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2023年4月4日

4月4日(火曜日)に、西村経済産業大臣は、テレビ会議形式でG7貿易大臣会合を開催し、自由で公正な貿易秩序の維持・強化と、経済安全保障の強化に向けた取組について議論し、共同声明をとりまとめました。

1.G7貿易大臣会合の概要

  • 4月4日(火)、西村経済産業大臣は、林外務大臣と共同で、G7貿易大臣会合をテレビ会議形式にて開催しました。
  • 会合では、「WTO改革・MC13への道~自由で公正な貿易秩序の維持・強化~」と「経済安全保障の強化~グローバルサプライチェーン上の脆弱性に対応するためのG7内外での協力~」の2つのテーマについて、G7参加国の閣僚の間で活発な議論がなされ、最後に共同声明をとりまとめました。
  • 本日の議論の成果を、5月のG7広島サミットと、10月に大阪・堺で開催予定のG7貿易大臣会合に繋げていきます。

2.西村経済産業大臣の発言内容(一部)

(1)セッション1.WTO改革・MC13への道 ~自由で公正な貿易秩序の維持・強化~

  • 日本は、WTOルールに基づく世界経済のガバナンスを重視。日本が3月にMPIAへの参加を表明したことは、その表れ。
  • デジタルや気候といった現代的な論点に関心を持ち、様々な国際フォーラムでも議論してきた。WTOが成果を出すことができれば、世界経済により大きなインパクトを与えることができる。

WTO改革

  • 日本にとって最も優先度が高い分野は、紛争解決制度改革。モメンタムを失わないよう、遅くともMC13において改革の方向性に合意すべき。
  • 漁業補助金について、協定の早期発効を目指しつつ、次の段階の交渉についても協力したい。
  • 電子商取引モラトリアムについて、電子的送信に対し関税賦課が行われることがないよう、MC13における恒久化の実現を目指したい。
  • 電子商取引交渉について、最終的な交渉成果が、世界の産業実態からずれたものとならないよう、交渉を加速させる必要がある。交渉の共同議長として、野心的な成果を妥結するべく、G7各国ともこの目標を共有したい。
  • 公平な競争条件の確保に向けた取組を強化するため、補助金規律の強化などルール作りの議論も加速したい。

途上国との協力

  • 国境を超えた取引の促進は、途上国のデジタルとグリーンのトランジションを進め、経済成長を実現するという、強いメッセージを発信すべき。また、途上国がWTOでの交渉に意義を見出し、主体的に参加する素地を整えるための協力が重要。
  • 電子商取引交渉では、共同議長として、昨年6月にキャパビル・フレームワークを立ち上げた。また、脱炭素に資する製品・技術が途上国にも普及するよう、「貿易と環境持続可能性に関する体系的議論」(TESSD)において、新たな規格策定の支援などを進めるべき旨を提案している。漁業補助金協定についても、途上国が適切に協定を履行できるよう、新たに設置された基金を通じて支援していく。

(2)セッション2.経済安全保障の強化 ~グローバルサプライチェーン上の脆弱性に対応するためのG7内外での協力~

  • 経済安全保障とは、外に対して新たな壁を築くことやブロック化を意図しているのではない。威圧行為のような経済活動の妨げを取り除き、サプライチェーン強靭性を強化し、信頼できるパートナーとの間で貿易投資をさらに活性化させることを目指し、取り組みたい。

サプライチェーン強靭化

  • パンデミック以降、サプライチェーンに必要な原則として、透明性、多様化、安全性、持続可能性の4つを掲げてきた。ここに新たに、「信頼」の要素を追加することを提案したい。「信頼」という言葉が意味するのは、①国際規範や義務を守ること、②経済的な相互依存関係の武器化をしないこと、③自由、公平で相互利益のある経済・貿易関係にコミットすること、④こうした努力を損なう措置を控えること。
  • この新たなサプライチェーンの原則を、グローバルサウスを含め、G7外の同志国にも広げるべく、議論を深めたい。
  • さらに、この原則のもと、個別物資における協力について、まず、「重要鉱物」について、具体的にどのような協力ができるか掘り下げたい。

経済的威圧

  • 経済的威圧を抑止し、その影響を緩和するために、G7で何ができるのか具体化させたい。G7として共同で対処する意思があることを公に示すことが重要。
  • 政府と産業界で足並みを揃えた対応が不可欠。途上国を含め、G7外の同志国との連携も課題。

3.G7貿易大臣声明の概要

  • 自由、公正、ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化にコミットする。貿易ルールが経済変革、持続可能性、包摂性、強靭な成長を可能とし、労働者を含む世界中の人の必要に応えるよう取り組む。
  • ロシアによるウクライナ侵略を非難。地政学的な混乱やパンデミックに加え、長引く非市場的措置・慣行、サービス貿易拡大やDX・ネットゼロ排出への移行のような、より長期的かつ構造的変化による影響を認識。
  • 第1回会合では、自由で公正な貿易体制の維持・強化および経済安全保障の確保に向けたG7内外での協力について議論。焦点を当てた項目は以下の通り。
    • 2024年までの紛争解決機能回復や審議機能強化を含め、WTOの三機能全てについて必要な改革を行う。MC13の成功のために具体的な成果を目指す。多角的貿易体制の維持・強化のために途上国とも協力する。
    • 形を変え進化する非市場的措置・慣行への対応の必要性と懸念を確認。既存ツールのより効果的な活用、適切な新たなツールやより強固な国際ルール・規範の開発を通じ、公平な競争条件の確保のための努力を加速する。有害な産業補助金、国有企業による市場歪曲的行動、すべての形の強制的な技術移転について、具体的なイニシアティブにおける協力を深化する。こうした措置・慣行の背景にある包括的な戦略に対する懸念についても議論する。補助金スキームに係る対話、及び透明性向上についてのWTOでの議論を引き続き促進する。
    • 透明性、多様化、安全性、持続可能性、信頼性は、G7内外の信頼できるパートナー国との間で強靱なサプライチェーンを構築・強化するにあたり必要不可欠な原則。国際規範及び義務を守り、経済的相互依存を武器化しないこと、自由、公正で互恵的な経済貿易関係へのコミット、こうした努力を損なう措置を講じないこと等を含め、この原則に基づいてサプライチェーン強靱化に向けて議論を続ける。新興国及び途上国などG7外のパートナーへのアウトリーチの重要性を認識し、協力を深化する方法を議論する。重要鉱物等、個別物資に焦点を置いた協力についても議論する。
    • 他の政府の正当な選択に介入する、経済的威圧への深刻な懸念を表明。経済的威圧を通して現状を変更しようとする一方的試みに強く反対する。経済的威圧は、しばしば貿易・投資関連措置を通して行われ、経済安全保障及び自由で公正なルールに基づく国際秩序を損なう。既存ツールを活用し、抑止・対抗の観点から必要な新しいツールを開発する。経済的威圧に対する共同での準備、強靱性、抑止力を高めるために、G7内外のパートナーによる協調を強化する重要性を認識し、対抗及び被害緩和のため、しかるべく対応を共同で模索する。
    • 効果的かつ責任ある輸出管理を強化するに当たり、各国との協力を継続。また、マイクロ・エレクトロニクスやサイバー監視システム等の重要・振興技術の輸出管理に関する協力の重要性を確認。
    • 企業活動における人権尊重及び強靱性、予見可能性、確実性向上に向けて、G7内外で人権尊重の確保に向けた協調及び共同での努力を強化する。専門家のネットワークを通じ、規制や政策に係る情報交換を加速する。
    • WTOにおける環境物品・技術等の貿易促進、WTO電子商取引交渉の2023年末までの野心的な成果の妥結、中小零細企業・女性・先住民の直面する課題を認識した上での包摂的・持続的な貿易促進の重要性も確認。
  • これらの論点について、10月の貿易大臣会合に向けて作業を加速するよう、事務レベルに指示。

4. 成果文書等


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