエスカレーション、これを強く非難するところであります。14日に発出いたしました「外務大臣談話」におきましても、この旨を表明したところでございます。

中東情勢(イスラエルへの働きかけ)

【アナドル通信社 メルジャン・フルカン記者】イスラエルが、ガザのラファハ地域に対して、軍事作戦を試みる可能性があると報道があります。米国は、イスラエルによるラファハへの地上攻撃に反対しています。ラファハへの攻撃は、新たな虐殺を意味する可能性があります。この問題について、日本政府の立場はどうですか、イスラエルによるラファハ攻撃の可能性を防ぐために、何らかイニシアティブを講じましたか。

【上川外務大臣】我が国として、ラファハにおける、このイスラエルの軍事行動の動きを深く懸念しているところであります。
 同地区には、多数のパレスチナ避難民の方々が集中しておりまして、そのような状況下で、軍事作戦が継続をすれば、更に多くの犠牲者が発生する惨事となり、人道支援活動が、ますます困難になることは明らかであります。我が国として、そのような事態は許容できないものであります。このような日本の立場を踏まえまして、私(上川大臣)からも、現在調整中の電話会談を始め、機会を捉えて、イスラエルに働きかけているところでございます。
 今もなお、人質の解放と戦闘の休止をめぐって、関係国の仲介による調整が続いており、我が国といたしましても、このような動きが実現するよう、関係国と緊密に連携しつつ、二国間での働きかけや、また、安保理やG7の一員としての外交努力等を通じまして、環境整備に取り組んでいるところであります。引き続き、外交努力を粘り強く、積極的に行ってまいりたいと考えております。

日・イラン外相電話会談

【読売新聞 上村記者】先ほどのアブドラヒアン外務大臣との電話会談のことで、ちょっと追加でお伺いしたいんですけれども、日本の立場を大臣から伝えられて、イラン側は、どんな反応を、どんなやり取りをされたかというのを、可能な限りの範囲で、お聞かせ願えればと思います。

【上川外務大臣】まず、岸田総理大臣が、4月8日から14日までの間、国賓待遇で米国を公式に訪問したということでありまして、大きな成果を上げることができたところでございますが、今、置かれている状況の中で、今回の中東情勢ということでございまして、非常に深刻に受け止めているところでございます。
 先ほど、アブドラヒアン外務大臣と電話会談をさせていただきました。
 今の中東情勢の中におきまして、大変、ガザの状況について厳しい状況にあるということについては、共通した認識を持っているところであります。
 更に申し上げれば、これのスピルオーバー、つまり、これまでもそうですが、中東地域全域に、こうしたことが波及していくということについて、大変厳しい見通しを、これまで取りながら対応してきたところでございまして、このことにつきましても、私(上川大臣)の方も、この点につきましては、重ねて申し上げたところでございます。
 イランのお立場については、イランの方から発信をするということが、外交上のルールでございますので、私(上川大臣)の方からは、それ以外以上のお話については、差し控えさせていただきたいと思っております。

中東情勢(パレスチナ国家承認)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 アラブグループを代表するアルジェリアとイスラム会議機構諸国、米国(発言ママ)は、パレスチナの国連正式加盟を求める決議案を提出しました。1週間以内にも行われると思われるこの会合における、パレスチナを独立国家として認めることに関する日本の立場をご教示ください。パレスチナを国家として承認しないことは、最近になって二国家解決案を否定しているイスラエルの公的立場を支持することになるという見方もあります。日本は、過去に、コソボをすぐに承認したものの、数千年の歴史を持つパレスチナの国家を承認していません。
 日本は、パレスチナを承認することは、中東地域の平和にとってプラスと考えるのですか。日本は、米国が、パレスチナを承認するまで待ち、その後に同国を承認するのでしょうか。

【上川外務大臣】パレスチナの国家承認に係る米国の立場につきまして、日本としてコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、我が国として、パレスチナの国家承認を行うかということにつきましては、和平プロセスの進展に資するかどうかといった点も含めまして、引き続き総合的に検討してまいりたいと考えております。

外交青書(拡大抑止)

【中国新聞 宮野記者】外交青書についてお尋ねします。今回の外交青書は、拡大抑止に関する特集を新たに設けて「米国の提供する核を含む拡大抑止は不可欠」と強調されています。同時に、核軍縮は日本の「責務」として取り組むというような立場も表現記述されています。このように、核廃絶を目指しながら、米国の核抑止「核の傘」は重要だというような主張は、矛盾のようにも映るわけですが、この点への認識をお伺いします。

【上川外務大臣】外交青書におきます拡大抑止の特集でも記載しているとおりでございますが、現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在する中で、こうした脅威に対応するためには、米国が提供する核を含む拡大抑止、これが不可欠と考えております。
 先週の日米首脳会談におきましても、日米両国は、核を含む、あらゆる能力による米国の拡大抑止について言及し、拡大抑止の強化継続の重要性を確認をいたしました。
 国民の生命・財産を守り抜くため、現実を直視し、我が国にとって不可欠であります、米国の拡大抑止を含め、国の安全保障を確保しつつ、同時に現実を「核兵器のない世界」という理想に近づけていくべく取り組むということについては、決して矛盾するものではないと考えております。

自衛隊と米軍の指揮統制

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル濱本】岸田総理訪米について伺います。岸田総理は、11日に、米国連邦議会で行った演説で、日本は、米国のグローバルパートナーであると述べました。既に岸田政権は、自衛隊の指揮権を米軍に委ねることを明言しており、日本の国家主権を失い、更に極東のみならず、世界中で、米軍の下部組織として自衛隊が使われることを、主権者である国民を置き去りにしたまま、米国で約束してきたとしか解釈できません。米国による対ロシア代理戦争の捨て駒にされているウクライナと同じ、悲惨な運命を日本も辿ることになるのではないかと強く懸念します。大臣のご見解をお聞かせください。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】自衛隊による全ての活動でありますが、米軍との共同対処を含めまして、我が国の主体的な判断の下で、日本国憲法、国内法令等に従って行われるものでございます。自衛隊及び米軍は、各々独立した指揮系統に従って行動をするものであります。そのため、自衛隊の統合作戦司令部が、米軍の指揮・統制下に入るということはございません。
 なお、2015年に策定いたしました日米ガイドラインにおきましても、自衛隊及び米軍の活動につきましては、「各々の指揮系統を通じて行動する」こと、また、「各々の憲法及びその時々において、適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われる」ことが明記をされているところでございます。
 統合作戦司令本部新設後の日米の調整要領については、これらを前提とする形で、いかに日米間の連携を強化できるかという観点から検討される状況でございます。その意味で自衛隊は自衛隊、日本の国の基本的な法体系を、そして、基本的な考え方に則って行動をするということが基本であると申し上げたいと思います。

イスラエルとの外相電話会談

【共同通信 桂田記者】先ほどのご発言で、1点確認させていただきたいんですけれども、中東情勢の関連で、イスラエルとの電話会談の調整されていることですけれども、これは、イスラエル外相との大臣御自身の電話会談を、近いタイミングで調整されていることでいいのかという点と、また、イランとの間の情勢についても、事態沈静化を、その電話会談の場で求めていくお考えでしょうか。

【上川外務大臣】イスラエルについてでありますが、この紛争の地域へ、更なる拡大を回避する必要性を強調してきております。イスラエルとのハイレベルの思疎通も含めまして、必要なあらゆる外交努力を引き続き行ってまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)自身、イスラエルのカッツ外相と直接話すべく、電話会談につきましては、今調整しているところでございます。
 イランにつきましては、既に貼り出ししている状況でございますので、それをご覧いただきたいと思います。

【共同通信 桂田記者】すみません、ちょっと質問の趣旨が明確ではなくて。イスラエルとの電話会談が実現した場合に、イランとの現在、情勢が緊迫化していることについて、イスラエル側に、事態の沈静化を求めるお考えはありますでしょうか。

【上川外務大臣】どういう内容を申し上げるかということ自身につきまして、今、この場で、まだ済んでいるわけではなく、今、調整している状況でありますので、その意味では、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

岸田総理の米国公式訪問

【読売新聞 上村記者】総理の訪米について、ちょっと全体的なことでお伺いします。今回の訪米では、安全保障から経済分野の先端分野まで、幅広い分野での連携で合意をしました。また、訪米中には、初めて日米フィリピンの首脳会合というものも開催されました。この訪米全体に対する、今回の成果をどのようにご覧になっているか、お聞かせください。

【上川外務大臣】まず、岸田総理大臣ありますが、4月8日から14日までの間、国賓待遇で米国を公式に訪問し、大きな成果を上げることができました。
 具体的に申し上げますと、日米首脳会談では、岸田総理とバイデン大統領の個人的な信頼関係を始めとし、日米両国が、深い信頼と重層的な友好関係で結ばれており、この、かつてなく強固な友好・信頼関係に基づきまして、日米両国が、二国間のみならず、また、地域にとどまらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を、共に維持・強化するグローバルなパートナーとなっていることを確認をすることができました。
 連邦議会での演説でありますが、米国が築き上げてきた国際秩序が、新たな挑戦に直面していること、自由と民主主義が世界中で脅威にさらされていることを指摘した上で、米国のリーダーシップが必要不可欠であること、その取組におきまして、日本は米国と共にあるということを訴え、多くの賛同を得ることができたものと考えております。
 また、ノースカロライナ州におきましては、日本企業が投資や雇用創出を通じまして、米国経済に大きく貢献していることを発信するとともに、米国の地域経済、地域社会におきましての日米間の草の根の交流の重要性などにつきましても、改めてハイライトをする機会となったところであります。
 私(上川大臣)自身も、このワシントンD.C.にて、岸田総理に同行をさせていただきましたが、日米首脳会談や、また、今ご指摘いただきました日米比首脳会合等にも同席をし、総理をお支えするとともに、ブリンケン国務長官やレモンド商務長官等と意見交換を行いまして、今次の訪問の成果につきまして、しっかりと確認をしたところでございます。
 また、日・フィリピン外相会談も行いまして、この日比、そして日米比協力の強化を確認したところでございます。
 今後も、今回の訪米の成果、これを十分踏まえながら、日米関係の更なる強化に向けまして、未来志向で取り組んでまいりたいと考えております。

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