(令和3年4月6日(火曜日)15時05分 於:本省会見室)

日中外相電話会談

【朝日新聞 安倍記者】昨日の日中外相会談についてお伺いしたいと思います。中国側の発表では、新疆ですとか香港の問題について、王毅(おう・き)外相は中国の内政に日本が干渉することに反対するという主張があったそうですけれども、具体的には、この内政干渉をめぐるやり取りというのは、どういったものだったのでしょうか。また大臣としては、どのように反論されたのでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日、6時から約1時間半、王毅国務委員との間で電話会談を行いました。予定した時間をかなりオーバーする形でありましたけれど、極めて率直で、中身のある会談だったと、そのように思っております。
 会談では、王毅国務委員との間で、日中両国が共に責任ある大国として、地域・国際社会に貢献していくことの重要性を確認し、来年の日中国交正常化50周年に向けて、幅広い分野で交流・対話が進むことへの期待が表明されたところであります。
 私(大臣)から、改めて中国海警によります尖閣領海への侵入、中国海警法、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区の人権状況について、深刻な懸念を伝達し、具体的な行動を強く求めたところであります。
 こういった外交上のやり取り、基本的に、日本側として、どういう話をしたかということを日本が発表して、中国側の立場については中国側の方で発表すると思っておりますけれど、中国として基本的な立場といいますか、考えを説明されたのだと思っておりますけれど、少なくともアラスカのような状態ではなかった、これは確かであります。
 また、私(大臣)の方から、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を改めて求めたところであります。
 更に、日中の経済関係、そして北朝鮮・ミャンマーを含みます国際情勢、新型コロナや気候変動等の国際社会の諸課題についても、率直な意見交換を行ったところであります。
 ミャンマー情勢については、国際的な連携が極めて重要であると、また北朝鮮について、拉致問題について、改めて王毅委員の方から、中国側としても協力したい、こういうお話もあったところでありますし、また気候変動についての日中間の協力も進めていきたいということで一致をいたしております。
 今回の電話会談は、以前から先方より提案がありまして、日程調整を行ってきた結果、昨日実施をするということに至ったものでありますけれども、これまでも申し上げているとおり、ハイレベルな機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張して、懸案を一つひとつ解決して、また中国側の具体的な行動を強く求めていくと、これが我が国の方針でありまして、これには変わりありません。

茂木大臣の海外出張に伴うワクチン接種予定

【テレビ東京 加藤記者】今日、加藤官房長官が記者会見の中で、閣僚の海外出張に際するワクチンの接種について聞かれた際に、接種が必要と思われる関係者に対しては、あらかじめコロナのワクチン接種を行うことを予定していると回答されました。
 これを受けて伺いますが、茂木大臣のですね。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、僕、ちょっと会見聞いてないんで、正確に言ってもらっていいですか。

【テレビ東京 加藤記者】はい、申し上げます。「接種が必要と思われる関係者に対しては、あらかじめコロナのワクチン接種を行うことを予定している。」、そのようにご回答されました。これを受けて私からお伺いいたしますが、茂木大臣の現状のワクチン接種のご予定について教えてください。

【茂木外務大臣】ゴールデンウィーク中、なかなか国会開会中ですと、時間を取って海外訪問するということはできませんので、海外訪問、現在調整中でありますが、万全なコロナ対策を講じる観点から、官房長官も述べていたような形で、今後ワクチンの接種を受けたいと思っております。受ける予定です。

オバマ政権の核政策

【東京新聞 上野記者】オバマ政権で検討されていた、核の「先制不使用宣言」についてお伺いします。米国政府の元高官がですね、本紙のインタビューに対して、日本の反対によって宣言を断念したということを証言しておりますが、こういったことが実際にあったのかどうか、事実関係についてお願いできますでしょうか。

【茂木外務大臣】日米の両国間では、日頃から日米安保・防衛協力に関する様々な事項について、緊密かつ幅広い意見交換を行っているところであります。核抑止政策についても、オバマ政権の時代を含めて、日米間で緊密な意思疎通を行ってきております。やり取りの詳細、まさに日本の安全保障に関わる問題でありますから、お答えを差し控えます。

【東京新聞 上野記者】関連でお伺いします。そうしますと、一般的にお伺いしますけれども、米国が核先制不使用宣言を検討するということについては、日本政府として、どのようにお考えで、どのようにご対応されるのか、ご見解をお伺いできますでしょうか。

【茂木外務大臣】恐らく米国の考える、または考えていた、検討していた、どういう言い方がいいか分かりませんが、核の先制不使用と、この宣言については、全く条件を付けないということはないのだと思います。
 あくまで一般論でありますけれども、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではないと。現時点で、当事国の意図に関してなんら検証の方途もない核の先制不使用の考え方に依存して、日本の安全保障に十全を期すことは困難だと、このように考えております。

ヨルダン情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて質問)
中東情勢についてお伺いいたします。ヨルダン情勢について、いくつかの動きが見られました。ヨルダン国王は、前皇太子に対して何らかの合意を取り付けたと承知しています。現在、事態は沈静化したようにみえます。本件についての日本の立場をお聞かせください。米国は、事態を注視しているとの声明を出しました。日本とヨルダンは非常に強固な友好関係を築いてきていますが、大臣のコメントをお聞かせください。

【茂木外務大臣】前皇太子及びその関係者に対します一連の措置をめぐる今後の動向を、引き続き注視をしていきます。
 ヨルダンは、我が国の戦略的なパートナーであるとともに、中東地域の安定を実現する上で重要な国であります。
 私(大臣)も、例えばイラク戦争のとき、2度バクダッドに入っておりますけれど、いずれもアンマン経由という形でありまして、そういった極めて中東の安定の上で重要な国でありまして、引き続きヨルダンとも緊密に連携・協力しながら、地域の平和と安定に向けて取り組んでいきたいと思っております。

ミャンマー情勢(国軍に対する制裁)

【朝日新聞 安倍記者】ミャンマー情勢についてお伺いできたらと思いますが、制裁の是非をめぐって、大臣は先週の衆院外交委員会で、「制裁をしてすぐに解決するということだったら簡単だ」という趣旨の発言をされておられました。現在の国軍に対しては、制裁という手段では、民主的な政治体制の回復にはつながらないという、こういったご認識ということでしょうか。

【茂木外務大臣】委員会において、この問題については、相当丁寧な説明をさせていただいたと思っております。何にしても、事態の沈静化を図っていかなければならない、そして民主的な体制を回復していかなければならない、こう思っております。
 そう考えたときに、制裁といっても、例えば国連安保理決議に基づく北朝鮮への全面的な制裁のような、あらゆる取引を規制する、こういった厳しいものから、そうでないものまで様々なものがあるわけでありまして、そういった中で、どういう働きかけであったりとか、言い方によっては、圧力というのかもしれませんが、それが最も効果的なのかと、これは先ほど言ったような、ミャンマーに対してどうあって欲しいかと、こういう観点から、何が効果的なのか、ということを考えることが、私は極めて重要だと思っております。その信念に変わりありません。