令和2年12月15日

 12月14日、世界貿易機関(WTO)での電子商取引に関する交渉会合(有志国会合)に関して、共同議長国である我が国、豪州及びシンガポールは、WTOのウェブサイト上でこれまでの共同議長報告を発表しました。

  1. 同交渉は、本年2月のジュネーブにおける会合以降、コロナ禍により一時中断を余儀なくされましたが、バーチャル形式の会合も活用し、2021年に開催予定の第12回WTO閣僚会議(MC12)までに実質的進捗を達成することを目指し、継続的に協議を行ってきています。同共同議長報告の主なポイントは以下のとおりです。
  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、デジタル・トランスフォーメーションを加速させ、オンライン上の活動の急増をもたらした。電子商取引は世界経済の回復のために不可欠であり、本イニシアティブは、WTOがこの喫緊の必要性に応えるための機会をもたらしている。
  • 本イニシアティブへの参加国は86WTO加盟国にまで増加し、参加国は合計して世界貿易の90パーセント以上を占め、また、全ての主要な地域及び発展段階を代表している。
  • 本イニシアティブの参加国は、2020年中、ビジネス及び消費者にとり意義のある便益をもたらすWTOプラスの成果を達成するとの目的に沿った形で、円滑化、自由化、信頼性、横断的事項、電気通信、市場アクセス、適用範囲及び一般的規定の各分野に関して広範かつ建設的な議論を行い、交渉の次段階への基礎となる統合交渉テキストが作成された。
  • 主要な進展として、電子署名及び電子認証、ペーパーレス貿易、電子的な送信に対する関税、開かれた政府のデータ、開かれたインターネット・アクセス、消費者保護、迷惑メール、ソースコード等に関する少数国会合における良好な進捗が挙げられる。
  • データ流通を促進する規定は、高い水準かつ商業的に意義のある成果のための鍵であり、これらの議論は進行中で2021年前期に強化されていく。本年11月に日本及びシンガポールはデータ流通及び国内保存関連規定に関する情報共有のための会合を主催した。
  • 本イニシアティブは第12回WTO閣僚会議までに実質的進捗を達成すべく順調に進展しており、我々は更に相違を狭め、あり得る着地点を見出すため、今後作業を強化していく。
  1. 我が国は、昨年のG20大阪サミットの機会に「デジタル経済に関する大阪宣言」を発出し、デジタル経済、特にデータ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていく「大阪トラック」の立上げを宣言しました。その中心的な取組の一つがWTOにおける電子商取引のルール作りであり、我が国は、共同議長国として、豪州及びシンガポールと共に交渉を主導しています。
  2. 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、経済成長を持続させる上でのデジタル経済・変革・技術の役割を増大しており、電子商取引に関するグローバルな協力を一層進展させるインセンティブとなりうるものです。我が国は、MC12に向けて、経済界の意見も踏まえつつ、高い水準のルール作成を目指して、引き続き交渉を加速していきます。
  • 電子商取引共同イニシアティブ:共同議長国による共同議長報告( Co-convenors’ Update)(英文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く