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2024年02月01日

第10回日米渡り鳥等保護条約会議の結果概要について

第10回日米渡り鳥等保護条約会議の結果概要について

第 10 回日米渡り鳥等保護条約会議が、2024 年1月 24 日~25 日にかけて、アメリカ合衆国ハワイ州・ホノルルにて開催されました。 日米両国を行き来する渡り鳥や絶滅のおそれのある鳥類の生息状況、保全施策及び共同研究等に関する情報共有のほか、今後の協力のあり方に関する意見交換を行い、2026 年に開催予定の次回会議までに取り組む事項を確認しました。

■ 会議の経緯について

我が国は、日米渡り鳥等保護条約(注)に基づく日米渡り鳥等保護条約会議を概ね2年ご とに開催しています。
本会議において、両国における鳥インフルエンザの発生状況など、渡り鳥や絶滅のおそれのある鳥類とその生息環境を保護するための最新情報を共有するとともに、二国間で実 施されている研究等について議論を進めてきました。
2018 年 11 月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていましたが、
この度約5年ぶりに開催されました。

(注) 〇 正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する 日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」:昭和 49 年9月 19 日発効 

■ 開催日程

2024 年1月 24 日~25 日

■ 開催場所

アメリカ合衆国ハワイ州・ホノルル

■ 会議の概要

〇 前回会議以降の渡り鳥保全への取組状況
アメリカ合衆国から、渡り鳥条約の国内法(the Migratory Bird Treaty Act)で の保全対象種一覧の更新、
コアホウドリやクロアシアホウドリ保全の現状、高病原 性鳥インフルエンザ対策としての希少鳥類へのワクチン接種の概要などについて報告がありました。
日本からは、鳥類での国内希少野生動植物種の新規指定及び指定の解除の状況、「生物多様性国家戦略 2023-2030」の概要、ラムサール条約湿地の新規登録や東アジア・ オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)に基づく日米での姉妹湿地提携など、最新の動向について報告しました。

〇 保全のための共同取組
アメリカ合衆国から、コクガンの繁殖地の現状や追跡調査に関する成果が共有されました。
日本からは、最新の追跡調査の結果を共有したほか、両国間を渡るハクガン、シジュウカラガン、コクガン、マガンの4種について、地域や種によって傾向は異なるものの概ね個体数は増加傾向にあること、
さらには保全管理計画の策定の重要性 について報告しました。

〇 互いに関心のある事項
(1) 高病原性鳥インフルエンザ
日本での昨シーズンの大規模な野鳥での感染をはじめ、両国における発生 やサーベイランスの状況について情報共有と意見交換を行いました。
また、両国の連絡窓口を交換し、迅速な情報共有に係る連携協力につい て確認しました。

(2) シギ・チドリ類の保全
アメリカ合衆国よりハマシギについて、自国内の繁殖地における標識調 査や追跡調査により、特に東アジアで越冬する亜種キタアラスカハマシギ (Calidris alpina arcticola)の生存率が低く、中継地や越冬地における 追跡調査などの研究が重要であると報告がありました。
日本からは、国内におけるシギ・チドリ類のモニタリング調査の結果等か ら、生息環境や渡りの特性に関わらず多くの種で個体数が減少傾向にあるこ と、日本で優占するハマシギに着目し、調査・保全活動を進めていくことを 報告しました。

(3) 海鳥類の保全
アメリカ合衆国よりシロハラミズナギドリやオーストンウミツバメの生 息状況と、気候変動による海面上昇により繁殖地の減少が懸念されることが 報告されました。
日本からは、シロハラミズナギドリを含む海鳥類の生息状況、捕食者であ る外来生物の脅威、鳥島におけるアホウドリの個体数が増加傾向にある状況 や保全の取組等について共有しました。

○ その他
次回会議は2年後に日本において開催予定とすることで合意しました。

連絡先

環境省 自然環境局 野生生物課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8284
課長
中澤 圭一
課長補佐
守分 紀子
専門官
酒井 郁
担当
木村 勇貴

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