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2021年7月8日

国際標準化機構(ISO)において、日本が提案した「スマートコミュニティインフラの統合と運用のためのフレームワーク」に関する国際規格が発行されました。
本規格の普及により、都市インフラの開発・運用・保守のプロセスが世界的に共通化していき、進出先の商習慣、開発慣行の違いによる影響が最小化されることで、日本企業の海外スマートシティ市場への更なる進出が期待されます。

1.提案の目的・背景

海外のスマートシティ、スマートコミュニティとそれを構成するインフラ(以下スマートコミュニティインフラ)の開発プロジェクトに日本企業が参入する際にはいくつかの課題があり、それらの解決が求められています。

スマートコミュニティインフラでは、都市を構成するエネルギー・交通・ICTシステムなどの複数のシステムの整合がとられ、それぞれ連携して無駄なく機能することが求められます。そのような中、複数の個別インフラの連携(相互作用)が、適正に計画されていないために、省エネルギー等への寄与度が高い日本企業の製品が適正に評価されていないということが、課題となっています。更には、都市開発や都市運用・インフラの保守などといった一連のプロセスが、各国・地域毎に異なっていることにより、この対応に現地のプロジェクトに詳しいコンサルタントに依頼するなど、多大なコストが強いられているということも課題として挙げられます。

今回、スマートコミュニティインフラの開発・運用・保守等のプロセスの国際標準化を目的とした日本の提案により、2020年1月にISO37155-1(Framework for integration and operation of smart community infrastructures-Part1)が、2021年5月にISO37155-2(同-Part2)が、それぞれ国際規格として承認・発行されました。

2.国際規格の内容

今回発行された2つの国際規格は、日本企業が対応し易い枠組み(フレームワーク)を検討して策定されました。ISO37155-1では主に複数のインフラ間の相互作用を適正に確保することを目的に、ISO37155-2では主にインフラの妥当性確認と検証を行うことを目的にして、インフラのライフサイクルの各フェーズで何を行うべきかを規定しています。例えば「基本設計のフェーズでは、他のインフラなどとの相互作用を同定し、それぞれに対するリスクを踏まえ対策を検討する事」等、フェーズ毎にステークホルダーの役割や責任範囲、推奨事項を定めています。

  • の画像図 スマートコミュニティインフラの特徴
スマートコミュニティインフラは、都市を構成する複数のインフラシステムが組み合わされることで、都市の基盤システムとして機能すること、さらに複数のステークホルダーが関与し、ライフサイクルが長いことが特徴として挙げられる。

3.期待される効果

日本企業がスマートシティ、スマートコミュニティインフラの開発案件において海外進出をする際には、都市全体の開発ではなく個々のインフラやコンポーネントで進出することが多い一方、大規模な欧米系の会社は都市全体を開発することが多く、ビジネス上これらの欧米系企業が有利になりやすい傾向がありました。

このような状況に対して、本国際規格が普及し、各地のインフラ工事における契約約款に採用されることにより、都市インフラの各システムの要求事項の割り当てに関する考え方や、コンポーネントやインフラ個々の役割・責任範囲が国際標準として明確になり、都市インフラの開発・運用・保守のプロセスの国際的な統一化が進むこと、及び製品の性能が適正に評価されることなどが想定されます。

この結果、日本企業が対応し易く、不利にならないような基本方針、枠組み(フレームワーク)を採用する海外都市開発プロジェクトが増加し、日本のインフラやコンポーネントメーカーの積極的な海外進出が促進されると期待されます。

担当

産業技術環境局国際電気標準課長 柳澤
担当者: 森田、大平、吉田

電話:03-3501-1511(内線 3428)
03-3501-9287(直通)
03-3580-8631(FAX)

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