議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 総務委員長
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2021-03-09
公布年月日

要項または提出時法律案

 過疎地域は、食料、水及びエネルギーの安定的な供給、自然災害の発生の防止、生物の多様性の確保その他の自然環境の保全、多様な文化の継承、良好な景観の形成等の多面にわたる機能を有し、これらが発揮されることにより、国民の生活に豊かさと潤いを与え、国土の多様性を支えている。
 また、東京圏への人口の過度の集中により大規模な災害、感染症等による被害に関する危険の増大等の問題が深刻化している中、国土の均衡ある発展を図るため、過疎地域の担うべき役割は、一層重要なものとなっている。
 しかるに、過疎地域においては、人口の減少、少子高齢化の進展等他の地域と比較して厳しい社会経済情勢が長期にわたり継続しており、地域社会を担う人材の確保、地域経済の活性化、情報化、交通の機能の確保及び向上、医療提供体制の確保、教育環境の整備、集落の維持及び活性化、農地、森林等の適正な管理等が喫緊の課題となっている。
 このような状況に鑑み、近年における過疎地域への移住者の増加、革新的な技術の創出、情報通信技術を利用した働き方への取組といった過疎地域の課題の解決に資する動きを加速させ、これらの地域の自立に向けて、過疎地域における持続可能な地域社会の形成及び地域資源等を活用した地域活力の更なる向上が実現するよう、全力を挙げて取り組むことが極めて重要である。
 ここに、過疎地域の持続的発展に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。
第一 総則
 一 目的                                     (第一条関係)
   この法律は、人口の著しい減少等に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の持続的発展を支援し、もって人材の確保及び育成、雇用機会の拡充、住民福祉の向上、地域格差の是正並びに美しく風格ある国土の形成に寄与することを目的とすること。
 二 過疎地域                                   (第二条関係)
   昭和五十年から平成二十七年までの四十年間の人口減少率が一定以上等であり、かつ、平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が〇・五一以下であること等の要件を満たす市町村の区域を「過疎地域」とし、主務大臣は、当該市町村を公示するものとすること。
 三 特定期間合併市町村に係る一部過疎                       (第三条関係)
   特定期間合併市町村(平成十一年四月一日から令和三年三月三十一日までの間に、市町村の合併により設置された市町村等のうち過疎地域の市町村以外のものをいう。以下同じ。)であって、平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が〇・六四以下であること等の要件を満たすものについては、特定期間合併関係市町村(平成十一年三月三十一日に存在していた市町村であって、同年四月一日から令和三年三月三十一日までの間に市町村の合併によりその区域の全部又は一部が特定期間合併市町村の区域の一部となった市町村をいう。以下同じ。)の区域(平成十一年四月一日から令和三年三月三十一日までの間の市町村の合併の日の前日における市町村の区域をいう。以下「特定期間合併関係市町村の区域」という。)のうち、昭和五十年から平成二十七年までの四十年間の人口減少率が一定以上等である区域を過疎地域とみなして、この法律の規定を適用すること。
 四 過疎地域の持続的発展のための対策の目標                    (第四条関係)
   過疎地域の持続的発展のための対策は、一の目的を達成するため、地域における創意工夫を尊重し、多様な人材を確保すること等の目標に従って推進されなければならないこと。
 五 国の責務                                   (第五条関係)
   国は、一の目的を達成するため、四の目標として掲げる事項につき、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずるものとすること。
 六 都道府県の責務                                (第六条関係)
   都道府県は、一の目的を達成するため、四の目標として掲げる事項につき、一つの過疎地域の市町村の区域を超える広域にわたる施策、市町村相互間の連絡調整並びに人的及び技術的援助その他必要な援助を行うよう努めるものとすること。
第二 過疎地域持続的発展計画
 一 過疎地域持続的発展方針                            (第七条関係)
  1 都道府県は、当該都道府県における過疎地域の持続的発展を図るため、過疎地域の持続的発展に関する基本的な事項等について定める過疎地域持続的発展方針(以下単に「持続的発展方針」という。)を定めることができること。
  2 都道府県は、持続的発展方針を定めようとするときは、あらかじめ、主務大臣に協議し、その同意を得なければならないこと。
  3 都道府県は、持続的発展方針を定めたときは、これを公表するものとすること。
 二 過疎地域持続的発展市町村計画                         (第八条関係)
  1 過疎地域の市町村は、持続的発展方針に基づき、当該市町村の議会の議決を経て地域の持続的発展の基本的方針に関する事項、地域の持続的発展に関する目標等について定める過疎地域持続的発展市町村計画(以下単に「市町村計画」という。)を定めることができること。この場合において、当該市町村計画に定める事項のうち一定の事項については、あらかじめ都道府県に協議しなければならないこと。
  2 過疎地域の市町村は、市町村計画を定めたときは、直ちに、これを公表するとともに、主務大臣に提出しなければならないこと。
 三 過疎地域持続的発展都道府県計画                        (第九条関係)
  1 都道府県は、持続的発展方針に基づき、過疎地域の持続的発展を図るため、過疎地域の持続的発展の基本的方針に関する事項、過疎地域の持続的発展に関する目標等について定める過疎地域持続的発展都道府県計画(以下単に「都道府県計画」という。)を定めることができること。
  2 都道府県は、都道府県計画を定めたときは、これを公表するとともに、主務大臣に提出するものとすること。
第三 過疎地域の持続的発展の支援のための財政上の特別措置 
 一 国の負担又は補助の割合の特例等                 (第十二条及び第十三条関係)
  1 市町村計画に基づいて行う事業のうち、教育施設等に要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例を定めること。
  2 国は、市町村計画に基づいて行う小中学校の統合に伴う教職員住宅の建築事業について、その経費の十分の五・五を下回らない額の交付金が充当されるように交付金を算定するものとすること。
 二 過疎地域の持続的発展のための地方債                     (第十四条関係)
   過疎地域の市町村が市町村計画に基づいて行う地場産業に係る事業等を行う者に対する出資及び市町村道等の施設の整備並びに住民が将来にわたり安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図るため特別に必要と認められる事業として過疎地域の市町村が市町村計画に定めるものの実施に必要な経費については、地方債をもってその財源とすることができるものとし、その元利償還費の一部については、地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとすること。
第四 過疎地域の持続的発展の支援のためのその他の特別措置
   過疎地域の持続的発展の支援のためのその他の特別措置として、次に掲げる事項に関する措置を講ずること。
 一 基幹道路の整備                              (第十六条関係) 
 二 公共下水道の幹線管渠(きよ)等の整備                    (第十七条関係)
 三 高齢者の福祉の増進                       (第十八条及び第十九条関係)
 四 医療の確保                                 (第二十条関係)
 五 株式会社日本政策金融公庫等からの資金の貸付け               (第二十一条関係)
 六 沖縄振興開発金融公庫からの資金の貸付け                  (第二十二条関係)
 七 減価償却の特例                              (第二十三条関係)
 八 地方税の課税免除又は不均一課税に伴う措置                 (第二十四条関係)
第五 過疎地域の持続的発展の支援のための配慮
   過疎地域の持続的発展の支援のため、次に掲げる事項に関する配慮の規定を設けること。
 一 移住及び定住の促進、人材の育成並びに関係者間における緊密な連携及び協力の確保
                                        (第二十五条関係)
 二 農林水産業その他の産業の振興                       (第二十六条関係)
 三 中小企業者に対する情報の提供等                      (第二十七条関係)
 四 観光の振興及び交流の促進                         (第二十八条関係)
 五 就業の促進                                (第二十九条関係)
 六 情報の流通の円滑化等                            (第三十条関係)
 七 地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保                (第三十一条関係)
 八 生活環境の整備                              (第三十二条関係)
 九 保育サービス等を受けるための住民負担の軽減                (第三十三条関係)
 十 教育の充実                                (第三十四条関係)
 十一 地域文化の振興等                            (第三十五条関係)
 十二 再生可能エネルギーの利用の推進                     (第三十六条関係)
 十三 自然環境の保全及び再生                         (第三十七条関係)
 十四 農地法等による処分                           (第三十八条関係)
 十五 国有林野の活用                             (第三十九条関係)
 十六 規制の見直し                               (第四十条関係)
第六 雑則
 一 旧過疎自立促進地域の市町村に係る特例            (第四十一条及び第四十二条関係)
  1 旧過疎地域自立促進特別措置法(以下「旧過疎自立促進法」という。)の規定に基づく過疎地域をその区域とする市町村(以下「旧過疎自立促進地域の市町村」という。)であって、昭和三十五年から平成二十七年までの五十五年間の人口減少率が一定以上等であり、かつ、平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が〇・五一以下であること等の要件を満たす市町村の区域は、過疎地域とみなすこと。
  2 旧過疎自立促進地域の市町村のうち特定期間合併市町村であって、平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が〇・六四以下であること等の要件を満たすものについては、特定期間合併関係市町村の区域であって、特定期間合併関係市町村の人口に係る昭和三十五年から平成二十七年までの五十五年間の人口減少率が一定以上等である区域を過疎地域とみなして、この法律の規定を適用すること。
  3 令和三年三月三十一日において旧過疎自立促進法第三十三条第二項の規定の適用を受けていた市町村のうち特定期間合併市町村であって、平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が〇・六四以下であるもの等に係る同項の規定に基づく過疎地域であった区域については、2を準用すること。
  4 旧過疎自立促進地域の市町村のうち平成十一年四月一日から令和三年三月三十一日までの間に市町村の合併により設置された市町村等については、当該市町村の区域で主務省令で定める基準に該当するものを過疎地域とみなして、この法律の規定を適用すること。
 二 過疎地域の市町村以外の市町村の区域に対する適用              (第四十三条関係)
   この法律の規定は、一部を除き、令和二年の国勢調査の結果による人口の年齢別構成が公表された場合及び令和二年の国勢調査の次に行われる国勢調査の結果による人口の年齢別構成が公表された場合においては、この法律の規定の一部を読み替えて、過疎地域の市町村以外の市町村の区域についても適用すること。
 三 市町村の廃置分合等があった場合の特例                   (第四十四条関係)
  1 令和三年四月一日以後に行われた廃置分合又は境界変更により新たに設置され、又は境界が変更された市町村について、この法律の適用関係を規定すること。
  2 合併市町村(令和三年四月一日以後に市町村の合併により設置された市町村等をいい、過疎地域の市町村を除く。以下同じ。)のうち合併関係市町村(市町村の合併によりその区域の全部又は一部が合併市町村の区域の一部となった市町村をいう。以下同じ。)に過疎地域の市町村等が含まれるものについては、当該合併市町村の区域のうち当該市町村の合併が行われた日の前日において過疎地域であった区域を過疎地域とみなして、この法律の規定を適用すること。
 四 主務大臣等                                (第四十五条関係)
   この法律における主務大臣等について規定すること。
 五 政令への委任                               (第四十六条関係)
   この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めること。
第七 附則
 一 施行期日等                         (附則第一条及び附則第三条関係)
   この法律は、令和三年四月一日から施行し、令和十三年三月三十一日限り、その効力を失うこと。
 二 特定市町村等に対するこの法律の準用           (附則第五条から附則第八条まで関係)
  1 旧過疎自立促進地域の市町村のうち過疎地域の市町村以外のものであって、特定期間合併市町村に係る一部過疎に関する規定の適用を受ける区域を含まないもの(以下「特定市町村」という。)については、令和三年度から令和八年度までの間(特定市町村のうち平成二十九年度から令和元年度までの三箇年度平均の財政力指数が一定以下のもの(以下「特別特定市町村」という。)については、令和三年度から令和九年度までの間)に限り、第三の特別措置等を準用すること。
  2 旧過疎自立促進地域の市町村のうち過疎地域の市町村以外のものであって、特定期間合併市町村に係る一部過疎に関する規定の適用を受ける区域を含むものについては、当該規定の適用を受ける区域以外の区域を特定市町村の区域(一定の要件を満たす場合は特別特定市町村の区域)とみなして、1を適用すること。
  3 旧過疎自立促進法第三十三条第二項の規定の適用を受けていた市町村のうち過疎地域の市町村以外のものであって、同項の規定に基づく過疎地域であった区域について特定期間合併市町村に係る一部過疎に関する規定の適用を受ける区域以外の区域を含むものについては、旧過疎自立促進法第三十三条第二項の規定に基づく過疎地域であった区域のうち特定期間合併市町村に係る一部過疎に関する規定の適用を受ける区域以外の区域を特定市町村の区域(一定の要件を満たす場合は特別特定市町村の区域)とみなして、1を適用すること。
  4 合併市町村のうち合併関係市町村に特定市町村等が含まれるものについては、当該合併市町村の区域のうち当該市町村の合併が行われた日の前日において当該特定市町村等の区域であった区域を特定市町村の区域とみなして、1を適用すること。
  5 合併市町村のうち合併関係市町村に特別特定市町村等が含まれるものについては、当該合併市町村の区域のうち当該市町村の合併が行われた日の前日において当該特別特定市町村等の区域であった区域を特別特定市町村の区域とみなして、1を適用すること。
 三 関係法律の改正等                 (附則第九条から附則第二十四条まで関係)
   関係法律の改正その他所要の規定の整備を行うこと。