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令和5年9月1日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

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国際卓越研究大学の認定候補に関して,「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策推進本部」の開催、「学びの多様化学校」の名称について,令和6年度概算要求のポイント,優れた研究人材の確保と奨学金制度について,概算要求を踏まえた教育予算確保に向けて,教員のメンタルヘルス対策,新学期を迎える児童・生徒にむけたメッセージ,「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録に向けたイコモスの調査について

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年9月1日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年9月1日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年9月1日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からはですね、本日2件ございます。
 まず1件目でございます。大学ファンドの支援対象となります国際卓越研究大学の審査の状況について、お知らせを申し上げます。10大学からの申請につきまして、この4月から、有識者会議におきまして、大学側との丁寧な対話や研究現場の視察を通じまして審査を実施してまいりました。この度、8月30日の有識者会議におきまして、東北大学につきまして、一定の条件を満たした場合に認定するという留保を付しまして、国際卓越研究大学の認定候補とすることが適当との判断に至ったと報告を受けました。今後ですね、東北大学におきましては、法律に基づく認定・認可に向けまして、有識者会議が付す条件を踏まえて、体制の強化計画の磨き上げや、合議制の意思決定機関の設置等のガバナンス変更準備が行われます。その状況につきまして、有識者会議で継続的に確認をしてまいりたいと思っております。今回の公募では、10大学からそれぞれに意欲的な提案がありました。多様で重み(注)のある研究大学群の形成に向けまして、文部科学省として対話を継続するとともにですね、各種事業や規制緩和を通じまして、各大学の挑戦を後押ししてまいりたいと思っております。なお、次回の公募は、大学ファンドの運用状況等を勘案をいたしまして、初回の国際卓越研究大学の認定後、令和6年度中に開始を予定するところでございます。
 2件目でございます。昨日、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」の第2回を開催をいたしました。本部では、令和6年度の概算要求事項と今年3月に公表いたしました「COCOLOプラン」の進捗状況を報告いたしまして、私からは、多様な学びの場の確保や1人1台端末等を活用した支援等につきまして、必要な予算の確保を含め、加速度的に取組を進めるように指示をいたしました。また、「不登校特例校」の新たな名称につきまして、より子供たちの姿勢に立った名称とするために、「不登校特例校」に通う児童生徒や教職員から意見を募集をいたしまして、新たに「学びの多様化学校」とすることに決定をいたしました。この場をお借りしまして御意見をいただきました、御提出いただきました皆さまに御礼を申し上げます。引き続きまして、本部におきまして進捗状況等をしっかりと確認しながらですね、不登校施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 以上です。
(注)「重み」は、正しくは「厚み」です。

記者)
 幹事社から概算要求に関して2点お伺いします。まず文科省の来年度の概算要求に関して狙いや特に重点を置いている施策について御説明をお願いいたします。また、教師人材確保方策として奨学金返済支援も検討とされました。返済免除制度に関しては教育や研究の職に携わる人を対象とした同様の返済免除制度が過去にありましたが廃止されています。研究力低下が懸念される中で、研究職に就く人たちについても奨学金の返済支援をしていく必要性に関してはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 今回の概算要求におきましては、先般閣議決定をされました「経済財政運営と改革の基本方針2023」等を踏まえまして、総額5兆9,216億円、前年度の予算額と比較いたしまして6,275億円増額の要求を行っております。要求したものの全てに力を入れていきたいと考えております。例えばですね、私の下で取りまとめました「せかい×まなびのプラン」ですとか「COCOLOプラン」の実現をはじめといたしまして、教師等の働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、そして育成支援の一体的な推進ですね、そしてGIGAスクール構想の着実な推進と学校DXの加速化もあります。そして、部活動の地域移行、また地域クラブ活動移行とも言いますか、それも頑張りたいと思いますし、また博士課程学生の処遇の向上と研究環境確保というのも大事です。そして生成AIに関します研究開発や人材育成、それからもうパリオリンピックが近くなっております。パリオリンピック・パラリンピックの競技大会を見据えました競技力向上というのも大切でございます。また、文化財保護や文化芸術活動の充実などにですね、必要な経費を概算要求に盛り込んだところでございます。必要な予算ですね、これをしっかりと確保できますように、財務当局との折衝に全力で臨んでまいりたいと考えております。
 そしてもう一つ御質問いただきました。大学教員等に対します奨学金の返還免除制度についてはですね、過去に、特定の職種のみ優遇することの公平性の観点などから廃止をされました。今般の概算要求では、教師の人材確保の観点から奨学金の返済支援を検討することとしておりまして、研究力向上の観点から、過去と同様の制度の復活は考えておりません。他方ですね、優れた研究人材の確保のために、文部科学省では、世界で戦える優秀な若手研究者の育成、そして博士後期課程学生への経済的支援の抜本的な拡充とキャリアパス整備などにつきまして、取り組んでおりまして、令和6年度の概算要求におきまして、必要な経費を計上しているところでございます。

記者)
 冒頭発言で今回、国際卓越大学の審査について触れていまして、その中で今後は令和6年度中に次の公募を行うということをおっしゃられていたと思うんですけれども、その中で今後申請する大学に期待するポイントであったり、重点的に評価したいポイントがあればぜひ教えてください。

大臣)
 認定候補に選ばれませんでした9大学につきましても、現状を変更しようとする強い意志に基づく意欲的な提案がなされたと有識者会議から報告は受けております。私からはですね、各大学が改革に向けまして熱心に取り組んでいただいたことにつきまして、敬意を表したいと思っております。今後ですね、研究力の強化に向けまして、各大学との対話を継続するとともにですね、本事業をはじめといたします多様な支援によりまして、各大学の改革の取組というものをしっかりと後押ししたいとそう思っています。

記者)
 大学ファンドについてお尋ねします。科学技術振興施策についてこの四半世紀、政府は様々な改革を打ち出してきましたけれども、現状の科学技術研究力の低下は御存じのとおりです。その検証や反省もないまま、また新しい政策を打ち出されるわけなんですけれども、今回の政策は日本の有力大学の将来の姿を変えかねない政策になっています。にもかかわらず、大学や研究者からは制度そのものについての疑問の声や審査のプロセス、アドバイザリーボードの規模そのものに対しての疑問も投げかけられています。この制度そのものを今後進めるにあたって検証や見直しというのを絶えずされていくお考えはおありでしょうか。

大臣)
 今、大変厳しい御指摘をいただいたかと思っております。これからの検証というものも必要になろうかと思っておりますが、その時その時でしっかりと考えてまいりたいと思います。

記者)
 私は概算要求について伺いたいんですけれども、まず先日、働き方改革の推進本部のほうで大臣もおっしゃられていたんですが、教職員定数の大幅な改善が必要であるというようなお話で、今回の概算要求に関して大臣としてそのようなことが実現できているかという御認識を伺いたいのと、あと教職員定数に関してはどうしても少子化の関係で削減圧力がずっと働き続けてきたわけですけれども、今年度の概算要求、今後の予算折衝もなかなか厳しい指摘が入る可能性があるとは思うんですが、どのような姿勢で財政当局と予算の交渉に臨まれるのかというお考えを伺えればと思います。

大臣)
 少子化というのは本当に我が国日本にとりまして直面する最大の危機であると、そういうふうに思っております。少子化の様々な要因の一つといたしまして、子育てや教育に係る経費ですね、この費用負担の重さというのが指摘されております。教育費の負担軽減というのは、やはり少子化だからこそ着実に進めて、また、公教育の再生に向けた取組というのもしっかりと進めていく必要があろうかと思っております。今回の概算要求におきましては、それぞれの学校段階に応じた負担軽減策に必要な経費のほかに、教師等の働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、そして育成支援の一体的な推進ですね、などに必要な経費を盛り込んだところでございます。言うまでもなくですね、やはり教育というのは国ですとか社会の礎でございます。そして発展の、日本の国の発展の原動力になろうと思っております。教育施策を充実させるために必要な予算というのをしっかりと確保できますように、財務当局と折衝に向けまして全力で取り組んでまいりたいと思っています。

記者)
 教職員定数の予算要求に関しては大臣としては十分だというふうに考えでしょうか。

大臣)
 これはですね、もう既にお分かりのことと思いますけれども、教職員定数の改善、それから予算の確保に取り組むことは今の段階でできることということでございます。中教審には諮問しておりますけれども、その答えが出るというのは来年の春になるということでございますので、そこだけを待っていたのでは遅くなってもできることを今やらなければという気持ちがございまして、今回、来年の予算要求にできることをしっかりと盛り込ませていただいたというのが実情でございます。

記者)
 また概算の話で恐縮なんですが、教員のメンタルヘルス対策について伺います。人事行政状況調査でも離職した教員が過去最多となって、別の調査でも離職した教員が過去最多となったとして、文科省は今年度予算に7,000万円を計上して原因分析、モデル事業の構築のための研究事業に着手しています。概算にも同様の、どの程度の予算を計上してまさに研究事業を継続、発展させていくということのようなんですけれども、このメンタルヘルス対策に対する大臣御自身の問題意識、そして一定の目的地、ゴールをどこに描いていらっしゃるのかという、イメージしていらっしゃるのかというのをお聞かせください。

大臣)
 教職員の精神疾患によります病気休職者数というのは令和3年度におきまして5,897名と過去最多でございます。教職員のメンタルヘルス対策の充実・推進を図ることは本当に喫緊の課題であるとそう認識をしております。やはり児童生徒が心身ともに健康にですね、成長していくためには、やはり教師自身も本当に心身ともに健康であるということが大切だと思っております。先日、中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」からいただきました提言におきまして、教育委員会がですね、有効なメンタルヘルス対策を実施できますように、国におきまして要因分析や対策の好事例を創出することが求められたところでございます。この緊急提言も踏まえまして、令和6年度の概算要求におきましても調査研究事業に関する必要な経費を計上したところでございます。文部科学省といたしましては、教師が疲労や心理的負担を過度に蓄積をして心身の健康を損なうことがあってはならないというふうに考えておりますので、今後とも、教職員のメンタルヘルス対策ですとか学校におけます大変重要な働き方改革ですね、一体的に取り組んでまいりたいと思っています。

記者)
 今日から9月を迎えてほとんどの学校で夏休みが明けましたが、新学期を迎えて長期休暇の後に児童生徒が自殺するのが多いのが現状にありますが、大臣から改めて児童生徒に向けてメッセージをお願いします。

大臣)
 やはり今日から9月1日、昔を思い出しますと9月1日、学校行くんだな今日からと。夏休みが終わったなという思いがいっぱいでしたよね。やはり長期休業明けにですね、児童生徒等の自殺者数が増加する傾向にあることを踏まえまして、私のほうから既にですね、8月15日と29日に児童生徒や学生等の皆さんにあてたメッセージを発信したところでございます。申し上げます。生徒の皆さん、誰にでも不安や悩みはあります。不安や悩みを抱える児童生徒や学生の皆さん、皆さんは決して1人ではありません。御家族、先生、そして周りの友達など信頼できる人というのが不安や悩みをしっかりと受け取ってくれると思います。ぜひ話をしてみてください。まわりの人に相談しづらいときは、文部科学省の24時間子供SOSダイヤルや各地域の電話やSNSで相談できる窓口を利用してみてください。不安や悩みを自分1人で抱え込まずに、ぜひ声に出してもらいたいと思います。私は、文部科学大臣といたしまして、本当に皆さんが安心して学校に通える体制というものをしっかりと整えていくことをお約束いたします。

記者)
 世界遺産の関係でお伺いします。佐渡金山の世界遺産登録を目指している新潟県佐渡市でイコモスによる現地調査が30日まで行われました。登録実現に向けては重要な局面だったかと思いますが、大臣の受け止めをお願いします。

大臣)
 8月24日から30日まで7日間ですね、我が国が世界文化遺産に推薦をしております「佐渡島の金山」に対するイコモスによります現地調査が行われました。これまで新潟県、佐渡市、関係省庁と連携をいたしまして、入念な準備を進めてきたところでございまして、調査員の方にはですね、「佐渡島の金山」の保全管理の状況ですとか、あと地域の協力状況について丁寧に説明を行い、そして十分に理解いただけたと、そういう報告を受けております。今後はですね、引き続きましてイコモスにおけまして審査が行われて、例年通りであれば来年春頃にイコモスの評価結果が明らかになる予定でございます。引き続きまして新潟県、そして佐渡市、それから関係省庁と連携をいたしまして、「佐渡島の金山」の文化遺産としての素晴らしい価値が評価されますように、世界遺産への登録実現に向けまして全力で取り組んでいきたいと思っています。

(了)

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