(令和3年6月22日(火曜日)11時03分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外務省幹部人事

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、まず3点の発表があります。
 まず外務省の幹部人事についてであります。本日の閣議で、外務省の幹部人事が承認され、本日付で発令をいたしました。
 秋葉次官には、激動する国際情勢の中、戦後最長となる約3年半の長きに亘り、まさにミスター外務省として、事務当局を率いてもらいました。秋葉次官はじめ、要職を経験してきた幹部には本当にいい仕事をしてもらったと感謝をしております。
 今回の外務省幹部人事は、様々な要素を検討して決定いたしましたが、特に2点、一つは政策の継続性と更なる進展、もう一点は、女性や若手人材の積極的な登用、これを重視をいたしました。
 今回の人事の概要、この後、資料を配付いたしますが、秋葉次官の後任の次官には、森健良政務外審に就任してもらいます。そして森外審の後任には山田重夫総政局長。総政局長の後任には、岡野正敬国際法局長に就任をしてもらいます。
 また、儀典長には志野光子文化審が就任いたしますが、志野儀典長は、新たに来月に迫りました東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大使に任命をし、その業務にも当たってもらいます。
 更に、空席となっておりました外務副報道官には、平成5年入省の岡野結城子会計課長をあて、後任の会計課長には平成8年入省の貝原健太郎日米安保課長が就任をいたします。
 今後、新たな体制の下で、組織一丸となって、様々な外交課題に更に全力で取り組んでいきたい、このように考えております。

(2)大臣のG20外相会合、外務・開発大臣会合及び開発大臣会合出席/バルト3国訪問

【茂木外務大臣】二点目、海外出張の関係でありますが、若干、私(大臣)が報道を追いかけるような状態に、今なっておりますけれど、6月29日に、イタリアのマテーラにおいてG20外相会合、外務・開発大臣会合及び開発大臣会合が開催されます。諸般の情勢が許せば、私(大臣)はこれらの会合に出席し、その後、6月30日から7月3日までエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国を訪問する予定であります。
 対面でG20外相会合行われるのは、一昨年に、私(大臣)が議長を務めましたG20愛知・名古屋外相会合以来2年ぶりということになります。新型コロナからの回復を含みます国際社会の様々な課題について、各国と積極的に議論を交わし、多国間主義の下でのG20の協調に貢献をしたいと考えております。
 また、日本とバルト3国が本年から来年にかけて、友好100周年となる重要な節目を迎える機会をとらえて、日本の外務大臣として初めてとなります3か国歴訪を行う予定であります。
 歴訪では、二国間関係の発展について意見交換するとともに、欧州でインド太平洋への関心が高まる中、各国との間で地域情勢についてもじっくり議論を行う考えであります。

(3)沖縄戦戦没者慰霊の日

【茂木外務大臣】最後にもう一点、明日6月23日、沖縄戦戦没者慰霊の日を迎えるにあたりまして、改めて多くの戦没者に、心から哀悼の意を表します。
 戦後76年を迎えた現在もなお、沖縄の皆様には大きな負担を負っていただいております。このような現状は、決して是認できるものではなく、重く受け止めております。
 今後とも、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、外務大臣として全力を尽くしていきたいと思います。私(大臣)からは以上です。

外務省幹部人事

【NHK 山本記者】冒頭、発表がありました人事について、秋葉次官なんですけれども、戦後最長の3年半近く務められたということですけれども、大臣、一番近くでご覧になってきて、次官のどのような能力を評価されていますでしょうか。

【茂木外務大臣】安倍前総理は、「地球儀を俯瞰する外交」と、これを展開されておられたわけでありますが、まさに秋葉次官、外務省であったりとか、世界の情勢、こういったものを俯瞰をしながら、極めてタイムリー、また同時に、いろいろな外務省であったりとか各省の力を結集して、それぞれの課題に当たってきたと、こんなふうに考えております。
 私(大臣)も、秋葉次官とは外務副大臣当時からのいろいろなつきあいもあるわけでありますが、特にこの2年間、外務大臣、また事務次官という立場で、緊密に連携しながら、協力しながら、いい仕事ができたと思っておりますし、本当に私(大臣)の仕事についてもよく支えてくれた、こんなふうに感謝をいたしております。
 この後、秋葉次官がどういう立場に就かれるか、これ分かりませんが、いずれにしても、秋葉次官の持っている能力であったりとか、更には経験というのは、今後の日本の外交や安全保障、様々な問題を考える上でも、極めて貴重であると考えておりまして、更に活躍、こういったものも期待をいたしております。

【日本経済新聞 飛田記者】今の質問と関連するんですけれども、秋葉さんの後任となる森さんに期待することと、どういった理由で起用されたのか、その辺の評価されている点を教えてください。

【茂木外務大臣】森外審、今度、次官に就任をするわけでありますが、北米局長、更には政務外審も経験をされ、ちょうど米国でもトランプ政権からバイデン政権に移行すると、いろんな意味で難しい時期といいますか、更に言いますと、オバマ政権からトランプ政権、トランプ政権からバイデン政権と、こういった中で、例えばキャロライン・ケネディ駐日大使との関係であったりとか、そういった日米同盟の強化について、また大きな課題である日露平和条約交渉、こういったことにも非常に手腕を振るってもらったと、このように思っております。
 秋葉さんが57年、そして森さんが58年ということで、近くで仕事をしてきたと、こういう2人でもあります。先ほど申し上げたような政策の継続性、そして更なる進展、こういった意味からも、森さんにしっかり秋葉さんの後の次官としての仕事をして欲しいと、こんなふうに思っています。

日韓局長協議

【テレビ朝日 佐藤記者】話題変わりまして、昨日の日韓局長級協議についてお伺いします。大臣は4月の日韓局長級協議の後の会見ででも、日韓関係について、かつてなく厳しい状況にあるというご認識を示された上で、外交当局間の意思疎通は続けていこうということで、そのときも日本の一貫した立場に基づいて、韓国側に適切な対応を求めていきたいとご発言されました。
 今回の局長級協議の後のブリーフ等を拝見しておりますと、韓国側からは、新たな説明が出てきたということはなかったようでして、それどころか、日本が誠意を示すことが必要だという韓国側の発表もありました。
 こうした韓国側の発表も踏まえて、今回の協議をどのように評価されるかと、今回の協議が今後の日韓関係においてどのような位置づけにあるか、大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】日韓関係、引き続き厳しい状況にあるのは間違いないと思っております。先月、ロンドンでの日韓の初めての外相会談においても、私(大臣)と鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官の間で、そういう問題を解決していくためにも外交当局間の意思疎通、これは継続をしていくということで一致をいたしまして、それを踏まえて今回の局長協議が実施をされたものであります。
 我が方からは慰安婦問題、旧朝鮮半島出身労働者問題、更には竹島の問題と、両国間の問題に対する日本の一貫した立場と、これをしっかり伝達をしたところであります。
 そして、韓国側に適切な対応を強く求めたと、このように報告を受けております。
 韓国側の反応について、こちらがコメントする立場にはありませんが、少なくとも問題解決に向けて、韓国が何らかの是正措置を取るということは極めて重要だと、このように考えておりますが、引き続き外交当局間では、意思疎通というのを図っていきたいと思います。