外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】昨日一日を通じまして、ここリバプールでG7外務・開発大臣会合に出席をいたしまして、国際情勢などについて突っ込んだ議論を行いました。金曜日の夕方、国会審議を終えてから東京を発ちまして、土曜日丸一日、ここで仕事をし、この後、G7とASEANのセッションに出席して帰路につくという、まさに弾丸出張になりましたが、G7会合に加え全てのG7各国の外相との会談を含む多くの二国間の会談を行うことができ、大変充実した訪問になったと思います。

 G7外務大臣会合では、国際社会が直面する様々な課題につきまして文字通り忌憚なく率直な議論を行いましたが、その議論を通じ、基本的な価値を共有するG7が連携して国際社会をリードしていく意義を、改めて強く感じました。

 昨日は、午前中のセッションの冒頭から中国が議題になりました。私(大臣)から、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みの継続、強化への深刻な懸念と反対、香港情勢および新疆の人権状況の深刻な懸念、台湾海峡の平和と安定の重要性、経済的威圧などについて提起をし、日本として、中国とは主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、対話を続け、共通の課題については協力する、こういう建設的かつ安定的な関係の構築を目指している旨述べました。G7各国からも様々な論点について、懸念の表明を含む発言がございました。

 午後のセッションでは、北朝鮮について、私(大臣)から全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDに向け、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨、強調いたしました。また拉致問題について、各国の理解と協力を呼び掛けました。各国からも北朝鮮の核ミサイル開発への懸念が表明され、また拉致問題についても支持を得ました。

 昨日の外相会合では、この他にもロシア、ウクライナ、アフガニスタン、アフリカ情勢、イランなどについて議論が行われ、また開発大臣の参加も得て、開発金融を含む経済パートナーシップについて議論いたしました。昨晩は、G7に加え、豪州、韓国、ブルネイ、フィリピンの外相も参加をし、夕食を共にしながら開かれた社会についての議論を行いました。

 月曜日の予算委員会に出席するため、本日はG7とASEAN外相とのセッションの後、会合を中座して帰国をいたします。なお全ての日程が終了したところで、成果物としての文書が発出をされる予定でございます。また今回、会合の合間を縫って、英国のトラス外相、米国のブリンケン国務長官、ドイツのベアボック外相、フランスのルドリアン外相、イタリアのディマイオ外相、豪州のペイン外相、カナダのジョリー外相との、2国間会談を実施しました。また夕食に先立つレセプションの際に、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長と立ち話をしました。

 就任以来精力的に電話会談をこなして参りましたが、やはり各国の要人と直接会って、個人的な関係を構築しながら、国際社会の諸課題について議論し、相互理解を深めるということは大変重要であると改めて認識をいたしました。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】今回の初外遊での手応えについて教えてください。また、対面で各国の外相と会談をされたと今ご紹介がありましたけれども、特に同盟国であるアメリカのブリンケン国務長官との会談はどのような雰囲気でお話ができたのでしょうか。また、海外の報道でですね、夕食会で大臣がビートルズの「イマジン」を演奏されたということも伝わっているのですけれども、今回演奏された経緯と選曲の理由についてもお聞かせいただけますでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。国会日程もあり大変短い出張でありましたが、限られた時間の中で各国のカウンターパートと対面で会って、個人的な関係を構築しながら、国際社会の諸課題について率直な議論を行うことは、同志国の連携を深めて行くうえで不可欠であると改めて認識をいたしました。

 ブリンケン国務長官とも、全体の会合の中で、また外務会談も行った訳でございますが、電話では会談をしておりましたけれども、初めて会ったというような感じがしない、非常に打ち解けたこの雰囲気の中でお互いの意見交換を深めることができて大変に良かったとこういうふうに思っております。

 また、夕食会の会場がビートルズ博物館でありまして、簡単な博物館のツアーがこの夕食会に先立って行われたわけでございます。その際、ジョンレノンのコーナーがありまして、「イマジン」の関係するものが置いてあるところで皆で記念撮影をしようということになりまして、この白いピアノ、レプリカでございましたけれども、置いてあって、誰かが座ってくれと、弾いてもいいと、こういうふうに言われたものですから、せっかく「イマジン」の部屋であればということで、即興で「イマジン」を三分の一くらい、短いバースでございましたが弾かせていただきまして大変皆さんにも喜んでいただいたと思っています。

【記者】今回のG7の会合にはASEANが初参加をしています。ASEANのセッション参加はこれからかと思いますけれども、日本も招待を求めていたASEANが参加しているこの会合の意義をどのようにお感じになっていますでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。このASEANの皆様が議長国のご判断によるご招待ということで、この会合に参加をされたということは大変意義があったとこういうふうに考えております。今からセッションで、正式にセッションに参加される訳ではございますが、それに先だって昨日の夕食会にも参加をされている外相の皆さんとお話をすることもできたわけでございます。こうしてG7がですねASEANを含めてインド太平洋地域に関心を高めているということは大変に我々にとっても良いことであると、こういうふうに認識をしております。

【記者】先ほど質問で手応えについてありましたけれども、それと関連しますが、今回の初外遊を踏まえてですね、今後林外務大臣としてどういった独自性というか「林カラー」を打ち出していきたいとお考えなのか、手応えを踏まえてお聞かせください。

【林外務大臣】そうですね。冒頭申し上げましたように、やはり電話会談でお話をした皆様も多かったわけですが、こうしてやはり対面でお会いをすることによって、会合の始まる前や始まった後、ちょっと立ち話をしたりして個人的な信頼関係というのを大変深めることができたのではないか、ということで手応えを感じたところであります。常々申し上げてきておりますように3つの覚悟、普遍的価値を守り抜く覚悟、そして日本の平和と安定を守り抜く覚悟、そして人類に貢献し国際社会を主導する、こういう覚悟をもって外交を展開をしていくということを掲げております。そうした意味でこれを進めていく上ではですね、やはりこのG7という基本的価値や原則を共有する国々との連携というのは極めて重要でありまして、今回この出張を通じてそれを感じたところでございます。今後も対応力の高いですね、低重心の姿勢で立ち向かっていきたいと、こういうふうに思っております。

【記者】いわいる「外交的ボイコット」についてお伺いします。昨日の中国について話し合うセッションだと思うのですが、北京五輪について各国それぞれの立場を述べる場面があったとふうに伺っております。林大臣からどういったお考えを述べられたのでしょうか。また日米の外相会談では特にこちら話題にならなかったというふうに聞いておりますが、他の国の外相との個別の会談でこういった北京五輪の対応について話し合う場面はあったのでしょうか。教えてください。

【林外務大臣】まず北京オリンピックについてでございますが、すでに立場を公表されている国からその紹介があるなど、若干の意見交換がございました。私(大臣)の方からは、日本として北京オリンピックの対応については、今後適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断をするという考えである旨をですね、発言をいたしました。また、セッションやバイ会談を通じて他国の発言については、原則として紹介をしないということがG7のルールでございますので、私(大臣)から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

発信元サイトへ