厚労省・新着情報

(令和3年4月30日(金)9:53 ~ 10:19 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:

おはようございます。開始が遅れ申し訳ありませんでした。今日、私からは3件ご報告をいたします。まず、一点目でありますが、本日公表の令和3年3月の雇用統計であります。有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇し、1.10倍となっております。
 一方で、労働力調査でありますが、3月の完全失業率は前月から0.3ポイント低下いたしまして、2.6%となりました。これだけ見ていると、数字的には良いように見えるのですが、問題は、求人が求職を上回って推移しているのですが、求人が弱含んでおり、求職者の増加もあいまって、厳しさが見られるということであります。
 数字上は、有効求人倍率が上がって失業率が下がっておりますが、これに関しては、求人が下がって求職者が増えているという動向を考えると、まだ求人が上回ってはいるのですが、厳しさが見られるということであります。

 次に、雇調金の特例措置でありますが、これに関して、今まで申し上げてまいりましたのは、5月、6月と、通常に向かって今までの特例措置の段階的な緩和という形になってくるということでございましたが、今般、緊急事態宣言が発令されましたので、緊急事態宣言のエリアに関しては、特例をそのまま維持するという形になります。
 まん延防止等重点措置を行っている地域に関しても、今までの特例をそのままであります。
 一方、緊急事態宣言が出ていない、まん延防止の措置もされていない他の地域に関しては、今まで申し上げてきた通り、5月、6月と今までの特例措置を緩やかに解除していく対応になります。
 一例を挙げますと、今まで一日15,000円という上限だったのが13,500円になるとか、助成率10/10の対象企業は9/10になるとか、このような形になってまいります。状況が厳しい地域に関してはしっかりと今まで通り対応します。
 そして、先ほど申し上げた、特例が維持されるエリア以外の他のエリアの企業でも、前年又は前々年と比べて過去3ヵ月で平均3割売り上げが下回ったところは、特例を今まで通り維持しますから、本当に厳しい企業に関しては、今まで通りの特例を維持します。
 これは企業のエリアが、緊急事態宣言やまん延防止措置のエリア以外であったとしても、そのような形で調整させていただくということであります。
 
 あと、児童福祉週間ということですが、こどもの日のこいのぼり掲揚式に関しては今年も中止という形でございます。ただ、これに関しましては、YouTubeで、この厚生労働省の前でこいのぼりを掲揚するという動画を流し、また、さかなクンによる子ども向けの動画、これを配信させていただきたいと思っております。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年4月30日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
感染状況について、東京や大阪では千人を超える新規感染者が確認されていますが、全国的な感染の状況をどうご覧になっているかということと、大型連休に入ってまいりますが、感染拡大をどのように抑えていきたいお考えでしょうか。
 また、あわせて、三重とか岐阜でまん延防止等重点措置の適用を要請しているところもありますが、連休中に適用の判断をされることがあり得るのかどうか、お考えをお聞かせください。
大臣:
現状は、全国的に感染が拡大しつつある状況にあると思います。その上で、やはりその中心である大阪・東京、ここは厳しい状況で、特に大阪は、伸び方自体はある程度緩やかになってきておりますが、まだ完全に下降には入っていません。
 まん延防止をスタートさせたのが4月5日で、そういう意味では二週間以上経っております。まん延防止等重点措置自体の効果がないとは言えませんけれども、限定的であったということになるのだと思います。
 それは、一つは人流も以前のようには減っていないということがありますが、何よりも変異株の感染力というのが以前の従来株よりも強いという部分があるのだと思います。
 それぞれ専門家の方々にご評価いただいておりますが、緊急事態宣言、これで人流をより減らしていただいて、これこそ更に効果があるものにしていかなければなりません。
 しかし、東京も大阪も、東京では特に、一部の地域では夜の人流が減っていますが、他の地域では減っていないというような報道もされており、少なくとも去年の4月の緊急事態宣言の時と比べると人流が十分に減っていない状況です。
 緊急事態宣言を出しても十分に効果がないということになると、これは大変なことであります。是非とも、緊急事態宣言下だということで、特に緊急事態措置が出されている地域の皆様方には、不要不急の外出、それからもちろん県境をまたぐような移動も避けていただきたいと思います。
 なるべくステイホーム、ご自宅でご待機をいただいて、このゴールデンウイークは家の中でお過ごしをいただくようにお願いをいたしたいと思います。
 それから、まん延防止の要望、申請を正式にいただいているかどうか、書類が来ているかどうか、私もそこまで確認しておりません。申請が正式に来ればこれは法律に則って当然検討しなければならないということでありますから、6つの指標等総合的に判断して、まん延防止措置のエリアにするのかどうかということを、専門家の方々のご意見も伺いながら最終的に判断するということになろうと思います。
 そのプロセスというものに入っているのかどうか確認したいと思います。
記者:
ワクチンについてですが、モデルナが開発したワクチンの日本国内への第一便が今朝午前に到着したとのことですが、大臣のお受け止めと今後の承認の見通しについて改めてお聞かせください。
大臣:
モデルナとは5,000万回分のワクチンの供給の契約を結んでおり、その第一便が関西空港に着いたということでございます。しかしまだ承認されておりませんので、そういう意味では、準備段階でワクチンの輸送を進めていただいたということだと思いますが、近いうちにはこのモデルナのワクチンの結果も出てくると思います。
 我々としてはなるべく早く、特例承認の申請が来ておりますから審査をさせていただいて、判断させていただきたいと。承認されれば、供給されたものをそれはすぐに接種に向かっての体制に入っていくということになると思います。
記者:
2点ほどお伺いします。まず、発表のあった有効求人倍率についてなのですが、年度平均の有効求人倍率が発表されまして、下落幅がオイルショック以来となっています。今後更なる落ち込みが懸念されると思いますが、改めて受け止めと今後の見通しをお願いします。
大臣:
雇用調整助成金やいろいろなことで、失業率自体も当初予想されているよりかは低い状況で、何とか各企業にご努力いただいて対応いただいていると思っています。
 有効求人倍率に関しても、いろいろとまだら模様でなかなか評価が難しいのですが、やはり厳しい産業、業種、ここは有効求人倍率も下がるわけであります。
 そういう意味では、そういう厳しい業種の方々、これは需要自体がない、緊急事態宣言になれば特に飲食業等はそういう形になってまいりますが、あと今は旅行関係、観光関係もそうでありましょう、そういうところで働いておられた方々を他の業種、産業にスムーズに移動していただけるような、そういう体制、環境を作るべく、今現状では教育訓練等も含めて対策を行っております。
 いずれにいたしましても、緊急事態宣言というものが解除され、そしてまたこのコロナというものが一定程度克服に向かって動いていかないと、厳しい業種というのは残るわけでございます。
 そういう業種に対しては働く方々のスムーズな移動というものをしながら、早くコロナの終息に向かって対応させていただく中で、これはワクチンも一つ大きな方法だと思いますけれども、今まで厳しかった業種に対しても対応できるような環境を作っていかなければならないと考えております。
記者:
ありがとうございます。話題が変わるのですけれども、東京オリンピック、パラリンピックの医療体制について、大会組織委員会は大会期間中、看護師確保500人の確保を日本看護協会に要請しました。観客数の上限などの規制は話し合われている最中ではあるのですけれども、医療逼迫などを指摘する声も出ていますが、大臣の見解をお聞かせください。
大臣:
オリンピックまであと残すところ2、3ヶ月になってきているわけでありまして、そういう意味からしますと、まず感染の状況をしっかりとコントロールしていかなければならないと思います。当然、コロナの病床で活躍いただいている看護師の方々は、コロナに対してのいろいろな知識やスキルを持っていただいている方々でございます。
 一方で、オリンピックでいろいろとご協力、ご活躍いただく方々は、観戦客がどうなるのかははっきりしていませんけれども、アスリートでありますとか、そういう方々の健康管理等をしていただくという役割なので、直接その役割が重なっているわけではありませんけれども、潜在看護師の方々は70万人以上おられると言われていますが、稼働されている看護師の方々は限られているわけでありまして、そこで看護師、医療人材の引き合いになるとこれは困るわけでござますので、そうならないような体制を組んでいく必要があると思います。
 少なくとも厚生労働省としては、今コロナの対応でご活躍いただいている方々、そして、そのオリンピックが開催される時点でのコロナの感染状況等で、当然必要な医療人材というのは分かってきますので、こういった方々はなんとしても確保していかなければ、コロナに対する国民の健康、命が守れないわけであります。
 そこは、我々厚生労働省としては絶対に必ず確保いただくことを各自治体にはお願いをし、厚生労働省といたしましてもそのような体制のご協力をさせていただきたいと思います。その上で安心安全なオリンピックの開催をお願いいたしたいと考えています。
記者:
モデルナのワクチンについてお伺いいたします。大臣は以前にモデルナのワクチンは5月中にも早ければ承認の見通しとおっしゃっていたと思うのですけれども、現在もその見通しにお変わりはないですか。
大臣:
5月に国内データが戻ってまいりますので、PMDAでそれを早急に審査いたします。そういう意味では5月には審査のデータの条件が揃うということでございますので、それより早く返ってくれば当然その審査の期間はしっかりと確保できますので、そうなれば、全てがうまくいけばですが、5月中ということも可能であるということを以前申し上げました。
 状況は今も変わっていないと認識しておりますので、全ての条件が揃えば5月中にということもあり得ると考えております。
記者:
河野大臣がワクチンパスポートについて導入を検討する意向を示されています。アレルギーなど接種できない人の差別防止のために厚労省でガイドラインを作成する考えはありますでしょうか。また、ワクチンパスポートの必要性についてどう考えるのかお願いします。
大臣:
ワクチンパスポートに関しては、諸外国、海外でそのようなものを活用しようという動きが一部に見られているというのは、我々もそういう情報があるということは確認しています。
 そういう意味では、そのような国に日本人が行く場合に、当然その国の制約を受けますから、そのようなニーズがあればそれは何らかの対応を考えざるを得ないと思います。
 その国の主権の下でやられることでありますので、それに対応していかなければならないという意味では、これに必要な対応はしていかざるを得ないであろうと思います。
 ただ、日本国内において、ワクチンパスポートのような形で優先であるとかいろいろな対応をするということ、これは今考えているわけではございません。
 そこにはワクチンを打つ、打たないという自由がありますし、体質上ワクチンを打てないという方々もおられるかも分かりません。そういう方々に配慮していかなければなりませんから、これからワクチンパスポートという考え方が世界中でそういうような状況になってくるかは今のところまだ分かりませんけれども、よく我々としては世界の状況、情報というものを収集した上で必要があれば、対応できるものは考えていかざるを得ないと思っております。
 いずれにしてもワクチンを打たないことにはパスポートも何もないわけです。これから、この連休明けから本格的にファイザーのワクチンが供給されてまいります。
 総理も7月いっぱいをひとつ目標にしながら、高齢者の方々が2度打てる、そういう環境を整えていただきたいということで各自治体にお願いいたしております。
 ちょっとやはり接種を担う方々が自治体によっては足りないという声がございましたので、歯科医師の皆様方にも場合によってはご協力をいただくというのを、この間も情報発信をさせていただきました。
 看護師の方々についても、先ほど申し上げましたが潜在看護師の方々は70万人以上おられるということであります。各都道府県で看護協会がナースセンターというものを開設いただいておりまして、そこで潜在看護師の方々の登録といいますか、要望をいただいているので、「是非とも私はワクチンの接種を協力したい」という方々がおられれば、是非ともそういうところにご連絡をいただいて、お一人でも多くの看護師の皆様方に、このワクチン接種にお力添えいただければありがたいと思いますので、改めてここでもお願いをさせていただきたいと思います。
記者:
現在、政府提出の医療法等改正案が審議されていますけれども、この法案には病院の統廃合や病床の削減への財政支援、病床機能などの再編を行う医療機関への税制優遇などが盛り込まれています。新型コロナウイルスの感染拡大がいつまで続くかわからない現状で病床の削減が行われる、大阪をはじめ各地で懸念される医療の逼迫や病床不足に拍車をかける方向の法案は今進めるべきなのでしょうか。厚労省はコロナ禍の病床機能のダウンサイジングに舵を切るべきではないと思われます。これについて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
今、ダウンサイジングするわけではありません。2025年に向かって計画を作っていただいているものであって、コロナの今このときに病床を減らすということではないので、そういうような話にはならないと思います。
 いずれにしても人口は減りますから、病床は余ってきます。余ってくると医療機関は経営できなくなります。経営ができないと大変なことになるので、そういうデータをお示しさせていただいて、2025年、本当は2025年だけではなくてその後の2040年が高齢化のピークになって人口が減ってきますので、そこに向かって、必要な病床数でちゃんと医療機関の採算が合うようにしていただきたいという思いの中で今、計画を作っていただいています。
 今日明日減らすという話ではございませんから、そのような意味では、今回のコロナのこともございますので、それも含めてどのような地域医療構想を作っていただければ良いか、再度お諮りさせていただいておりますので、それぞれのところで必要な病床をそれぞれのエリア、地域医療構想をやっているのは二次医療圏が多いですけれども、そこでお考えいただければ結構だと思います。
 ただ、あまり増やしすぎますと、将来経営ができなくなりますから、そこに医療人材をつけて病床を確保しなければならないということになるからですが、そこはやはりそれぞれ人口の丈に合った病床というものを将来に向かってしっかりと計画をお作りいただきたいということであります。コロナに対してはしっかりと病床を確保していく必要があると現在は思っております。
記者:
長期の計画、平時での病院での採算や維持について計画が行われているということは分かりました。これが現在の病床数が足りないということに繋がって、以前からのこの流れが繋がっているということはないでしょうか。
大臣:
病床が足らないとか足りるとかではなくて、今の感染がこういうような状況で病床のご協力をいただいております。よく言われる議論ですが、欧米では日本の10倍以上も感染者がいても対応できるのに、日本ではこのような少ない感染者の状況で、病床は海外よりも人口当たりでたくさんあって、看護師は10万人あたりほとんど欧米と変わらないし、医師も若干少ないとはいえ極端に少ないわけではない、そのような状況でなぜ診られないのかと言われる方がいらっしゃいます。
 しかし、実際ヨーロッパで感染が本当に爆発したところは、医療が崩壊に近いくらいの状況になっています。つまり、一般医療を止めていたり、コロナの患者の方々も十分に診られていなかったりという状況で、そこで多くの方々が命を落とされるという状況になっています。
 日本は、本当に国民の皆様のご協力をいただいて、感染が増えたといっても、欧米の爆発しているところに比べれば数十分の一という状況で抑えています。
 感染の増加をある程度のところで止めているという国民の皆様方の協力がありますから、今も一般医療とコロナの医療、若干一般医療が厳しくなりつつありますけれども、それでもちゃんと動いているというのは、それは国民の皆様方のご協力と、医療機関の皆様方の絶え間ないお力添えがあるからだと心から感謝をしております。
記者:
医療従事者のワクチン接種について伺います。高齢者接種が始まった一方で、接種を担う医療従事者のワクチン接種が十分に受けられていないのではないかという声が現場からは上がっています。こういう声や現状をどのように厚労大臣として受け止め、どのように対応していくかお考えをお願いいたします。
大臣:
ワクチンの接種を担っている医療従事者の方が、自らはワクチンを接種していない、本当に大変な現場でいろいろ矛盾しているのではないかというお声をいただいていることは承知をいたしております。
 これに関しては、やはりワクチン接種を担う医療機関の関係者の方々は、やはりワクチンを接種してから高齢者に接種していただければ、これは自治体のご判断で高齢者用のワクチンを接種者に対して接種いただけるようにということで、以前からお話をさせていただいております。是非とも十分な対応をいただく中において、今のようなことがなるべく起こらないように対応していただければありがたいと思います。
記者:
緊急時のワクチン・治療薬使用制度についてお伺いします。先日から、緊急時の対応として未承認ワクチン、治療薬を一時的に使用できる制度の検討に入ったと思いますが、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
緊急使用ということでしょうか。特例承認ではなく。
記者:
治験を経ずに。
大臣:
それは決めていませんが、一部報道で私も見ましたが、アメリカで緊急使用のような形で許可を取って、ワクチンでありますとか医薬品等、コロナ治療薬を使っているというようなことに対して、日本も同じようなことができないかという話だったと思います。
 私が報道で見たのは、海外で承認されているものであれば、国内治験をしなくてもそのまま使用するのを認めても良いのではないか、そういう論調であったと思います。
 しかし、国民の皆様方に安心といいますか信頼をいただいて、ワクチンにしても治療薬にしても使ってもらわないと、そもそも使ってもらえるかどうか分からないわけですよね。
 よく言われるのが、日本の国民の民族差といいますか、そういうものと欧米の方々の民族差というもの、これはDNA等に若干の違いがありますから、同じワクチンや薬であったとしても、それに対しての反応の仕方が違うのではないかということで、国内治験というものを第Ⅲ相のように大規模にはやらなくても、第Ⅱ相のような形でやって、その状況を調べていくというのが今の状況です。
 いずれにいたしましても、国民の皆様方に信頼していただいて、ワクチンや医薬品を使っていただけるためには、どのようにしながら早く使用できるようにすればいいかということは、これは私も不断に見直しなどしていかなければならないと思っております。
 先ほど私が言ったような報道の趣旨であれば、それで本当に国民の皆様方の信頼を得られるかどうかということも踏まえながら、安全性・有効性を確認していかなければならないと思います。
 今言われたようなものをすぐに導入するかどうかではなく、私が申し上げた通り、なるべく早く安心・安全なものを供給できるような体制というものを組むためには、我々は常にいろいろな見直しをさせていただかなければならないと思っております。

(了)

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