外務省・新着情報

令和4年10月6日

 日本モンゴル外交関係樹立50周年記念事業、青少年交流推進年事業「日本・モンゴル学生フォーラム」は、事前のオンライン学習と栃木県での合宿という、ハイブリッド形式で実施されました。
 オンライン学習会は、モンゴルに関する各分野の専門家による「モンゴル基礎講座編」4講座)と、合宿のワークショップセッションのテーマに対応したSDGs各分野の専門家による「SDGs編」5講座の計9講座で構成され、2022年7月末から8月にかけての3日間にわたって開かれました。

オンライン学習会 講義一覧
  第1回:7月23日(土曜日) 第2回:7月30日(土曜日) 第3回:8月6日(土曜日)
第1コマ(90分)
10時00分~11時30分
「日・モンゴル関係の過去・現在・未来」
清水 武則氏
元駐モンゴル大使、中央大学特任教授、千葉工大特別教授
「モンゴルの近現代史」
青木 雅浩氏
東京外国語大学准教授
「SDGs×防災」
大津山(鹿田)光子氏
特定非営利活動法人SEEDS Asia事務局長
第2コマ(90分)
13時00分~14時30分
「モンゴルの遊牧とSDGs」
今岡 良子氏
大阪大学准教授
「モンゴルでのビジネス」
藤原 弘人氏
住友商事株式会社
「SDGs×地域活性化」
中村 慎一氏
株式会社ANA総合研究所
第3コマ(90分)
14時45分~16時15分
「SDGs×ジェンダー」
藤川 菜緒子氏・篠宮 さおり氏
公益社団法人ガールスカウト日本連盟
「SDGs×開発」
N.ツォグサグ氏
一橋大学講師
「SDGs×アート思考」
柴田雄一郎氏
一般社団法人公益代理店i-ba代表理事

 初日冒頭挨拶では、有馬孝典外務省中国・モンゴル第一課長が、本年5月に、林外務大臣がモンゴルを訪問し、モンゴル政府・国民から大歓迎を受けたことを紹介しました。また、その歓迎の背景に、1990年のモンゴルの民主化以降の緊密な日モンゴル関係という基盤の存在と、これからも自由と民主を重んじる民主国家という国の根幹は決して変えない、そして、この道を日本とともに歩んでいきたいという、モンゴル自身の決意を感じたと述べました。さらに、両国の「戦略的パートナー」を実のあるものとするためには、様々な分野での交流を通じて国民同士のつながりや相互理解を深めていくことが欠かせず、そのような観点からも、今回の日本・モンゴル学生フォーラムを通じて、両国の学生の交流が深まることを期待すると述べました。
 オンライン学習会には、各日約100~120名が参加し、各講義の最後には、活発な質疑応答が行われ、参加学生の高い意欲がうかがわれました。以下に、学生の感想(一部抜粋・編集)を御紹介します。

参加学生の感想

モンゴル人学生の感想

  • 自国の歴史・経済・政治と将来の課題について改めて勉強し、日本人の学生と交流する時に自分の国の特徴を上手に説明できるようになりたいと強く思った。
  • モンゴル人として、支援を受けるだけの国ではなく、自分たちの力で国づくりをして、日本とあらゆる面で対等な仲間として関わっていけるようにならないといけないと感じた。また、日本人の若者がモンゴルについてあまり知らないということに問題意識を持つようになった。どうすれば日本の若者にもっと知ってもらえるのだろう、非常に悩むところである。
  • 講師が、モンゴルの文化や伝統を尊重しながら対等な目線で考えて話しているのがとても印象に残った。
  • モンゴル人として、遊牧民の原点である歴史や生活リズム、環境等を勉強したくなった。
  • ジェンダーについて、中学高校時代、服の色とか、形がこうあるべきと言われ、いやな思いをすることが多かったので、いつのまにか、他の人と同じようになりたいという気持ちになってしまった。人それぞれ個性があるのに、みんなが同じような形にされるなんてひどいことだと思う。講義は、こうした色々な疑問に答えるものだった。
  • 性別に関する価値観が知らず知らずのうちにできてしまっていたことに気づいた。自分のどのような行動がこの問題の解決に繋がるのかをしっかり考えたいと思う。日頃抱えていたジェンダーに関するもやもやを改めて考え、意見交換する貴重な場面になった。
  • モンゴルにAIやIoTの分野でもビジネスチャンスがあることを知った。
  • SDGsと開発についてきめ細かく話していただいたが、SDGsの重要性を良く伝える内容だったと思う。モンゴル人の先生による講義が聞けて嬉しかった。
  • 全ての話が興味深かったが、モンゴルのゾド(Dzuds)という災害と気候難民の話を結びつけて話していた点が一番面白かった。
  • 日本から自然災害防止・避難訓練を吸収し、モンゴルの自然や生活のリズムに合わせて工夫して行う必要性があると思った。
  • 各地には独自の魅力が必ず存在するというお考えにとても共感した。今後、モンゴルの地域活性化を進める上で、各地方の特徴をより強調する必要があるのではないかと思う。
  • 町や環境に与えるマイナスの影響も配慮しながら、持続可能な観光を実現することが大切だと思った。
  • 「アート思考」という言葉すら聞いたことがなかったので、講義でその中身を知り、非常に新鮮で面白かった。「問い」の大事さについて改めて理解出来た。
  • 質疑応答の時に、日本人学生たちが何に興味があるか、どのような視点で何を考えているか等を知ることができ、とても面白かった。

日本人学生の感想

  • 日本がモンゴルに対して行ってきた国際協力が現在もモンゴルの市民生活に役に立っていること、モンゴルによる日本に対する災害支援が私たちの日常を取り戻す糧になったこと(私自身が被災地域出身者なので心から感謝している)など互いに助け合いながら過ごした50年を学ぶことができた。
  • 今まで、モンゴルに対して特別興味、関心を持っていたわけではないが、今回の講義に参加し、モンゴルがどのような国なのかという雰囲気をつかむことができた。受講前よりもモンゴルを身近に感じるようになった。
  • モンゴルの遊牧社会や文化は、私たち日本人にとって学べるところが沢山あると感じた。日本がモンゴルに支援・協力する動きも必要であるが、同様に日本がモンゴルから学ぶことも重要なのだと学ぶことが出来た。「何かをしてあげる」という考え方から「共に学びながら未来に進む」という考え方に切り替えるべきであると考えた。
  • 固定概念が必ずしも悪いというわけではないが、柔軟な考えを持つことが、今後ジェンダー問題をはじめとしたSDGs諸課題に取り組むために必要であると改めて気付くことが出来た。
  • モンゴルを理解することは人間社会の多様性を理解することとの言葉が印象的だった。
  • 日本とモンゴルとで異なるモンゴルでのビジネスの繰り広げ方、「約束」の認識の違い、モンゴル人の国民性やビジネスをする上での注意点や特徴等に関する話が非常に面白かった。また、ブルーオーシャンの中に勇気を出して、挑戦していくことが大事であり、仲間と同じ目線に立って、事業を展開していくなど、将来に直結するようなことばかりを教えて頂いた。
  • SDGsの中でも貿易に焦点をあてた講義は初めてだった。関税の仕組みと、それをどうやって活用してきたかを知ることができた。関税撤廃以外で根本的に貿易を活性化するためにはどうしたら良いか合宿で話し合いたいと思った。
  • モンゴル出身の方から直接講義をしていただくことは今までにない経験だったので、とても新鮮だった。いつもとは違う目線で物事を考えることができ、とても良い機会だった。
  • 防災について、義務教育以外で勉強する機会がなかったので、専門家の考え方を知り、社会問題から自分の行動の視点まで幅広く学べ、とても興味深かった。自分のできること(小さなアクションをしてみる)、地域の災害の歴史を知ることや地域の人たちと挨拶するなど、できることから取り組んでみようと思った。
  • モンゴルの環境問題は砂漠化くらいだと思っていたけれど大気汚染や豪雪があることを知って驚いた。災害リスクの削減や災害についての日本とモンゴルの共通の課題などについても知ることができた。
  • 海外で防災の支援をするときは、人間としての共通部分を大切にしながら、違いを乗り越える必要があるという話が印象に残った。
  • 地域活性化という問題は日本もモンゴルも直面している課題と感じる。日本は東京とそれ以外の地域格差が激しい。モンゴルもウランバートルとそれ以外の地域格差が激しい。類似した例として合宿のときに議論の余地があるのではないかと思った。
  • 観光で実際に地域へ入るお金の少なさ、観光で起こる弊害を改めて知った。観光の側面のみに注目すると持続性が脆弱になる可能性があること、また、内部のコミュニティに住む人々の暮らしも含めて「持続可能な社会」を作れるのだという視点に、はっとさせられた。
  • いろいろなものに関して疑問を持つことの大切さなど、「問い」を持って考えてみることが必要だなとこの講義を受けて改めて感じた。
  • 現状から物事を考えるのではなく、どんな未来にしたいのかから考える思考を養っていきたい。自分の頭で深く考え、自分なりに問いを立て、そこから新しい答えを創造していくことが重要だと理解することができた。

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