外務省・新着情報

冒頭発言

(1)アフガニスタン情勢(タリバーンによる女子高等教育の停止)

【小野外務報道官】本日は、私(小野外務報道官)の方から4点ございます。
 まず、はじめにアフガニスタン情勢、タリバーンによる女子高等教育の停止についてです。
 現地時間12月20日、タリバーンにより、アフガニスタンにおける女子高等教育が停止されたことが明らかになりました。
 タリバーンは、本年3月に女子中等教育の停止を決定しており、我が国及び国際社会の累次の働きかけにもかかわらず、タリバーンが、女性・女児の権利の制限を一層強めていることについて、深く懸念するとともに、強く非難いたします。
 全てのアフガニスタンの方にとって、男女の区別なく平等に教育を受けることは、基本的な権利です。これは、アフガニスタンの今後の経済発展にとって欠かせません。
 我が国は、国際社会と連携しながら、引き続き、女子教育の完全かつ迅速な再開をタリバーンに要請をするとともに、今後とも、アフガニスタンの平和と安定のための努力を継続していく考えです。

(2)日ASEAN友好協力50周年事業

【小野外務報道官】続きまして、日本ASEAN友好協力50周年記念事業認定の申請受付であります。
 2023年の日本ASEAN友好協力50周年に当たり、幅広い関係者の皆様の参加と協力を得ながら、日本国内及びASEAN各国において、日本とASEAN各国との友好関係を一層盛り上げるとの観点から、日本ASEAN友好協力50周年記念事業の募集を開始いたします。
 この日本ASEAN友好協力50周年記念事業に認定された事業は、50周年オフィシャル・ロゴマーク及びキャッチフレーズを使用することができることに加え、日本アセアンセンターの日本ASEAN友好協力50周年特設サイトの上の50周年記念事業一覧に掲載をされることとなります。

(3)第16回日本国際漫画賞受賞作品の決定

【小野外務報道官】続きまして、3点目は、第16回日本国際漫画賞受賞作品の決定です。
 外務省は、毎年、海外への漫画文化の普及と漫画を通じた国際文化交流に貢献した海外の漫画作家に対して、日本国際漫画賞を授与しています。
 第16回目を迎える本年は、77の国と地域から過去最多となる計503作品の応募がありました。新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、第14回から、紙媒体に加えて電子媒体での作品提出を受け付けており、今年度は昨年度に引き続き、これまでの応募数を上回る数の応募を記録しました。
 今月行われた審査委員会における厳正な審査の結果、韓国より応募されたソン・リュル(seong ryul)氏の『夏の中で』が最優秀賞として選ばれました。加えて、優秀賞3作品、入賞11作品を含む、受賞作15作品が決定されました。
 第16回日本国際漫画賞授賞式は、来年3月の開催を予定しております。
 漫画は、多くの国・地域で、日本文化や日本語に関心を持っていただくきっかけともなっています。このような観点からも、外務省としては、引き続き、日本国際漫画賞を通じて、国際社会における漫画の普及と、漫画を通じた文化交流を後押ししていきます。

(4)CNNによる端島に関する報道への申入れ

【小野外務報道官】最後に、CNNによる端島に関する報道です。
 今般、CNNのオンライン旅行特集記事に、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つである端島について、事実に反し、また、根拠の無い内容が含まれていたことを受け、12月20日、外務省からCNNに対し抗議をするとともに、当該箇所の修正を申し入れました。
 今後とも、事実誤認等に基づく報道が見られる場合には、外務省として適切に対応していく考えです。
 私(小野外務報道官)からは、以上4点です。

外交記録の公開(湾岸戦争)

【テレビ朝日 澤井記者】今日行われた1991年の外交文書の公開に関連して、2点お伺いします。
 一つ目が、海部総理が米国を訪問した際のやり取りについてですが、湾岸戦争当時の日米の首脳の生々しいやり取りが公開されていて、資金の拠出に関してや、掃海艇の派遣など、米国側から強い圧力があったことが分かりますが、こうしたことへのご所感をお伺いしたいのと、また、この湾岸戦争が、その後の自衛隊の海外派遣であったり、まあそういったことに繋がった大きな出来事になりましたが、こうした外交文書が公開されることの意義についても教えてください。

【小野外務報道官】外交記録の公開は、我が国政府の過去の外交活動の成果を、歴史的検証に委ねることを本旨としており、記載事項に係る解釈の一つ一つについて、私(小野外務報道官)の方からコメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で申し上げれば、外交記録の公開につきましては、外交記録が、国民共有の知的資源として、主権者である国民が、主体的に利用し得るものであることに鑑み、作成又は取得から30年以上が経過した文書を公開しているものです。
 内容につきましては、皆様、あるいは研究者の方に検証をお願いできればと考えています。

外交記録の公開(日ソ首脳会談)

【テレビ朝日 澤井記者】関連して2点目ですが、ソビエトのゴルバチョフ元大統領が、初来日された際の、日ソ首脳会談のやり取りも公開されました。ただ、ゴルバチョフ氏の発言を中心に、かなり黒塗りが目立つ状態で、内容はあまり読み解くことができません。この黒塗りについて、どういった基準で処置を行っていて、また、その公開する内容について、相手政府とも事前に交渉などしているのでしょうか、教えてください。

【小野外務報道官】先ほども申し上げましたけれども、一般論として申し上げれば、外交記録の公開そのものは、日本政府の過去の外交活動の成果を歴史的な研修に委ねることを目的としています。そうした観点から、政府としては、外交記録は可能な限り公開されるべきであり、非公開箇所に関しては、個別具体的に、時の経過や現下の国際情勢も考慮の上、外部の有識者との議論を通じて、必要最小限とするよう厳格に審査してきています。
 一方で、外交活動には、国の安全、他国等との信頼関係、外交交渉上の理由により、非公開にせざるを得ない事項がございます。30年以上前の文書であっても、公開されることで、現在の外交交渉等に影響があるため、非公開とせざるを得ない場合もあります。
 なお、30年以上経過した文書でありましても、内容に応じて、一部を非公開とする慣行は国際的にも珍しいことではなく、我が国の公文書管理法上も、その旨を定めているところです。
 今後とも、外交記録を可能な限り公開し、国民の理解と支持を得た外交を進めてまいりたいと考えています。
 なお、本件、先ほど御質問のありました日ソ首脳会談記録につきまして、ロシア側とは調整を行っておりません。

国家安全保障戦略の策定

【朝日新聞 相原記者】先週、16日金曜日に、日本の新しい安保3文書が閣議決定された。まあ、いろいろな国から反応等出ていますけれども、9年ぶりとなる、特に、国家安保戦略策定について、日本政府として、何か、その英訳ですとか、そういった外国への翻訳等をしているのか、それを外国政府に対して、どのように通知されているか、そういった取組をされているのか、取組を教えてください。

【小野外務報道官】政府としては、今般の国家安全保障戦略の策定に当たりまして、我が国を取り巻く安全保障環境の変化や、それに対応する我が国の安全保障政策に関して、外交チャネル等を通じて、各国の政府関係者や有識者等への説明を行ってきているところです。
 その結果として、これまでに、例えば、米国のバイデン大統領からは「平和と繁栄の日本の貢献を歓迎する」というメッセージをいただいており、また、豪州のウォン外相からは「日本が国家安全保障戦略を発表したことを歓迎する」旨、カナダのジョリー外相からは「日本の新しい国家安全保障戦略と防衛予算の増加を歓迎する」旨のコメント等をいただいているところです。
 外務省としては、引き続き、各国の理解を得るべく努めてまいる所存です。

CNNによる端島に関する報道への申入れ

【朝日新聞 相原記者】ちょっと質問変わるんですが、先ほど、冒頭の報道官の発言の4点目の、CNNの報道ですね、これ具体的事実に反するというのは、どのような報道があったのかということと、抗議に対して、今のところ、CNN側は、何かの反応はあるんでしょうか。

【小野外務報道官】問題となる箇所ですが、二つございまして、第一に、端間が「強制労働収容所」であったかのような記述がございます。これは全く事実に反するものです。
 二点目としては、「千人を超える朝鮮半島及び中国の民間人と戦争捕虜が、ここで死亡したと言われている。」との記述がございます。この記述は、根拠を欠いたものです。当時、内地の日本人を含め、出身地を問わず、炭鉱や工場などの産業施設では、事故や災害に遭われた方々や、また、亡くなられた方々がいたことについては認識していますが、このような数を示した信頼できる資料はありません。
 CNNの反応ですが、先方との関係もありまして、詳細については差し控えたいと思います。

北朝鮮による弾道ミサイル発射

【共同通信 木梨記者】北朝鮮のミサイル開発についてお伺いします。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が、20日に、ICBMについて、ロフテッド軌道ではなく、通常軌道で発射を行う可能性について示唆しました。これ、仮りに、その通常軌道をやった場合に、米国本土に届く可能性もあると思います。そうすると、軍事的緊張は極度に高まると思うんですが、こうした威嚇を続ける北朝鮮に対する、日本政府の見解をお願いいたします。

【小野外務報道官】北朝鮮の動向につきましては、軍事動向を含め、平素から重大な関心をもって情報収集と分析に努めております。ご指摘の点を含めて、その一つ一つについてコメントすることについては差し控えたいと思います。
 いずれにせよ、北朝鮮が、前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返していることは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認することはできません。
 政府としては、引き続き必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米・日米韓と緊密に連携してまいります。

アフガニスタン情勢

【毎日新聞 青木記者】冒頭のお話があった、アフガニスタン情勢に関してですが、これまで累次にわたって、日本からもいろいろ言ってきたことですが、どのような形で、これまでタリバン側に、そういうことを訴えてきたのか、それと、今後、具体的にこういうふうな行動をとる、日本として行動を取っていく、というのがもしあれば。それとあと、タリバン側から、何か今のところ反応があるのであれば、それを教えてもらえたらと思います。

【小野外務報道官】日本政府としては、今後とも国際社会と連携しながら、女性・少数民族を含む、全てのアフガニスタン人の権利の尊重、包摂的な政治体制の構築、アフガニスタンをテロの温床とさせないこと等について、タリバーンに対して、実務的なやり取りを含め、今まで同様、働きかけを行っていきたいと考えています。
 それ以上の詳細につきましては、外交上のやり取りですので差し控えたいと思います。

ロシアによるウクライナ侵略(和平交渉)

【読売新聞 横堀記者】英国やバルト三国等、欧州10か国の首脳らが会合を開き、ロシアがウクライナ侵略を続ける限りは、和平交渉を支持しないとの立場で一致しました。軍事衝突の長期化を懸念し、停戦を求める声もありますが、ロシアとウクライナの和平交渉に関する日本のスタンスについて、特に来年は、日本が、G7の議長国になりますし、改めて、そのスタンスをお聞かせください。

【小野外務報道官】和平交渉につきましては、ゼレンスキー大統領が「平和のフォーミュラ」、Peace Formulaとして、10項目に言及をするなど、ウクライナ側が和平に向けた自らの立場を明らかにしていると承知しています。
 何と言いましても、ロシアが一刻も早く、ウクライナに対する侵略を停止するということが重要と認識しています。来年のG7議長国である我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携し、対露制裁及びウクライナの支援を強力に推進してまいります。

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