令和3年4月23日

 4月23日(現地時間同日)、ベトナム社会主義共和国の首都ハノイにおいて、我が方、山田滝雄駐ベトナム社会主義共和国特命全権大使と先方チャン・ホン・ハー・ベトナム天然資源環境大臣(H.E. Tran Hong HA, Minister of Natural Resources and Environment of the Socialist Republic of Viet Nam)との間で、総額14億円を限度とする無償資金協力2件に関する書簡の交換が行われました。同無償資金協力案件の概要は、以下のとおりです。

  1. 中古海洋調査船1隻の供与及び同船舶の改修支援(無償資金協力「経済社会開発計画」、供与限度額9億円)
     近年ベトナム政府は、持続可能な海洋経済戦略を策定し、海洋環境や海洋資源の調査等の施策を進めていますが、海洋調査に適した調査船を保有しておらず十分な調査を実施できていない状況です。
     こうした状況を踏まえ、今般、中古海洋調査船1隻及び同船舶に必要な改修のための資金を供与することにより、べトナム海洋調査当局の能力の向上を促し、同国の海洋資源開発能力の強化を図り、それによって同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。また、今回の支援は、海洋に関するベトナムのガバナンス強化を通じて「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資するものです。
  2. 海洋プラスチックごみ調査分析機材供与(無償資金協力「経済社会開発計画」、供与限度額5億円)
     近年、世界的に陸上から海洋に流出したプラスチックごみに対する対策の必要性が叫ばれる中、ベトナム政府は、海洋プラスチックごみの管理に関する国家行動計画を策定し、2025年までの海洋プラスチックごみの50%削減に向け積極的に取り組んでいますが、天然資源環境省による調査・分析・評価に必要な機材の不足が課題となっています。
     こうした状況を踏まえ、今般、海洋プラスチックごみ調査分析機材を供与することにより、ベトナム関係機関の沿岸部・海洋におけるプラスチックごみ汚染の調査・分析・評価のための実施能力の向上及び体制の強化を図り、それによって同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
     また、今回の支援は、G20大阪サミットで共有された海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現及び「マリーン・イニシアティブ」に掲げる途上国の能力構築に資するものとなります。

 ベトナムは、面積32万9,241平方キロメートル(九州を除いた日本の面積とほぼ同じ)、人口9,646万人、1人当たり国民総所得(GNI)は2,540米ドル(2019年、世銀)。