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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年2月16日(金)09:15~09:30 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、中央環境審議会から脱炭素型資源循環システム構築に向けた具体的な施策の在り方について意見具申がありました。中央環境審議会の小委員会では、昨年7月以降、合計6回にわたり、熱心に御議論いただきましたことに感謝の意をお伝えしたいと思います。意見具申では、循環経済の実現に向けた取組を進めることで、脱炭素化や、産業競争力の強化、地方創生といった課題の解決につなげるべく、再生材の質・量を確保するための高度な再資源化の取組に対する国の認定制度の創設などの御意見をいただきました。
 環境省としては、この意見具申を受けて、この通常国会に廃棄物の再資源化の高度化等につながる事業者の取組を促進する法案を提出すべく検討を進め、循環経済の実現に向けた取組を加速してまいります。
 

2.質疑応答

(記者)産経新聞、織田でございます。よろしくお願いします。先日の移行債の入札ということで伺いたいと思います。先日、GX推進法に基づいて、10年クライメート・トランジション利付国債というのが初めて入札がありました。これについての率直な受け止めというのを伺いたいのと、あわせて、今後は国債の償還にもつながるカーボンプライシング制度というものの具体化をしていくことになると思うのですが、環境省としてはどういうふうに関わっていかれるか、この辺りを伺いたいというふうに思います。
(大臣)一昨日、世界初の、国によるトランジション・ボンドの初回の入札が行われました。GX経済移行債は、今後10年間で20兆円規模の発行を予定しておりますけれども、今回の入札は、我が国のGX実現に向けた資金調達の第一歩になったと受け止めております。
 環境省としては、これまで、グリーンボンドガイドラインの策定などを通じて、グリーンファイナンスの促進に取り組んでまいりましたけれども、引き続きこういった知見を活かしながら、グリーンファイナンス市場の発展に貢献してまいりたいと思います。
 そして、カーボンプライシングについては、GX推進法に基づき、排出量取引制度や、炭素に対する賦課金を含む成長志向型カーボンプライシングの導入が決定されております。今後、私自身も参画するGX実行会議を中心に、制度の詳細設計に向けた議論を進めていくことになります。引き続き、経済産業省とも緊密な連携をして、制度の検討に積極的に貢献してまいりたいと、そういうふうに考えております。
 
(記者)日経新聞の田中です。2点あります。まず1点目は、NEDOが昨日、廃棄物・資源循環分野のカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に着手するという発表をしたんですけれども、こちら環境省として、どのように取組に関わっていくかということと、廃棄物分野での脱炭素というのは急がれると思うんですけども、今回NEDOの発表事業のみにならず、環境省として、この分野にどういうふうに対応していくかという大臣のお考えをお願いします。
(大臣)グリーンイノベーション基金事業というのは、2050年カーボンニュートラルに向けて、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、研究開発、実証から社会実装までを継続して支援していくものでございます。この廃棄物・資源循環分野は、我が国の温室効果ガス排出量の約3%を占めるとともに、資源循環の取組により温室効果ガスの排出削減に貢献できる余地がある部門の排出量の割合は、全部合わせると約36%という試算もございます。このため、廃棄物・資源循環分野での脱炭素化を推進することは極めて重要であると考えております。今回採択された事業は、いずれも廃棄物を資源として循環させ、温室効果ガスの排出削減に資するカーボンニュートラル型の廃棄物処理施設の技術開発・実証を行うものでございました。その成果に大きく期待しております。
 環境省としては、この本基金による廃棄物・資源循環分野のプロジェクトの責任主体として、事業の進捗を管理し、開発・実証を行う技術の社会実装を実現するための施策を推進してまいります。また、エネルギー対策特別会計やGX経済移行債を活用して、本分野における脱炭素化に資する設備投資等の先進的な取組などへの支援も行ってまいります。さらに、本日、中央環境審議会の意見具申も踏まえて、脱炭素と資源循環の取組を一体的に後押しする法案の提出に向けた検討などの制度的対応も進めてまいりたいと、そういうふうに考えています。
(記者)話題が変わって原子力防災なんですけど、原発事故時の避難について、原子力規制委員会がおととい、水曜日の定例会合で、屋内退避の関係で期間などを議論する検討チームをつくるということを決めていたのですけど、一方で、規制委の山中委員長は記者会見で、自然災害への対応は自分たちの範疇ではないという発言を何回か繰り返しています。今回の検討チームというのは、あくまで屋内退避のタイミングの議論に限る方針ということのようなのですけど、こういった規制委の考え方というのは、原子力防災担当大臣としてどういうふうに見ていらっしゃいますか。
(大臣)まず、この高い独立性を有する原子力規制委員会の議論であるため、コメントは差し控えたいと思いますが、検討チームの設置については、内閣府原子力防災担当も参画いたしますので、しっかり議論に貢献していきたいと思います。内閣府としては、今回の地震の教訓を踏まえ、地域原子力防災協議会の枠組みの下、原子力災害の対応の実効性向上にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
(記者)自然災害の対応というのは、自分たちの範疇ではないという委員長の発言があったんですけど、範疇かどうかというのは、内閣府の原子力防災の範疇ということですか。
(大臣)というよりは、自然災害と原子力災害の複合災害時というのは常に私たちの視野に入っているところでございます。関係省庁と関係自治体が一体となって、住民の皆様の生命、身体の安全を守る、これが極めて重要なので、そのための事前の準備を行っていくものでございます。内閣府は、この地域原子力防災協議会を設置し、大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定して、地域の避難計画を含む緊急時対応を取りまとめ、あるいは取りまとめに向けた検討を進めております。内閣府としては、地域原子力防災協議会の枠組みの下、今回の地震の被災状況、これもしっかり検証して、地元の声もお聞きしながら、引き続き、複合災害の対応を含め、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えております。
 
(記者)新潟日報の齋藤と申します。今ほどの質問に関連して、その規制委が自然災害は対応の範疇外だということで、ただ、新潟県、柏崎刈羽原発が立地している地元では、その複合災害時の対応について懸念の声が、本当に身を守れるのかということで強く挙がっています。今ほど、内閣府として地域防災協議会の枠組みでというお話がありましたが、その自然災害等について規制委が議論しないということなんですが、国としては、どの省庁が一時的に責任を持って対応を検討されていくのか、大臣のお考えをお願いしたいと思うのですが。
(大臣)どの省庁がということでありますけど、これは国として一体として取り組んでまいりたいと思います。ただ、地域防災計画というのは、まず自治体において見直しの要否が検討されるというふうに認識しております。この見直しの意向が自治体からあれば、内閣府として、しっかりその支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
 ちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほどの答弁とちょっとかぶりますけども、内閣府としては地域原子力防災協議会を設置して、大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定して、地域の避難計画を含む緊急時対応を取りまとめ、また取りまとめを受けた検討を進めております。
 今回の被災状況、これもしっかり検証して、引き続き複合災害の対応を含め、原子力災害への対応、この実効性の向上に取り組んでまいりたいと思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。来週月曜日、19日ですが、政府のウクライナの復興支援会議があります。環境省としては、どのような方針、また、対応で取り組む予定でございましょうか。
(大臣)御指摘のように、2月19日月曜日、我が国において、日本・ウクライナ経済復興推進会議が開催される予定でございます。ウクライナとは、先月から今月にわたって実施されているJICA研修プログラムに全面的に協力し、我が国の災害廃棄物の処理の技術、法制度、経験などを共有しているところでございます。私の地元の宮城県、福島県にも御訪問いただき、東日本大震災からの復興の状況も御確認いただき、大量のがれきや廃棄物の処理に苦労しているウクライナに対し、引き続き積極的に協力してまいりたいと思います。
 また、ウクライナの復興においては、環境保全、脱炭素と復興を両立する、いわゆるグリーン復興、これが重要だというふうにも考えています。今後、ウクライナのニーズも踏まえつつ、脱炭素などの分野においても協力を深めてまいりたいと、そういうふうに考えます。
 
(記者)産経新聞、織田でございます。メタネーションという技術のことでちょっと伺いたいんですけれども、今は工場から出るCO2と水素を混ぜて作って、排出を実質ゼロにするというeメタンとか合成メタンと言っていますけれども、これを日米の民間企業ベースで、今、頑張って実用化、特に2025年に投資決定をしたいんだというようなことで動いていると。ただ、どうしてもその国際的なルール、すなわち、どっちが排出したことにするのかとか、そういうのが決まらないことには前に進まないということで、政府への期待があります。これ、タイム感というか、リミット感ということも含めて、環境省としてどういうふうに取り組んでいかれたいのか、国際的な議論の場でルール作りということを進めるお考えについてお伺いをしたいというふうに思います。
(大臣)はい、お答えしたいと思います。御指摘のeメタンをはじめとするカーボンリサイクルの燃料、これは既存のインフラや設備を利用可能であるということから、脱炭素の実現に向けて活用を進めていくことは非常に重要だというふうに認識しております。
 昨年4月の「G7気候・エネルギー・環境大臣会合」の閣僚声明を踏まえて、11月には「CCU/カーボンリサイクル技術に関するワークショップ」を経産省と共に開催し、国際的な議論を進めてきたところでございます。今後のeメタン等の活用推進に向けては、今御指摘があったように、民間企業における具体的なプロジェクトの進捗状況、検討状況を踏まえつつ、まずは関係者間の理解を深めていくことが重要だと思っております。環境省としては、CO2削減量算定に関する様々な知見を活かして、関係省庁及び事業者とも連携し、eメタンの活用に向けた議論に貢献してまいりたいというのが現在の回答でございます。
(記者)例えば、今年度とか来年度中に何かアクションというか、そういう国際的な議論の場であるとか、そういったところで進められていくお考えは何かありますか。
(大臣)ちょっと現時点ではその具体的な日程を明示する段階ではないというふうに考えております。
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/TnbvYYf1HZs?si=B2DnmG0zVb873Bdp
 
 

(以上)

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