外務省・新着情報

冒頭発言

APEC・ビジネス・トラベル・カードのデジタル化

【上川外務大臣】私(上川大臣)から、1件ございます。
 私(上川大臣)は、先般、「新しい経済外交のフロンティア」と題する講演を行い、外務省として、日本企業のグローバルな活動を積極的に後押ししていくことをお約束いたしました。そのために、今後、具体的な取組を進めていく考えでありますが、本日は、APEC・ビジネス・トラベル・カードのデジタル化を発表いたします。
 アジア太平洋地域には、21の国と地域が参加する大きな枠組みでありますAPEC(アジア太平洋経済協力)がございます。APECは、1989年の誕生以来、自由貿易の促進を始め、持続可能な成長と繁栄に向けた協力を進めてまいりました。私(上川大臣)も、昨年、サンフランシスコで開催されました閣僚会議に出席をいたしました。
 APECにおける協力の一つとして、ビジネス関係者が、このAPEC・ビジネス・トラベル・カードで、APECの国・地域に短期商用目的で入国滞在する際、ビザなしで専用レーンを通って入国できる制度がございます。これは、域内におけるビジネス関係者の交流を促進するものとして、評価を得ておりますが、更なる利便性向上のために、不断に検討を行っているところであります。
 今般、4月1日から、本カードのオンライン申請が始まり、カード自体もスマートフォン等のアプリ上に表示するデジタル交付を開始します。これにより、いつでも、どこからでも、オンラインで申請を行っていただけるなど、利便性が大きく向上し、交付までの所要期間も短縮され、引いては、日本のビジネス関係者による域内でのビジネス活動の拡大につながることを期待しております。
 以上、詳細につきましては担当部局に照会願います。
 私(上川大臣)からは、以上です。

北朝鮮制裁委員会専門家パネルのマンデートに関する安全保障理事会決議案の否決

【読売新聞 上村記者】国連安保理の「北朝鮮専門家パネル」についてお伺いします。28日の安保理で、ロシアが、専門家パネルの任期延長案に、拒否権を行使しました。長年にわたって、制裁状況の制裁決議の履行状況を監視して、また活動が止まる見込みですが、受け止めと、今後の影響についての見通しをお聞かせください。
 また、今月いっぱいは、日本が、安保理議長国でもありますが、外務省としての、今後の対応についてもお聞かせください。

【上川外務大臣】まず、3月28日、ニューヨーク時間の28日でありますが、米国提案の国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルのマンデートに関する安保理決議案が、ロシアの拒否権行使により否決されたことは遺憾であります。
 このパネルは、2009年の設置以来、毎年、全会一致で延長し、その調査活動を通じて、関連安保理決議の実効性を向上させるための重要な役割を果たしてきました。
 こうした中で、我が国を含む多くの理事国は、パネルのマンデートについて、理事国間の意見の相違を乗り越えるべく、誠実、透明かつ率直な議論を行い、理事国の中で、本決議案に対する広範な支持が得られていたところでございます。
 しかしながら、常任理事国として、国際の平和及び安全の維持に大きな責任を負うべきロシアが、拒否権を行使するという選択をしたことは、国連及び多国間主義の軽視でありまして、グローバルな核不拡散体制を維持する、という安保理理事国としての重責に反する行為であり、残念であります。
 今後でありますが、日本政府といたしましては、関連安保理決議の完全な履行に向けて、米国、韓国を始めとする同志国と、これまで以上に緊密に連携しながら、更なる対応を検討してまいります。
 同時に、安保理理事国として、引き続き、北朝鮮制裁委員会での議論を含め、北朝鮮への対応に関する議論に積極的に関与し、他の理事国等と緊密に意思疎通を行いつつ、安保理が、本来の役割を果たすことができるよう、尽力してまいる所存でございます。

UNRWAへの資金拠出再開の見通し

【NHK 五十嵐記者】UNRWAの関連で伺います。大臣は、昨夜、UNRWAのラザリーニ事務局長と会談し、職員がイスラエル攻撃に関与した疑惑をめぐり、ガバナンスの強化について説明を受け、両者で停止している資金拠出の再開に向けて、最終調整を行うことで一致しました。日本政府として、拠出再開の時期は、いつになるのか、また、その意義と併せて伺います。

【上川外務大臣】パレスチナ難民支援におきまして、UNRWAが不可欠な役割を果たしていることについては、国際社会でも広く認識されておりまして、昨日、私(上川大臣)から、ラザリーニ事務局長に対して、だからこそ、日本として、UNRWAの活動を70年以上にわたり支援してきたと申し上げたところであります。
 そして、UNRWAへの拠出金につきましては、日本国民の税金を原資とする貴重なものであり、日本の支援が、いかなるテロ活動にも使われないことを確保するための実効的な措置がとられることが重要であることを強調したところでございます。
 その上で、でありますが、昨日、ラザリーニ事務局長との会談におきましては、UNRWAのガバナンス強化のための改善策等につきまして、説明を受けたところであります。日本の拠出再開のために、必要な取組を確実なものとするため、最終的な調整を行っていくこととしておりまして、それを踏まえて、最終的に判断してまいりたいと思っております。
 一層のスピード感をもって検討を進めてまいりたいと考えております。

ICJによるイスラエルに対する暫定措置命令

【共同通信 桂田記者】国際司法裁判所ICJによる、イスラエルへの暫定措置命令について伺います。ICJは、昨日、「パレスチナ自治区ガザの人道状況が悪化して、住民は、飢餓に見舞われている」として、緊急支援物資を届ける、あらゆる措置を講じるよう、イスラエルに求める暫定措置命令を出しましたが、大臣の受け止めをお願いします。
 また、ICJは、1月にも、ジェノサイドを防ぐあらゆる措置を取るよう命じる暫定措置を出していますが、これらの判断を受けて、イスラエル側、どのように対応するべきかとお考えでしょうか。

【上川外務大臣】昨年12月に、南アフリカが、イスラエルを国際司法裁判所ICJに提訴した事案につきましては、日本時間29日、現地時間28日でありますが、ICJは、追加的な暫定措置命令を発出したものと承知しております。
 国連の主要な国際司法機関でありますICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものであります。誠実に履行されるべきものと考えます。我が国といたしましても、ガザをめぐる危機的な人道状況を、引き続き、深刻に懸念しておりまして、イスラエルに対して、自国及び自国民を守る権利の行使に際して、国際人道法を含みます国際法を遵守するよう、求めてきております。
 引き続き、関係国・国際機関と緊密に意思疎通を行いつつ、全ての当事者に、国際人道法を含む国際法の遵守や、また、安保理決議第2728号を含みます関連の国際安保理決議に基づいて、誠実に行動することを求めつつ、人質の即時解放、そして人道状況の改善、そして事態の早期沈静化に向けました外交努力につきましては粘り強く、積極的に続けてまいりたいと考えております。

核兵器禁止条約とNPTの補完性

【中国新聞 宮野記者】核軍縮・不拡散をめぐって、先週開かれた国連安保理閣僚級会合に関連してお伺いします。会合の中で一部の理事国は、核兵器禁止条約について、意義を強調し、核軍縮・不拡散の面で、NPTを補完するというような主張していました。核兵器禁止条約とNPTの補完性についてですが、「ある」「なし」どのように立場にあるのか、日本政府の考えをお聞かせください。

【上川外務大臣】ご質問いただきました核兵器禁止条約とNPTとの「補完性」についてでございますが、様々な立場があるものと承知しております。核兵器禁止条約の締約国を中心に、そのような主張がなされており、先般の安保理閣僚級会合におきましても、複数の国から同趣旨の発言がございました。
 まず、核兵器禁止条約でありますが、これは「核兵器のない世界」の出口とも言える重要な条約でありますが、同条約におきましては、核兵器国は一か国も参加しておらず、いまだ、その「出口」に至る道筋は立っていないというのが現状であります。
 こうした中におきまして、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければならないと考えております。
 一方、NPTでありますが、核兵器国・非核兵器国の双方が参加をする国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であります。NPTを維持・強化していくことは、「核兵器のない世界」に向けた現実的な道であり、先般の安保理会合におきましても、この点につきまして、意見の一致が見られたところでございます。
 我が国といたしましては、引き続き、「核兵器のない世界」に向けて、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を、一つ一つ実行していくことで、現実的かつ実践的な取組を継続・強化してまいります。

ガザ情勢と広島への原爆投下の類似性

【アナドル通信社 メルジャン・フルカン記者】ガザでは、5月の間にイスラエルの攻撃により、3万5,000人近い罪のない民間人が命を落とした。第二次世界大戦中、1945年の米国の原爆攻撃では、広島のものだけで、7万人以上の罪のない民間人が命を奪われました。国際社会は、ガザでは、攻撃を、80年前に広島で起こった民間人の殺害を彷彿させるとしています。日本の外務大臣として、この見解に同意されますか。ちなみに、ラマダン期間中も続くイスラエルによるガザ攻撃に関する、日本政府の最新の立場を説明していただけますか、お願いします。

【上川外務大臣】今、ご指摘いただきました点につきまして、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきますが、我が国として、子供、女性、高齢者を含む多数の死傷者が発生しているガザ地区の危機的な時の状況を、引き続き、深刻に懸念している状況でございます。人道支援活動が可能な環境、これを確保し、また、人質の解放につながるような人道的停戦が、速やかに実現をし、そして、持続可能な停戦が実現することを目指して、様々な外交努力を行ってきたところでございます。
 先般、3月25日でありますが、国連安保理で、我が国が議長を務めた中で採択されました、ラマダン期間中の即時停戦や、また、全ての人質の即時・無条件の解放を求める等の内容の決議第2728号につきましても、共同の起草国として、理事国内の議論・調整に積極的に取り組み、本決議案に賛成票を投じたところでございます。
 引き続き、関係国への働きかけ等の外交努力を積極的に、粘り強く行ってまいります。そして、全ての当事者に対しましては、国際法の遵守や、また、関連の安保理決議に基づき、誠実に行動することを求め続けてまいります。

核兵器禁止条約とNPTの補完性

【中国新聞 宮野記者】先ほどの質問に関連してなんですが、NPTが、核軍縮・不拡散の要として重要だという点は、そのとおりかなと思うんですが、それに対して、禁止条約の加盟国が、「NPTを補完する存在が禁止条約だ」と主張されてました。その補完性の主張に対しての、日本政府の立場というのは、いかがなものでしょうか。

【上川外務大臣】先ほど、いろいろな立場があると申し上げたところでございまして、日本としては、先ほど申し上げたとおり、この「核兵器のない世界」に向けて、具体的、現実的かつ実践的な取組を進めていくと、こういう立場で、今「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を進めているという、そうした方針で、今動いている状況でございます。

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