2021年1月15日(金曜日)
11時35分~11時55分
於:記者会見室

(冒頭発言)

おはようございます。

初めに、私から4点申し上げます。

2050年カーボンニュートラルを見据えたエネルギー政策

まず1点目、昨年10月に菅総理から示された2050年カーボンニュートラルを目指す方針を受けて、昨年末に14の重要分野と工程表から成るグリーン成長戦略を取りまとめました。2050年カーボンニュートラルを目指す上では、温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取組が何よりも重要であり、今から取組を加速していく必要があります。

現在、総合資源エネルギー調査会では、2050年カーボンニュートラルを目指す方針も踏まえて、エネルギー基本計画の見直しの議論を進めており、今後、2050年も見据えて2030年の目標や政策の在り方についても議論をしていくことになります。

そうした議論を、より充実したものにするために、既に議論が進んでいる非効率石炭火力のフェードアウトなどに加えて、主に以下の点について速やかに検討を着手するよう、事務方に指示をいたしました。

具体的には、電力・ガス小委員会、原子力小委員会、省エネ小委員会、資源燃料分科会、再エネ大量導入小委員会、持続可能な電力システム構築小委員会において、カーボンニュートラル目標と安定供給の両立に向けた電源投資促進のための電力市場の整備と次世代型・分散型ネットワーク構築の在り方。

2番目、脱炭素火力や原子力の持続的な利用システムの在り方。

3番目、カーボンフリー電力の価値が適切に評価される、需要家がアクセスできる環境整備や、2030年に向けた省エネの更なる取組、電化、水素化等を含めた需要側からの非化石化の在り方。

4番目が、水素供給やCCSと一体となった上流開発の在り方などのテーマについて議論を開始、加速化をいたします。

また、昨年7月から再エネ型の経済社会の構築に向けた検討を進めている再生可能エネルギーについては、カーボンニュートラル目標も踏まえてギアチェンジして議論の充実を図ってまいります。

これらの議論は、基本政策分科会において議論を集約し、エネルギー基本計画の見直しに反映をしてまいりたいと思います。

詳細につきましては、この後、事務方からブリーフィングをいたします。

卸電力市場価格

2点目、この冬の厳しい寒さと天候不順による電力需要の逼迫により、近似の電力スポット市場において最高価格が1キロワットアワー当たり200円を超える日が出てきております。

こうした中で安定的な電力取引の継続に向け、17日の電力供給分より措置を講ずることといたします。

具体的には、小売電気事業者の皆様が供給力不足を生じた際に送配電事業者に支払う清算金について、これまで一定のルールに基づいて電力スポット市場価格の上昇に応じて清算金額も上がる仕組みとなっていました。17日以降の電力供給分を対象に、この清算に上限価格を導入いたします。これは来年4月に予定をしていた需給逼迫時の清算金に係る制度的対応の一部を前倒しして実施するものであります。

今後とも電力スポット市場において、健全で安定的な取引が継続されていくよう、電力・ガス取引監視等委員会において監視を行うとともに、電力スポット市場の状況を踏まえた電力小売ビジネスへの影響についても注視をしてまいります。

また、市場価格高騰を受けて、市場連動型の料金メニューを契約している場合には、消費者へも影響が及び得ることから、今後の対応を検討してまいります。まずは、電力・ガス取引監視等委員会に相談窓口を設置し、消費者からの相談に応じられるようにしてまいります。

なお、足下の電力需給の状況は気温の上昇等により緩和しつつあるものの、今後、天候等によっては再び厳しい状況となる可能性もあります。皆様におかれましては、暖房の利用など普段どおりの生活を続けていただきつつ、電気の効率的な使用を続けていただきたいと思います。

詳細は、事務方からまた説明をさせます。

売上げが減少した中小企業に対する一時金

3点目、12日火曜日に大枠を発表させていただきました、売上げが減少した中小事業者に対する一時金について、追加でお知らせをいたします。

一昨日の菅総理の会見を踏まえて、飲食店に対する協力金において、緊急事態宣言の対象地域以外の地域であっても、感染状況がステージ4に近づきつつあると判断されること、基本的対処方針に挙げられている特定都道府県における4点の主な取組に準じた取組を行うこと、これらについて特措法担当大臣との協議において確認された場合には、協力金の上限を1日6万円とする措置を適用するものと承知をしております。

これを受けまして、一時金についても協力金と同様に、ステージ4に向けて感染が拡大している地域であって、今回の宣言の対象地域と同じ4点の主な取組を実施する等の要件を満たすことが確認された地域については、宣言の対象地域と同様に扱うことといたします。

持続化給付金

4点目、持続化給付金と家賃支援給付金の申請期限を2月15日まで延長をいたします。今回の緊急事態宣言の再発令の中で申請書類の準備が難しくなっておられる方もいらっしゃいます。このため、本日1月15日までとしていた申請期限について、簡単な理由を添えて1月末までにお申出をいただければ、更に2月15日までに書類の提出を認めることといたします。申請者の方々の事情に応じて柔軟に対応したいと考えておりますので、ぜひ積極的に御活用をいただければ、幸いです。

具体的な申出の方法の詳細については各事務局のホームページでお示ししており、SNSも活用して広報を開始しておりますので、そちらを御覧をいただきたいと思います。

私からは以上です。

(質疑応答)

電力需給

Q:今回の一連の電力需給の逼迫についてなんですが、今、卸のお話もありましたけれども、政府として見えてきた課題は何かということと、今後検証もする予定ということでよろしいでしょうか。

A:当然検証もしてまいります。

前にも申し上げたと思うんですけれども、自由化になって、そして卸電力市場もある。そういった中で、市場の中での価格が決定されることもあるんですけれども、そういったもののセーフティネットというか、消費者であったり、新電力会社であったり、そういったところに対するセーフティネット的な制度をつくらなくちゃならないという思いを持っておりまして、そういったことも含めて今回の措置となったということで、来年の4月の予定でしたけれども、上限の200円、キロワットアワー当たりの200円というものを、まずはこの1月(※)から行うという、前倒しで行うということにすることにいたしました。

持続化給付金・家賃支援給付金

Q:もう1点、持続化給付金と家賃支援給付金なんですが、延長という話もありましたけれども、原則としては本日終了という形にはなると思うんですが、大臣から見て、今回の政策の政策的な効果と、その総括を教えていただけたらと思うんですが。

A:1月15日までということですけれども、実際には2月15日まで締切りを延ばすということであります。なぜかといえば、この緊急事態宣言もあるということ、あと年末年始の休み等もあり必要書類がなかなかそろわない方も出てくるということ。さらに、また表への自粛ということもあって、先方さん、例えば必要書類が先方から頂くような場合には、そういったことも遅れる可能性があるということで、2月15日まで延ばさせていただくということであります。

その総括につきましては、昨日までに434万件の申請を受けました。そして、約405万件、金額にして5兆3,000億円をお届けしておりまして、家賃支援給付金においても約97万件の申請を受けて、約82万件、約7,300億円をお届けをいたしました。短期間でこれだけの現金をお届けできているという事実を皆様にもぜひ御理解をいただきたいと思います。

この制度を執行していく中でいろいろな御意見もいただきました、御批判もいただきました。都度そういったものを是正をしながら取り組んできたところでありますが、前例のないことであります。そして、前例のない規模でもあります。そういったことも含めて、こういったもの、事業者の事業の下支えに効果があったものと受け止めておりまして、かなりの率で申請者の方がこの支援、給付金を受領している、給付をされているということでありますから、課題があったことは当然こちらも認識をしておりますけれども、当初の、所期の目的は、ある程度果たせたのではないかなと思っております。

Q:持続化給付と家賃支援給付金の関係で、関連でお伺いいたします。

念のためなんですが、今回の申請期限の延長って、今回の事業自体は終了するという認識でいいでしょうか。

A:そういうことです。

Q:今回の自体は終了するということでよろしいですね。

A:はい。年度で終わるということです。予備費等を活用しておりますので、年度で終わるということに、この取組というのは年度で終わるということで。12月末までの申請の期限を1月15日から2月15日まで延ばすということでありますけれども、ここで。制度全体の延長ということではなくて、締切りの延長ということで御理解をいただきたいと思います。

Q:2点ありまして、1点目、持続化の関連なんですけれども、昨日、中企庁の御説明だと、2月15日まで提出が許されるのが12月の収入が減った事業者だと思うんですけれども、それに限らずに広く受け付けるということですか。

A:12月以前のものということ?

Q:はい、11月以前。

A:これは柔軟な運用をしてまいりたいと思っております。

一番最後は12月ということになって、12月の書類を1月15日までに出してほしいということで周知徹底をしてきたんですけれども、先ほど言ったような理由で、なかなかやっぱりその証憑が手元に来ないとか、申請ができないとかという事情がありますので、そういった形で1か月延ばす、延ばさせていただくということであります。

ですから、12月の分については慌てることなく、それまでに証憑を集めて、必要書類を集めて、申請をしていただければということであります。

Q:それ以前も柔軟に対応していく。

A:はい。できるだけ柔軟に対応していくということにはなっております。

週休3日

Q:もう1点、別件なんですけれども、自民党の一億総活躍本部で昨日、企業に週休3日も選べるように政府に働き掛けする試案がまとまりました。産業界と向き合う経産省として受け止めをお願いします。

A:これはまだ試案であると思っておりまして、まだ党の議論がまだされていないということだと承知をしております。一億総活躍本部において選択的週休3日制や兼業・副業といった多様な働き方の促進について議論がなされていると、全体的な議論がなされているという認識であります。

政府としてもリモートワークをはじめとして、多様な働き方の推進は重要な政策課題として取り組んでおりまして、こうした観点からも週休3日を選択できる環境を整えることも1つの選択肢になる可能性があるとは思っております。

他方で、労働法等の観点も含めて、制度面の論点もあると理解をしておりまして、また企業の規模によっても、なかなかそこは議論が難しいところもあろうかと思います。丁寧に議論されていくことが重要であると考えております。

半導体

Q:世界的な半導体の供給不足に伴って、自動車メーカー各社が減産の方針を打ち出しています。今のところ、どれくらいの期間になるかというところは不透明なところがあるんですけれども、その状況が長引けば、サプライヤー全体にも影響を及ぼす可能性、十分あります。

そうしたところを受けて大臣の現在の受け止めであるとか、今後の対応方針であるとか、お聞かせください。

A:半導体不足の状況というのは、常にリアルタイムで把握をしていかなければならない課題だと思っております。

コロナにおいて一時期生産がダウンしました。そして、半導体の生産というのもそういったものに合わせてきたと思います。そして、全世界各国において自動車の生産が復活をしてきた。そういった中での半導体の生産、数量不足ということが起きていると思います。

各自動車メーカー、そして半導体メーカーも含めて今対応をしているところでありまして、このまま続くというよりも、この問題をいかに解消していくかということで、それぞれの当事者、関係者が腐心をしているということであります。私どもはしっかりとした情報を得てまいりたいと思っております。

電力需給

Q:今回の電力需給の逼迫を受けて、やっぱり原発が必要だとか、あと容量市場というものが必要だという報道も出ていますけれども、大臣はそれについてはどう思われるかということ。

あと、こういったちょっと強い寒波が来たぐらいで電力が逼迫する状況ですと、昨夏表明された石炭火力のフェードアウトというのも相当簡単ではないように思うんです。そこについてはどうお考えですか。

A:資源が乏しくて周囲を海で囲まれた我が国にとっては、安全性、安定供給性、そして経済性、環境適合性の全てを満たす単一の完璧なエネルギー源がない足下の状況においては、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要であると思っております。

カーボンニュートラルの話のずっと手前までは、やっぱりベストミックス。その国、国においてのベストミックスというものがどう考えていくか。その国の資源の状況であるとか、また技術の状況であるとか、経済の状況であるとか、そういった中でベストミックスが議論をされてきたものだと思っております。

ただ、カーボンニュートラルということで世界的な潮流の中で、今度はその点も含めてベストミックスを考えていかなければならないということですから、こういった点も含めてどういった制度にしていくか。

しかも、2050年にカーボンニュートラル、ネットゼロという社会を目指していくためにどういうベストミックスがその時時でいいのかということも含めて、技術開発も含めて考えていかなければならないと思います。

現時点で駄目だから、ずっとできないということではありません。現時点で駄目なものは技術開発をする努力をすること。しかも、またどういった形でカバーができるかということですよね。これ寒波が来て、需要が増えました。そして、再生可能エネルギーは、残念ながら、こういう時には日が出ていないということで、豪雪の中で発電ができなかったり、発電効率が下がったりしている。さらに、LNGも世界中の需要というものが増えている。特にアジアの需要が増えているという中で、備蓄が可能なものではないということなんですね、石油のように。これは自然の蒸発というものがあって、蒸発損失と言われるように、かなりの量が蒸発をしてしまうということですから、ガス会社についても、電力会社についても、大体20日間から1か月の間で次のものを持ってくるということで、何か月分も、何年分も備蓄できるものではないということ。

そういった状況の中で、現時点でどこを、どういう弱点を補強していくかということが必要になると思います。

当然、私いつも申し上げていますように、原子力もその対応の一つだと思っております。そして、今ある中でいかに活用していくかということが重要なポイントだと思っておりまして、安定供給、そして経済性も含めた形でどうやっていくか。そして、安全性というものは、一番最初には原子力が来るわけでありますけれども、生活、我々の生活、そして産業の活動にも必要な、これは血流と言ってもいいぐらいのものが電気だと思っておりますので、そういったものも含めてしっかりと考えてまいりたいと思っております。

容量市場なんかも、その中でどう非常時に稼働する設備を整備するかという課題の中での1つの制度だと御理解をいただきたいと思います。

卸電力市場価格

Q:今の電力のことに関連して、市場価格の高騰に関連してなんですけれども、先ほどの冒頭の御発言を伺うと、経済産業省としては、例えば200円を超えるような価格急騰というのは、これは許容しないというようなお立場なんですか。

A:許容しないって、市場を許容しないということはあり得ません。市場ではそういうことでしょうけれども、その支払い価格を上限を決めていくということで、新電力の会社であるとか、あとは卸電力市場連動型の契約をしている消費者に対してどう手を差し伸べていくかということを考えているということであります。

(※)実際の発言は「この4月」でしたが事実関係に即して上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2021年1月20日