農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年6月30日(金曜日)11時09分~11時28分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • EUの日本産食品の輸入規制の撤廃について
  • アニマルウェルフェアに係る指針の最終案について
  • 鶏卵価格の状況について
  • ブラジルで発生した鳥インフルエンザについて
  • IATTC・WCPFC北小委員会の合同作業部会及びWCPFC第19回北小委員会について
  • ALPS処理水の海洋放出について

質疑応答

  • EUの日本産食品の輸入規制の撤廃について(1)

記者

  2点お伺いします。1点目、EUの日本産食品に対する輸入規制のことなのですけれども、ちょうど今日が、EUが設けている輸入規制の見直し期限に当たると思うのですが、EU側が近く規制を完全撤廃に向けて調整しているという一部報道もありましたけれども、この辺の調整状況いかがでしょうか。

大臣

  EUの日本食品に対する対応としては、輸入は停止してはいないものの、(放射性物質の検査)証明書を付けるというような、いろいろな添付資料を求められていましたので、そういったものは、省略してくれないかということで、G7やG20などのバイ会談の中で、EUのみなさん方にはお願いをしていまして、6月には解除できるのではないかなと思っていたのですが、なかなかそれができませんでした。この(輸入規制の)撤廃について前向きな動きがあるということは承知しておりますが、来週3日には、私は、EUのヴォイチェホフスキ農業担当委員と会談する予定になっていますので、最終的な輸入規制の撤廃に向けて協力を要請していこうと思っています。

  • アニマルウェルフェアに係る指針の最終案について

記者

  もう1点、話題だいぶ変わるのですが、アニマルウェルフェアのことについてお伺いします。今週水曜日にありました有識者の意見交換会で、国としての指針が取りまとめられたわけですが、指針策定のねらいを教えていただきたいのと、あと意見交換会の中で、実施が推奨される事項をいつまでに実施するか、現場実態を踏まえ無理のないように配慮して欲しいといった意見も出たようですが、こうした指摘も踏まえてどう推進するかをお願いいたします。

大臣

  アニマルウェルフェアについては、(衆議院、参議院の)農林水産委員会ほかでも、野党の皆さんから質問が出まして、今までも答弁をしてきましたが、家畜の管理の仕方については、国によっていろいろ違います。一番象徴的に言われているのが、日本の鶏の飼い方で、「ケージに1羽 1羽入れて、動きもあまり取れないではないか、あれではかわいそうだ」と、このようなことがよく言われていまして、私どもは、日本のような狭い土地の中でたくさんの鶏を飼うには、ああいう飼い方しかできなかったということも申し上げてきたのですけれども、国民の皆さんからも鶏がかわいそうではないかというご意見もありましたので、今、国際基準に基づいて、農林水産省がアニマルウェルフェアの飼養管理の指針の最終案を作っているところです。ただし、これも国際基準に合わせると、日本の場合は土地の狭い中で、いくらでも飼えるかとなると、そこまで飼えませんので、今までの飼い方をどう改良していくのか。そして農家の皆さんが「それでいいよ」ということになっていくのか。場合によっては、消費者の皆さんの負担もお願いしなければ(なりません)。農家が施設整備をしなければならないということになると、「価格が上がりますよ。皆さんそれでもいいですね。」ということも、消費者の皆さんの了解をとらないと、簡単に今のケージを取り壊して、(鶏舎を)広く作って、鶏をそこで飼うということはできないので、生産者の皆さんと消費者の皆さん両方の了解がとれないと「できないですよね」ということを言っていて、ですから農林水産省もこの新たな指針を発出するために、農家の皆さんや、消費者の皆さんから幅広い意見を聞きながら、アニマルウェルフェアに関する意見交換会において報告をしてきたところです。生産者の方でも、こういう(今の)飼い方はちょっと動物をいじめているように、外国から見れば見えるし、(かといって)生産者の施設整備を行えば、今度は消費者の皆さん方の負担も、卵の値段が上がっていく(ことで増える)ということにもなっていくので、(生産者と消費者)両方の了解がとれるような形での、アニマルウェルフェアの重要性(について)の説明というのは今後、丁寧にやっていかざるを得ないだろうと思っています。

  • 鶏卵価格の状況、ブラジルで発生した鳥インフルエンザについて

記者

  卵の件をお伺いさせてください。今日、JA全農たまごが6月の卸売価格を発表して、1円値下がりしました。今年1月以来の5か月ぶりの下落です。この要因、またご所感についてお伺いしたいのと、あわせてブラジルで鳥インフルエンザが発生して、そちらの州からの輸入をしないということを発表されましたけれども、その影響についても、お聞かせください。

大臣

  3月28日以降、1キロ350円でしたけれども、6月26日(時点)で、5円下がりました。下がるということはありがたいと、消費者の皆さんからは、温かい目で見ていただいているのではないかなと思っており、(今は)345円になりました。これからも(各農場で)鳥インフルエンザが収まってくれば、あるいは清浄化宣言ができさえすれば、雛を導入していきますから、だんだん増えていきます。そして鶏は大体6か月で卵を産み出しますから、今後は卵の量も増えてくるはずです。これからは、(卸売価格は)上がる方向ではなく、下がる方向となるのではないかと思っています。6月27日現在で、雛導入が402万羽ということで、約400万羽も導入されておりますから、このひよこたちが半年過ぎれば、どんどん卵を産み出しますので、今後は上がる方向ではなく、下がる方向に進んでいくだろうと思っています。それから、ブラジルの家きんの鳥インフルエンザにつきましては、発生したのはエスピリトサント州というブラジルでも小さな州です。ブラジルの場合は、州で発生した場合、そこの州からの輸入を停止するということで、ブラジル全体からの輸入が止まっているわけではありません。鳥インフルエンザが発生したエスピリトサント州からの輸入が止まっていますが、ただこのエスピリトサント州は卵ではなく、鶏肉の方が主ですので、卵(の輸入)にはそれほど大きな影響はないというふうに思います。ただ野鳥が(鳥インフルエンザウイルスを)運んできますから、日本のように蔓延していくかもしれない。その時には各州からの輸入が止まってしまうと、加工用の卵を殻付きで今輸入していますから、これが止まってしまうということになると、マヨネーズなど卵の加工食品の方が難しくなってくるのかなと思っています。今はまだそんなことではないということです。

  • IATTC・WCPFC北小委員会の合同作業部会及びWCPFC第19回北小委員会について

記者

  クロマグロについて伺います。来週、福岡市で太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議が開かれます。日本としてどのような主張をされるおつもりか、特に日本では大間産クロマグロで漁獲報告の不正事案があり、国際的な信頼が揺らぎかねない状況かと思いますが、信頼回復に向けて、各国にどのような説明をされるのでしょうか。

大臣

  クロマグロの管理に関する委員会、IATTCとWCPFCというのですけれども、この(合同作業部会の)会議が7月3日から5日に福岡市で開かれます。また、そのうち中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCの関係会合も(6日から7日に)開かれ、これらの会議の中で資源管理について議論が行われるということですけれども、ここでの資源管理の各国への割当てについては、今、だんだん資源管理が徹底しだして、マグロが増えてきたという報告がありますので、それで見直しをするのかなと思っていたのですが、今回は(各国の割当ての見直しを)やらないと。3年に1回ずつ、この資源管理の割当ての見直しをしていまして、その見直しが来年に当たりますので、来年は、見直しに基づく割当数量が議論されていくと思います。今年は、確かに(資源が)増えていることは増えているという話は聞いておりますけれども、そういった(ことを踏まえた漁獲)枠の(見直しの)話ではなく、国際的な資源管理が(現状)適切に確保されているので、今後も続けましょうというようなお話になるのではないかと理解をしています。

記者

  青森県の大間で起きた漁獲の未報告事案についても、日本からその対策状況を説明されたりするのでしょうか。

大臣

  これは3日からなのでやってみないと分かりませんが、大間のマグロの件につきましては、やはり国際的にも非難される話ですから、どのような形で議論がされていくのか分かりませんけれども、日本に対するペナルティーみたいなものはあるのかどうかというようなことは皆目分かりません。ただ、それが話題になるということはあるのだろうというふうには思っていますけれども、どのような議論になっていくかは分かりません。

事務方

  その件については、日本国内だけではなくて、海外でも大臣のご指摘のとおり報道されております。我々の方からも今の分かっている実態について会議の場で説明してまいりたいと(思います)。改善措置についても、今後改善していく方向であるということを説明してまいりたいと考えております。

大臣

  どのような議論の流れになっていくのか分からない。ただ良くないことでありますから、どういったようなペナルティーを科せられるのか科せられないのか。それはちょっと我々では今のところは、分かりません。

事務方

  日本が持っている漁獲上限の範囲内で処理はしていますので、日本として、(直ちに)ペナルティー(が課せられる)ということではございませんけれども、ただ、今後こういったことの再発があると、日本の資源管理に対する信頼性が損なわれるということでございますので、実態の把握と今後の管理の強化の方向性について説明をしてまいりたいと考えております。

  • EUの日本産食品の輸入規制の撤廃について(2)

記者

  EUの輸入規制の撤廃の動きについて、さっきお話が出た撤廃についてなのですが、大臣からも前向きな動きがあるというふうに聞いているというお話ありましたが、こちらの受け止めについてお願いします。そういう動きがあることについて、感想といいますか。

大臣

  EUがこういう輸入規制について(放射性物質の検査)証明書を発行しろとかいろいろ(要求をこれまで)してきていましたが、幸い、ここ数か月の間に、G7やG20などで、EUの農業担当委員と会う機会もあり、バイ会談も何回もやってきまして、ひょっとすると6月には、撤廃してくれるのではないかという期待を持っていたのですが、6月には結論は出ませんでしたけれども、ただ撤廃に向けての前向きな動きがあるということははっきり言えると思います。それは今度のEUの日程の中で、来週3日に私がヴォイチェホフスキ農業担当委員とも会うことになっていますので、その時には返事があるのかないのか、持ち帰ってまたEU内で議論をしてみるからという形でまた先延ばしされるのか、ちょっと分かりませんが、ただ、いろいろな情勢が今流動的になっているので、期待をするとすれば、3日にヴォイチェホフスキ農業担当委員がいい答えを持ってきてくれることを私としては期待をしているところです。ただそれは相手のあることですので分かりませんが、全体的には、前向きな動きがあるということは承知しています。

  • ALPS処理水の海洋放出について

記者

  先ほど閣議前に、経済産業大臣、農林水産大臣、環境大臣もろもろ、官邸でおそらく(ALPS)処理水をめぐる話し合いが行われたと承知をしているのですけれども。こちらについて簡単に中身と、例えばこういう水産業者さんに対する話であったり、お話できる範囲で構いませんので、内容を伺えないでしょうか。

大臣

  今朝、閣議前に関係閣僚が集まりまして、ALPS処理水に関しての会議が開かれました。ただこの中身は、総理を含めた関係閣僚で、情報を共有しようということでありまして、7月4日から7日にかけて(IAEA事務局長の訪日にあわせて)IAEAの報告が出てきますので、それを待たないと何のコメントも出しようがないのですけれども、総理からは、政府を挙げて、安全性確保と風評対策の徹底、地元や国際社会に対する丁寧な説明・情報発信を行うよう、指示がありました。(IAEAの)査察を受け入れたわけですから、その結果が4日以降にならないと出てこないということですから、今はまだ、コメントのしようがないということです。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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