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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年8月1日(火曜日)11時15分~11時34分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 中国による日本産食品の輸入規制について
  • 乳製品の値上げについて
  • ALPS処理水の海洋放出について
  • 主食用米の需給及び米価の見通し等について
  • スイスの日本産食品の輸入規制の撤廃について

質疑応答

  • 中国による日本産食品の輸入規制について(1)

記者

  中国や香港、マカオの税関当局において、日本産食品の通関がこれまでより遅れているという問題についてお尋ねします。これまでは水産物でしたが、最近では他の食品にも検査が厳格化していますが、先日の大臣会見では、大臣から詳細な状況については確認するという趣旨のご発言がありました。この調査した結果と合わせて、政府として何か中国などに対して、踏み込んだ対応を検討されているものがあればお聞かせください。

大臣

  日本産食品、特に水産物を中心にして、日本産食品の輸入規制について、通関遅滞が出ているということを我々も承知をしています。具体的な状況について、まだ詳細は確認中ですが、聞き取りを行ったところ、一部発生をしているとの情報も確認しています。引き続き正確な状況の把握に努めるとともに、関係省庁と連携して、今後の対応を検討してまいります。今、何をするということについては、農林水産省は特に生ものの水産物などが(通関で)止まって、これは(事業者が)引き取らざるを得ないという状況にもなりつつあるので、まだ検討も具体的には進んでいませんが、何らかの対応をしなければいけないと思います。

記者

  先日の会見では、中国などがどういった理由で止めているのかということについて、そこが分からないので、対応のしようがないのだという趣旨のご発言あったと思うのですけれども、裏返せば、政府としてなぜその止めているのかというのを公に何かこう踏み込んで尋ねたり、何かそういうアクションというのをお考えありますでしょうか。

大臣

  なぜ、止めているのか、通関に時間がかかるのだと言っても、理由は一切、中国も香港も言っていませんので、日本として対応のしようがない状況です。具体的に話があれば、こちらの方も反論できるのですけれども。ただ、検査に時間がかかっているような話だと思っていますので、具体的にはこちらもコメントはしていないところです。

  • 乳製品の値上げについて

記者

  生乳のことでお伺いします。今日から8月に入りまして、飲用向けを中心とした乳価が1キロ当たり10円引き上げられました。これに伴い、牛乳やヨーグルトなど多くの品目が値上げとなるわけですけれども、生産コストの増加が価格に反映されたことへの受け止めと、今後の需給への影響についてどのように見ているかをお願いします。

大臣

  8月1日から、原料の乳価が(1キロ当たり)10円引き上げられたことは、以前に、メーカーと指定団体との話し合いの中で決まっていたことですが、本日から値上げが実施されるということを我々も承知していますけれども、値上げ後の価格がどのぐらいかというのは、調べるように今朝、(省内に)指示をしたところです。具体的に(乳業メーカーの値上げを)申し上げますと、明治は出荷価格の1%から11%引き上げるというような話を聞いています。雪印は4.3%から17.4%で、森永が1.6%から9.9%という幅があるので、実際この幅の中でどのぐらい値上げをしたというのは、小売価格を見てみないと分からないのが実態です。乳業メーカーの方からこのような報告を受けているので、値上げの幅を計算しますと、200円のものが10%で20円値上がりするという予測はつきますが、実際にどれぐらいの値上げになるのかというのは、まだ実態をつかんでいません。今日、小売価格の実態を調べに入っていくだろうと思っています。

記者

  生産コストの増加が反映されたことの受け止めに関しては、どのように受け止められているでしょうか。

大臣

  乳価の値上げでコストを吸収できるのかとなると、それぞれの酪農家の皆さんがどういうふうに受け止めているか(ということです)。私も昨日、日本生協連の会長さん方とも話をしたのですが、「本当ならばコストを全部吸収できるような価格設定をしたいけれども、消費者の皆さん方がそれで納得するかどうかというのは非常に難しい問題があります」と生協自体もそう言っていました。メーカーの方から、そういう幅のある値上げの方向性は出されたにしても、実際、小売の段階ではどういう価格で売っていくのか分かりません。

  • 中国による日本産食品の輸入規制について(2)

記者

  最初の質問に関連して、中国や香港で日本産食品の輸入規制がある種、導入されているかと思うのですけれども、すでに漁業者さんからは、国内価格にも影響するのではないかという懸念の声がすでに強まっているような状況です。経済産業省の方ですでに300億円の基金というのはあるとは思うのですけれども、改めてその漁業を所管する水産庁を持つ農林水産省として今後新たな、どういうふうに支援をしていくかという考えについてお聞かせいただけないでしょうか。

大臣

  漁業団体の方からは、私宛にも要請書が来ています。どのぐらいの補填をしていくのかは、まだ影響がどの程度なのか把握できていませんので、これは他の省庁とも関連する話ですので、経済産業省や外務省など関係各省と話をしながら、今後やっていきたいと思っています。例えば、中国への冷凍物も今、ストップしております。生鮮の水産物は、昨年の実績が100億円となっているので、マックス100億円の影響が出てくるということですけれども、どの程度の影響なのかというのはまだ分かっていません。漁業者の皆さん方からは、「ちゃんと国の責任においてやってください」という要請書も来ていますので、関係各省と話をしながら、どういう形でやっていくかというのは、今からです。

  • ALPS処理水の海洋放出について

記者

  ALPS処理水についてお伺いします。本日、処理水関連で関係者と意見交換をされたと伺いました。どのようなことをお話しされたのか、また総理との協議で処理水の放出時期など具体的なお話が出たのかなど現在の状況を教えてください。

大臣

  今日は、総理(に対して)は、西村大臣が漁業者と話し合いをしたことなどマスコミ報道で見るだけで、(大臣)本人から具体的に話を聞いたことはなかったので、農林水産省は先ほど私が申し上げましたように、水産では100億円ぐらいの中国との取引がありますとか、西村大臣は、漁協の皆さんと話をした結果がどうでしたという情報交換を行ったもので、処理水をどうするかという話は一切ありませんでした。今からだと思います。

  • 主食用米の需給及び米価の見通し等について

記者

  昨日、米の作付面積、24の府県が一様減というような結果が出ました。また、需給見通しもしくは在庫量も出たのですが、需給700万トンを切ったり、この辺のことについての評価はどのように見ておりますか。基本法ではいろいろまた、国内産の増産とか、議論もある中でこの結果をどう見ているかお願いします。

大臣

  今回の米価の見通しにつきましては、昨日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会が開かれて、農林水産省から現状の報告をしました。1人当たりの消費量の減少により、需要実績は691万トンとなったと報告したところです。今回策定した基本指針では、令和5年から6年の主食用米の需要量は681万トン、5年産の主食用米の生産量は669万トン、(令和6年6月末の)在庫量は184万トンと見通しており、今までにないタイトな数字が出てきています。ただ、(全国の)米の作況というのは、まだ出ていません。第1回目の作況の公表は8月で(計)3回、米の作況を公表しますが、それによって、卸売業者の方、生産者の方々が、今年はこのぐらいという値頃感が少しずつ出てくるのが、8月以降になるのではないかと思います。超早場米は出てきていまして、私の地元・鹿児島でも700円ぐらい昨年より上がっていまして、どうなっていくのか分かりませんが、普通期米については今後の作況によって、価格は変わってくると(思います)。米の価格は市場において決まっていくわけですので、私からはコメントは差し控えさせていただきます。

記者

  これに関連して、大臣も長い間農業政策に従事してらっしゃって、いわゆる食管法から食糧法になって、2018年にはいわゆる生産調整を、いわゆる減反政策は廃止になりまして、今のような需給見通しを示すやり方にしているのですが、今のところこういった政策はうまく機能しているとお考えですか。

大臣

  毎年米の消費が10万トンずつ減っていくトレンドは今でもやはり同じでして、消費が減っていく分、生産量を換算した形で、農家の皆さん方には選択をしていただいているわけですが、今年もやはり10万トンの消費減という数字が出ているということなので、それらを見ながら、卸売業者さんや仲卸業者さんなどによって、価格は今から市場で決定されていくと思います。

  • スイスの日本産食品の輸入規制の撤廃について

記者

  原発事故に伴う日本産食品の輸入規制の関連で、一部報道で、スイスの大使が昨日、内堀(福島県)知事に、8月15日に完全撤廃する方針を明らかにしたそうなのですが、農林水産省として、この完全撤廃の情報入っているかどうかの確認と、もし入っていればその受け止めについて、また、残るEFTA3か国(アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)についての動向を最新情報ありましたら教えてください。

大臣

  スイスが8月15日に規制を撤廃するということの発表について、そういった報道があるというのは承知しています。ただ、EFTAの諸国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)においては、それぞれの国内手続きを経てEUの措置を運用しており、今般のEUの規制撤廃を受けて、これらの国々においても規制を撤廃することを期待します。規制が撤廃されれば、被災地の復興にとっても大きな後押しになりますし、総理が先般、EUに行かれて、EU代表と(輸入規制撤廃の)話をして、我々も撤廃については、それぞれの大臣会合がありましたので、農林水産大臣、外務大臣それぞれの会談で規制撤廃のお願いをしてきたことが、先般のEUの輸入規制の撤廃になりました。EFTA諸国とか、全ての国が撤廃してくれるのかどうかというのは、期待はしていますけれども、それぞれの国にお願いする以外にないと(思います)。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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