外務省・新着情報

令和5年7月18日
歓迎式典で行進する岸田総理大臣 歓迎式典(写真提供:内閣広報室)
岸田総理大臣とタミーム・カタール国首長との首脳会談 日・カタール首脳会談(写真提供:内閣広報室)
日・カタール首脳会談での会場の様子 日・カタール首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 現地時間7月18日、午前11時15分(日本時間午後5時15分)から約80分間、カタール国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、カタール首長府において、シェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ・カタール国首長(H.H. Sheikh Tamim Bin Hamad Al-Thani, Amir of the State of Qatar)との間で日・カタール首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。なお、会談には、日本側から磯﨑仁彦内閣官房副長官、秋葉剛男国家安全保障局長他が、また、カタール側からは、ムハンマド首相兼外相、アル・カアビー・エネルギー担当国務相他が同席しました。また、会談後には、岸田総理大臣と共にカタールを訪問した経済ミッション関係者とタミーム首長との挨拶の場が設けられ、その後、タミーム首長主催の昼食会が行われました。

1 冒頭

  1. 岸田総理大臣から、タミーム首長が即位10周年を迎えられたことに対する祝意を述べるとともに、国際社会の様々な課題解決に精力的に取り組むカタールとのパートナーシップを重視している旨述べました。
  2. 両首脳は、外交関係の樹立から50年以上が経過した両国の関係が、幅広い分野で順調に発展してきたことを振り返るとともに、次の50年に向けて両国の関係を更なる高みへ引き上げるべく、両国の包括的パートナーシップを戦略的パートナーシップへと格上げすることで一致しました。これに対し、タミーム首長から、二国間関係強化への一層の期待が表明され、両首脳は、緊密に連携していくことを確認しました。

2 エネルギー・環境・気候変動

  1. 岸田総理大臣から、日本が、G7において天然ガス・LNGへの中長期的な投資が不可欠であるとの認識の下、これらへの投資の重要性への合意を得たことを強調した上で、世界のエネルギー市場の安定化のためには生産国、消費国の双方の立場を踏まえて議論することが不可欠である旨述べました。両首脳は、引き続きエネルギー市場安定化のために協力していくことで合意しました。
  2. 岸田総理大臣から、LNGはアジアの現実的なエネルギー・トランジションに重要な役割を果たすと理解しており、その実現のために、LNGインフラの整備、そのために必要な資金提供、アジア各国でのLNGの制度設計支援を行っている旨を説明しました。

3 貿易・投資・観光

  1. 岸田総理大臣から、日本の技術が、これまでカタールの基幹的インフラ事業等に貢献してきたこと、日本企業のカタールへの投資の関心は高く、今回も多くの企業が経済ミッションとして同行していることを述べ、今後も様々な分野における日本企業の継続的な参画への期待を表明しました。これに対し、タミーム首長から、カタールに対する日本企業の貢献への謝意が示され、更なる投資と技術移転を期待する、今後も幅広い分野で協力していきたい旨述べられました。
  2. 岸田総理大臣から、日本は、半導体や電池等の分野で有望な投資先であり、経済産業省とカタール投資庁(QIA)の間で、対日投資促進に向けた具体的な議論が進むことを期待する旨述べました。
  3. 岸田総理大臣から、経済・観光促進等のため、本年4月からカタール国民に対する事前登録制に基づく一般査証免除を開始し、近く電子申請を導入することを表明しました。これに対し、タミーム首長から、日本の緩和措置を歓迎する、多くの日本人がカタールを訪れることを希望する、多くのカタール人が日本を訪れていることはよろこばしい旨述べられました。

4 外交・安全保障

 両首脳は、本年1月に第2回外相間戦略対話が開催されたことを歓迎しました。また、両首脳は、防衛当局間の人的交流の進展を歓迎するとともに、防衛当局間の協議等を通じて、安全保障分野での協力を更に深めていくことを確認しました。

5 国際・地域情勢

  1. 岸田総理大臣から、本年のG7広島サミットでも重要性が確認された法の支配や国連憲章の諸原則に基づき、日本が本年3月に公表した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たなプランの下での日本の取組を紹介し、インド太平洋を含む国際の平和と安全に関する諸課題への対応において、引き続きカタールと緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し、タミーム首長から、G7広島サミットでの議論を評価する、日本の考えを支持する、両国で協力して国際社会の課題に取り組んでいきたい旨述べられました。
  2. 岸田総理大臣から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を擁護する立場から、世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みを決して許さないことを強調し、また、唯一の戦争被爆国として、核の威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならないことを強調しました。これに対し、タミーム首長から、カタールとしては、いかなる場所であれ、紛争の軍事的解決には反対する旨述べられました。
  3. 両首脳は、東アジア情勢についても意見交換を行い、国際場裡で一層緊密に連携していくことを確認しました。

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