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プレスリリース

令和4年度遺伝子組換え植物実態調査の結果について

令和5年6月30日
農林水産省

農林水産省は、平成18年度以降、セイヨウナタネやダイズ等の輸入港の周辺地域において、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズの生育や、その近縁種との交雑の有無を調査しています。
令和4年度の調査では、これまでの調査結果と同様に、主に運搬時にこぼれ落ちた種子に由来すると考えられる遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズが生育していましたが、組み換えられた遺伝子が交雑可能な近縁種へ拡散したり、生育範囲が拡大したりする状況を示していませんでした。
このため、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズが生物多様性に影響するおそれはないと考えられます。

1.調査の目的

農林水産省は、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)に基づき承認した遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズによる生物多様性への影響の有無を検証するため、セイヨウナタネとその近縁種(カラシナ及び在来ナタネ。以下、セイヨウナタネを含めて「ナタネ類」といいます。)については平成18年度から、ダイズとその近縁種であるツルマメについては平成21年度から、それぞれ遺伝子組換え体の生育や近縁種との交雑の有無について調査をしています。

2.令和4年度の調査方法及び調査結果(概要)

(1)調査方法
 ・これまでの実態調査で遺伝子組換え体が多く生育していた港を調査することとし、ナタネ類について8港、ダイズ及びツルマメについては1港において、それぞれ陸揚げ地点から5kmの範囲で、遺伝子組換え体の生育を調査するため、葉を採取・分析し、遺伝子組換え体か否かを判定しました。

 ・さらに、遺伝子組換え体が交雑と世代交代を繰り返すことにより、組み換えられた遺伝子の交雑可能な近縁種への拡散の可能性を検証するため、遺伝子組換え体が生育していた場所及びその周囲において、ナタネ類等の種子を採取・分析し、遺伝子組換え体の交雑率を推定しました。

(2)調査結果
以下の結果のとおり、令和3年度までの調査結果と同様に、組み換えられた遺伝子が交雑可能な近縁種に拡散したり、組換え体の生育範囲が拡大したりする状況を示しておりませんでした。

 ・遺伝子組換えセイヨウナタネは、8港において計77群落(89個体)生育していましたが、生育範囲が経年的に拡大する状況を示しておりませんでした。

 ・遺伝子組換えセイヨウナタネとカラシナ又は在来ナタネとの交雑は認められませんでした。また、遺伝子組換えセイヨウナタネと、その周囲に生息するセイヨウナタネとの交雑率は、遺伝子組換えでないセイヨウナタネ同士の文献等に示された交雑率の範囲内でした。

 ・遺伝子組換えダイズは、1港において計2群落(3個体)生育していましたが、生育範囲が経年的に拡大する状況を示しておりませんでした。

 ・遺伝子組換えダイズとツルマメとの交雑及び遺伝子組換えダイズ間の交雑は認められませんでした。

 ・遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズの生育地点は、主に陸揚げ地点に近接する幹線道路沿いの植栽帯等でした。

3.今後の対応

今回の調査結果は、令和3年度までの調査結果と同様、組み換えられた遺伝子が交雑可能な近縁種に拡散したり、組換え体の生育範囲を拡大したりする状況を示しておりません。そのため、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズが生物多様性に影響するおそれはないと考えられます。

農林水産省は、遺伝子組換えセイヨウナタネ及び遺伝子組換えダイズによる生物多様性への影響の有無を検証するため、令和5年度以降も、これまでの調査結果を踏まえた調査方法の見直しを行いながら、本調査を継続して実施しており、遺伝子組換え農作物等が我が国の生物多様性に及ぼす影響に係る科学的知見の一層の充実を図っています。

参考

これまでの遺伝子組換え植物実態調査の結果については、以下に掲載しています。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/index.html#2

<添付資料>
遺伝子組換え植物実態調査結果(令和4年実施分)(PDF : 620KB)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:清水、福島
代表:03-3502-8111(内線4510)
ダイヤルイン:03-6744-2102


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