令和3年1月19日(火)

 今朝の閣議におきましては,法務省案件として,「福島復興再生特別措置法による不動産登記に関する政令」が閣議決定されました。

通常国会召集に関する質疑について

【記者】
 昨日,通常国会が召集されました。法務省として重要法案が複数控えているかと思いますが,今国会,どのように臨まれていくかお聞かせください。

【大臣】
 昨日,第204回国会が召集されました。
 法務省は,今国会において,5件の法案を提出する予定でございます。現在,その準備を進めているところであります。
 具体的には,裁判所職員定員法の一部改正法案,少年法等の一部改正法案,出入国管理及び難民認定法等の一部改正法案,民法等の一部改正法案,相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(仮称)の5件の提出を予定しているところであります。
 これらは,いずれも国民生活に直結する重要な法案であります。
 これらの法案が提出された場合には,その審議におきまして,各法案の必要性やその内容について,御理解をいただけるよう,積極的かつ丁寧に説明をしてまいる所存でございます。
 150日間の会期の中で,いずれの法案も成立させていただけるよう尽力してまいりたいと考えております。
 また,これらの立法課題以外にも,新型コロナウイルス感染症対策,多文化共生社会の定着,様々な困難を抱えた方々への取組の推進,法務行政のデジタル化,国際化の推進を始めといたしまして,様々な課題がございます。
 通常国会におきましては,こうした法務行政の諸課題や,それに対しての取組についても,しっかりと説明させていただきたいと考えております。
 それによりまして,国民の皆様から,法務行政への御理解と御協力をいただき,その信頼を得ることにつなげてまいりたいと考えております。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正案が今国会で提出されるということですが,今お話の中に,多文化共生社会の推進ですとか,コロナ感染症対策といったことが挙げられていました。これは,現在の入管の状況,それから特にこの入管法改正は長期収容の問題から始まっていますので,そういうことでいうと,今おっしゃっていた多文化共生の定着,例えば仮放免のことですとか在留特別許可のこと,それから国連の恣意的拘禁作業部会から日本政府に対して勧告が出ているわけですが,こういったことを含めて入管法改正ということを考えていらっしゃるのか,あるいは退去強制手続の厳格化という方向からこの議論は始まっていますが,そこに重点が置かれているのか,法案の内容のバランスについて,大臣の見解をお願いいたします。

【大臣】
 出入国在留管理行政に対しての課題ということでありますが,退去強制令書の発付を受けた外国人による送還忌避や,これに伴う収容長期化という問題が生じているところでございます。
 そのため,「収容・送還に関する専門部会」において検討していただきまして,昨年7月にその提言をまとめていただいたところでございます。
 現在,出入国在留管理庁におきましては,この提言等を踏まえ,入管法改正案を検討しているところでございまして,その方向性といたしましては,在留が認められない外国人を迅速に本国に送還するということのみならず,在留を認めるべき外国人を適切に保護する,直ちに送還することができないときに収容の長期化を防止するための措置を講じる,収容中の適正な処遇を実施するといったコンセプトの下で,様々な方策を組み合わせ,パッケージで問題を解決していこうとするものです。
 入管法改正法案につきましては,今国会に提出できるよう,現在,出入国在留管理庁で必要な検討を進めているところでございます。
 時期について申し上げることはできませんが,今のような流れの中で検討し,速やかに提出してまいりたいと思っております。

慰安婦問題に関する質疑について

【記者】
 先日の記者会見で,日本軍の慰安婦問題のソウル中央地裁判決について伺いましたが,改めて伺います。判決文や判決内容の報道資料も出ているようですが,それについて大臣は実際に読まれたのでしょうか,ということが1点。
 それからこの数日,日本政府の見解やメディア報道では,主権免除のことであるとか,判決が確定した場合の資産の差押え等に対する日本政府の姿勢について関心が集まっています。
 しかし,そもそもこの日本軍の慰安婦問題の裁判は,1990年代以降に,アジア諸国やオランダなどの被害者たちが,日本政府の真相究明と公式謝罪,被害者の人権救済のために日本で始めた裁判です。
 この20数年の間に,国際人権の観点から,単に日本政府を批判するというだけではなく,戦争や紛争下で繰り返されている性暴力被害ですとか,国家による女性への反人道的な人権侵害という視点があったので,この問題は国際社会で世代を超えて非常に関心を集めたということだと思いますし,そのことを踏まえた判決内容だと思います。
 1月23日が控訴期限であると報じられ,文在寅韓国大統領も外交上の協議を日本政府に対して求める発言もあったようですが,日本政府は国際人権という観点から何らかの応答が必要だと考えていらっしゃるのか,韓国だけではなく国際社会が注目していると思うのですが,法務大臣としてどのような御見解をお持ちなのかお願いいたします。

【大臣】
 ソウル中央地裁の判決内容につきましては,必要な報告を受けております。
 本件訴訟についてですが,国際法上の主権免除の原則から,日本国政府が韓国の裁判権に服することはなく,却下されなければならない。これが我が国政府の一貫した立場でございます。
 法務省といたしましても,政府の一員として,外務省と適切に連携・協力してまいりたいと考えております。

【記者】
 今おっしゃっていたのは,外務省から説明を受けたということなのでしょうか。それと国際法上とおっしゃいましたが,戦時下における性暴力被害ということで,やはり国際人権法上の関心も幅広く集めていると思うのですが,そこについての日本政府としての見解は,この判決を受けてということだけではないかもしれませんが,そこについてはきちっと対応されるお考えはあるのでしょうか。

【大臣】
 この判決の内容について,あらゆる視点の報告を受けているところであります。
 こうした問題に関わらずということでありますが,国際的に様々な議論があることにつきまして,私自身関心を寄せておりますので,そういうことを含めて,絶えずこうした課題については,報告を受けつつ,様々な視点,あるいは課題についても,把握すべく努力しているということが今の状況でございます。
 先ほど来のお話の中で,本件訴訟についてということで御質問がございましたが,法務省としても,政府の一員として,外務省と適切に連携・協力してまいりたいと考えております。

(以上)