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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年1月17日(火)

 今朝の閣議におきまして、私から、本年のG7広島サミットに係る関連閣僚会合として、G7司法大臣会合を今年7月上旬に東京で開催することを報告しました。
 昨今の国際情勢を受けまして、「法の支配」や「基本的人権の尊重」等の普遍的価値を共有することの重要性が改めて高まっています。
 そのような中、これらの価値を世界に浸透させる取組である「司法外交」を推進してきた我が国が、議長国として、G7司法大臣会合を開催し、「法の支配」を通じた連帯の強化を図り、それを世界に向けて発信することは大きな意義があります。
 13年ぶりに開催された昨年のドイツにおけるG7司法大臣会合におきましても、そのような日本のリーダーシップに対する各国の期待が表明されました。
 更にこのG7司法大臣会合は、既に開催が決定している「日ASEAN特別法務大臣会合」に合わせて開催いたします。
 ASEANとG7の法務・司法大臣が一堂に会し、法の支配の推進等について意見交換し、G7とASEANが一体となってメッセージを発信するコラボレーションの機会を設けることなども視野に入れ、準備を進めてまいりたいと思います。
 我が国は、法制度整備支援などの長年にわたる営みを通じまして、ASEANと独自の信頼関係を醸成してまいりました。そのような我が国は、アジア唯一のG7メンバーでもあります。
 このG7司法大臣会合を開催することによりまして、我が国がこの両者の架け橋となって、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に貢献することができるものと考えています。
 続きまして、栃木県に所在する官民協働の刑務所である喜連川社会復帰促進センターにおける、新たな再犯防止の取組、すなわち、SDGs達成に向けた事業を取り入れた再犯防止の取組について報告いたします。
 本年度から始まりましたこの取組は、地方公共団体や民間の方々と連携した事業でありまして、受刑者向けの各種プログラムに、環境教育や在来種の保全活動、循環型農業などを取り入れるものです。
 これによりまして、受刑者が社会の役に立っていると感じることで、自己肯定感の向上や、他者の役に立ちたいという意識の醸成などの効果が期待でき、再犯防止につながっていくものと考えています。
 この取組について、本日、御協力をいただいている地方公共団体や民間の方々と意見交換を行うこととしています。
 具体的には、栃木県さくら市の花塚市長、株式会社小学館集英社プロダクション、エームサービス株式会社、ヤフー株式会社、うじいえ自然に親しむ会、認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパンの皆様と意見交換を行います。
 この場では、これまでの取組についての情報共有はもちろん、このような取組を一層充実させるための御意見等も賜ることができればと考えています。
 法務省としては、このような取組を通じて地方公共団体や民間の方々とより一層連携を深めつつ、再犯防止施策の更なる充実に努めてまいりたいと考えています。

司法外交に関する質疑について

【記者】
 今年4月で法務省に国際課が新設されて5年になります。気が早いですが、この間、京都コングレスがあったり、国際仲裁の推進、司法外交の浸透、色々な成果があったかと思います。一方、司法制度支援がだいぶ進んだミャンマーで政治体制が変わって少しそれが進まなくなったりする、色々な課題もあるかと思います。これまでの国際課ができて5年間の成果と、今後の課題を大臣としてどう認識されているか、お願いします。

【大臣】
 平成30年4月、大臣官房国際課を創設して以来、法務省は、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を国際的に浸透させるための取組であります「司法外交」に精力的に取り組んでまいりました。
 この5年間を振り返ると、御指摘の第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開催や、国際仲裁の活性化、法制度整備支援、国際機関への人材派遣などの具体的な取組を進め、今や、「司法外交」は政府の重要施策として定着してきたと考えています。
 このような取組の成果は、各国から我が国への信頼とリーダーシップへの更なる期待として表れておりまして、一昨年(2021年)、我が国がASEANの域外国として初めてASEANと法務・司法分野の対話パートナーとなりましたほか、昨年のドイツにおけるG7司法大臣会合において各国から我が国の法務・司法分野におけるリーダーシップへの期待が表明されるなどしたのはその一例だろうと思います。
 御指摘のミャンマーにおける人権状況のほか、ロシアによるウクライナ侵略などの目下の世界情勢をみますと、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を各国が再認識し、その実現に向けた取組を進める必要性がより一層高まっていると思います。
 そのため、今こそ、「司法外交」の取組を一層推進し、「法の支配に基づく国際秩序」の維持・強化にリーダーシップを発揮していく所存です。
 我が国がG7サミット議長国であり、かつ、日ASEAN友好協力50周年の節目に当たる今年は、アジア唯一のG7メンバーであり、ASEANと独自の信頼関係を構築している我が国の唯一無二の立場を生かし、G7司法大臣会合と日ASEAN特別法務大臣会合を開催することにより、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値の共有を図り、それを世界に向けて発信していきたい、まずは当面そういうことに力を尽くしていきたいと考えています。

【記者】
 関連してお伺いします。司法大臣会合の関係で、「G7とASEANの架け橋の役割」というお話がありましたけれども、具体的にどういった取組が考えられるのか、もしありましたら教えてください。

【大臣】
 (G7)司法大臣会合の議題について、何をやるかということについては、今後関係各国・機関との協議等を踏まえて具体的に検討を進めていく、まだそういう段階ですが、現時点におきましては、司法インフラ整備等を通じたウクライナの復興支援、そのフェーズでの司法インフラ整備を通じた支援というものが一つあろうかと思いますし、また、「法の支配」の推進に向けた司法分野での協力体制の構築というものも考えられますし、また、インド太平洋における「法の支配」推進に向けたASEAN等との法務・司法分野での連携、前にも申し上げた三つの視点から議論していくことは大事なのではないかというふうに考えています。
 繰り返しになりますけれども、この機会にG7とASEANの司法分野での架け橋になるきっかけとしたいと思っています。

(以上)

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