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西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年9月6日(火) 11:01~11:14  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、私のほうからまず2点、お話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず1つが、循環経済工程表の策定についてでございます。この度、中央環境審議会におきまして、循環基本計画の点検結果を元にサーキュラーエコノミー(循環経済)移行を促進させるための循環経済工程表が策定されましたので、本日公表させていただきます。
 工程表には、脱炭素や経済安全保障の観点から、金属資源の国内外でのリサイクルを推進して、廃電子機器等の処理量を2030年までに倍増させることや、サステナブル・ファッションの実現に向けて、事業者や消費者の行動変容を促す情報発信や、新たなビジネスモデルの推進等を行う方向性が示されています。この循環経済工程表を踏まえて、官民一体となったサーキュラーエコノミー移行に取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一点が、二国間クレジット制度(JCM)の構築に係る日本とアゼルバイジャン協力覚書の署名についてであります。昨日、アゼルバイジャンとの間で協力覚書の署名を行い、同国が20か国目の二国間クレジット制度のパートナー国となりました。今後、優れた脱炭素技術等の普及を通じて、アゼルバイジャンにおける排出削減を実現して、両国の削減目標達成に貢献してまいりたいと考えております。冒頭、以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、共同通信の出崎です。循環経済工程表の関連でお伺いします。概算要求にはどのような関連政策を盛り込んだのか、また循環経済推進に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。
(大臣)環境省といたしましては、本工程表を踏まえて、来年度概算要求において、プラスチックや金属資源のリサイクルに関する設備への補助や実証事業の実施等で合計150億円を計上するなど、廃電子機器等の処理量の倍増に向けた取組を強化してまいります。また、太陽光パネルのリサイクルにつきましては、リユース、リサイクルを促進するために、関係する省庁とも連携しながら制度的対応を含めた検討を進めてまいりたいと考えています。また、サステナブル・ファッションの実現につきましては、ラベリングや情報発信、新たなビジネスモデルの構築、環境配慮設計等を推進してまいりたいと考えています。環境省といたしましては、概算要求を始めとした工程表に沿った取組を順次具体化することによって循環経済の移行に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。今の工程表の関係ですけれども、この取組をすることによって、温室効果ガス削減の余地が36%ぐらいあるというふうに記されているんですけれども、こういった脱炭素との絡みで、その意味合いと言いましょうか、狙いというのを大臣の言葉で説明していただければと思います。よろしくお願いします。
(大臣)関根記者も御承知のように、脱炭素、カーボンニュートラルに向けた取組というのは、我が国を挙げて、国際的にしっかりと進めていかなければならないものであります。それを実現する過程において、今回公表した循環経済工程表というのは非常に大きな役割を果たすだろうというふうに思っています。また、世界全体においてですね、循環経済というものが脱炭素への移行を進めていく上で重要な分野でもありますし、今、我が国においては都市鉱山といったものから金属回収をする技術や、また、そういった優れた技術において、我が国の強みを世界的に発信できる分野でもございますので、こういったものを含めてですね、特に、ドイツで開催されたG7におきまして、循環経済への移行というのが重要なテーマになってきております。各国とも非常に関心が高い分野でもありますので、我が国とすれば、来年が議長国になるわけでありますので、そうした中で、気候・エネルギー・環境大臣会合が開催することが決定しておりますので、この中で具体的なテーマをしっかりと今、検討しておりますので、そういったものを出しながら、今、御指摘のあったようなところをしっかりと前進させていきたいというふうに考えています。
(記者)なかなか難しいかもしれないですけど、例えば大臣の中で循環経済を進めることでCO2削減何%ぐらい貢献したいとか、そういうイメージはあるんですか。
(大臣)それはもう、できるだけ大きく進めてまいりたいと思っておりますけれども、現状において何%というのはちょっと控えさせていただきたいと思っています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。9月1日付けで、前環境事務次官の中井徳太郎さんが、我が国で恐らく最大のCO2排出企業の日本製鉄に顧問で就任しました。これを西村大臣はどのように受け止めていますでしょうか。
(大臣)中井前次官の再就職については承知しております。今御指摘があったように、鉄鋼業界というのは、カーボンニュートラルを進めていく上で、非常に、実現が極めて難しい、言うなれば大きなチャレンジであると思っております。業界を上げてカーボンニュートラルに取り組んでいくというのが最重要課題、そして鉄鋼関係においてはまさに総力戦で取り組んでいるというふうに承知しております。中井前次官としても、この取組に身を投じるという大きな決意を持たれているというふうに聞いておりますので、ぜひ御活躍を期待してまいりたいと思っております。環境省としても、引き続きカーボンニュートラルの取組を進めていく上で、大きなお力を発揮していただきたいと思っております。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。先ほどの朝日新聞さんの質問と少しかぶってしまうんですけれども、循環経済工程表の作成についてなんですが、先ほど言及されたとおり、部会の資料等を見ると、日本の温室効果ガスの全排出量のおよそ36%を削る可能性もあるし、また都市鉱山のお話もありましたが、金属リサイクルの倍増、これは日本が技術として持っている分野ということも言えると思うんですけれども、来年のG7の開催国としても、日本を打ち出すテーマとして1つあり得るんじゃないかなと思うんですが、G7に向けて、この分野を押し出していくというような大臣のお考えはあるんでしょうか。
(大臣)先ほどお話ししたように、都市鉱山の精錬を含めてですね、日本が非常に強みを持っている分野をしっかり押し出していきたいというふうには考えております。また、今、関係省庁とも来年度のG7の具体的テーマについては検討を開始しております。現時点において、これを強く押し出していきたいというのは、調整も終わっておりませんので、具体的には現時点においては申し上げづらいところがございますが、繰り返しになりますが、日本の強みを活かした、そして日本としてリードできるものをしっかりとしたテーマに上げていきたいというふうに考えています。
(記者)重要なテーマになり得る、可能性としては十分あり得るという認識でしょうか。
(大臣)その都市鉱山も含めた話ですか。それは当然そういうふうに考えています。
 
(記者)日経新聞の西野さんからの質問です。 経産省も循環経済分野を強化していますが、役割分担や連携を図っていくのでしょうか。
(大臣)環境省において、循環経済工程表、これを公表したわけであります。今御指摘のあった、経済産業省において資源自律経済を提唱しているということでございます。これは、非常に簡単に申し上げますと、天然資源を採取したり、加工したり、製品を作って供給したりという、いわゆる動脈的な経済、動脈産業、これを経済産業省に担っていただく、そして使用を終えた製品の処理、そしてまたリサイクルといったものを行う静脈産業といっていいんでしょうか。そういったものを環境省が担当しているというふうに認識しています。循環経済の取組というのは、今申し上げた動脈産業と静脈産業、これが一体となって取組を進めていかなければならない分野でございますので、こうしたところも経済産業省とよく連携をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えています。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=glKM0pnKxvA&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 

(以上)

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