2020年11月17日(火曜日)
9時52分~10時08分
於:記者会見室

冒頭発言

米中による輸出管理強化への対応

おはようございます。初めに、私から1点申し上げます。

米中の技術覇権争いが激化する中で、先月成立をいたしました中国の輸出管理法が12月1日から施行されます。
産業界からは、米中をはじめとする我が国の主要貿易相手国による輸出管理の強化について懸念の声が上がっていると承知をしております。経済産業省としては、引き続き中国輸出管理法の詳細などの把握に努めるとともに、積極的かつタイムリーに情報を発信してまいりたいと思っております。
その上で、本日は企業からの声を踏まえて、産業界に対して経済産業省としての考えを3点お伝えをしたいと思います。

第1に、企業各社において、海外市場におけるビジネスが阻害されることのないよう万全の備えをしていただきたい。具体的には輸出管理の状況を踏まえつつ、自社のサプライチェーンのリスクについて精緻に把握するとともに、必要に応じて規制当局に許可申請を行っていただきたいということ。

第2に、他国企業と同等の競争条件を確保することも重要であります。各国の輸出管理上求められている内容を超えて、過度に萎縮していただく必要は全くありません。

第3に、仮にサプライチェーンの分断が不当に求められるようなことがあれば、経済産業省は前面に立って支援をしてまいります。

こうしたことを今後の産業界との対話の中でお伝えするとともに、企業からの生の声をお聴きしてまいりたいと思っております。産業界からも積極的に情報を提供いただきたいと思います。
これらの取組や関係国との対話を通じて、日本企業の事業環境の維持・向上に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

Go To イベント、Go To 商店街

Q:Go To キャンペーンについてちょっとお伺いしたいんですが、コロナ感染者数が拡大して、第3波の懸念が高まる中で、Go To トラベルを継続すべきかどうかですとか、Go To イート、人数制限をするという話もありますけれども、所管の商店街とイベントはまだ始まって間もないんですが、このやり方の見直し等が必要になるのかどうか、大臣の現時点での認識をちょっとお伺いできればと思います。

A:Go To イベントやGo To 商店街事業においては、基本的な感染拡大防止策として、業種別ガイドラインの徹底などを求めているところであります。これにより感染拡大防止と需要喚起の両立を図ろうとしておりまして、現時点で見直す考えはございません。
ただし、新型コロナウイルス感染症対策分科会では、医療提供体制に大きな支障が生じかねないステージⅢの感染状況と判断された場合、イベント開催の見直しを行うべき旨の提言をいただいているところであります。

両事業において、都道府県がそうした状況にあると判断した場合には、要請をいただく仕組みとして、要請があれば、当該都道府県で開催されるイベントを支援対象外とすることとしております。
引き続き都道府県と連携しながら、その都道府県の状況を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。

米中による輸出管理強化への対応

Q:すみません、あと今冒頭の輸出管理法ですね、中国のことについてお伺いしたいんですけれども、これ企業の懸念が高まっていて、中国側がまだ細目を発表していないので不透明だというところだと思うんですけれども、何か中国側に働き掛けたり申し入れたりという。

A:これは我々が知り得る情報であれば、しっかりと情報を得ていくということになると思いますし、今おっしゃったように、細目がまだ明らかじゃないということでして、こういった管理法が施行されるということで懸念が起きているということで、お互い注意深くやっていきましょうねという注意喚起であると思っております。

Go To イベント、Go To 商店街

Q:Go Toの関連なんですけれども、感染状況を注視するのが大前提だとは思うんですけれども、3次補正でGo To トラベルの延長なども取り沙汰されていますが、イベントや商店街の延長だったり、積増しみたいな部分はどうお考えでしょうか。

A:延長についてということですね。
Go To キャンペーンについては、関係する事業者、業界団体等から「キャンペーン期間を延長してほしい」という要望があることは承知をしております。経産省が担当しているGo To イベント・商店街のキャンペーン期間の延長については、今後の感染状況、予算の執行状況などを踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。まだ、私どもの担当のイベントと商店街は始まったばかりでありまして、商店街の方々は大変続けてほしいという要望があることも承知をしております。

Q:同じくGo Toの関係です。
Go To イベント・商店街それぞれに関して、現在最新の登録状況、どれぐらい数があるのかということと、それに対する大臣の評価、思ったよりも多いのか、少ないのかといったところを教えてください。

A:Go To イベントにつきましては、10月26日からイベント主催者の募集を開始をしております。11月13日時点で493者から申請をいただき、そのうち351者の登録が完了したところであります。
既に開催されているイベントは一部にとどまりますが、テーマパークや音楽、演劇など幅広いイベントについてチケット販売が開始をされていると承知をしております。

また、Go To 商店街事業につきましては10月2日から募集を開始しており、2回目の締切り、10月19日ですけれども、これまでに181件の申請をいただいて、そのうち169件の事業を採択しているところであります。
採択された商店街・イベントの事業は、全国各地で順次実施をされているところでありまして、引き続き感染症対策を徹底しながら事業を進めてまいりたいと思っております。

商店街については、皆さんがやはり感染拡大ということを物すごく気にされているということで、そのイベントが終わった後の捨てられたごみの処理なんかも含めて、十分に注意をしながら行っている例を聞いておりますし、そういった注意をしながら進めていくところを注視しながら今後の対応をしてまいりたいと思っております。

イベントにつきましても、人数の制限、また、クラシックコンサートのような静かな環境でできるものはフルに入ってもらっても結構だということですし、そういった文化面での役割というものも大変大きなものだと思っておりますので、こういったことも含めて対応をして、実情を見ながら対応をしてまいりたいと思っております。

放射性廃棄物最終処分場

Q: 最終処分場について1点お聞きします。
人口とか科学的特性マップなど物理的に見ると最終処分場がどこにできてくるかというのは限られてくると思うんですけれども、大臣は最終処分場について都市部ではなく、地方が引き受ける案件だとお考え、それとも都市部も含めて対象になるとお考えですか、そこについてお聞かせください。

A:これは特性マップで適地ということが出されておりますので、それは都市部であろうが、例えば地方の過疎地であろうが同じ条件だと思っております。ただ、そういったものも、東京や大阪といった電力消費地において最終処分事業について高い関心を持つことが重要と考えておりまして、そういったことも含めてここでの説明会というのも何回かされているということであります。

私は何度も申しますけれども、現実にもう発生している使用済燃料、これを処分することは国民全体の課題だと思っております。そういった中で理解を深めていく、そして事業を進めていくということだと思っております。

Q:都市部も含めてということでいいですね。

A:にも御理解をいただくということ。特性マップが全てだと思っております。

APEC

Q:APECの件なんですけれども、改めて今回の成果の大臣の評価をお願いできますか。

A:昨日、APEC閣僚会議が行われたわけでありますが、コロナ危機からの早期回復に向けて、自由で開かれた貿易・投資環境の維持、デジタル技術の利活用拡大と信頼あるデータの流通円滑化を含む閣僚声明に合意をいたしました。3年ぶりに閣僚声明が採択されたことは、大変大きな成果であると思っております。

コロナ禍の中でやはり皆さんの意識も高まっているということだと思いますし、共通の認識の中でそういったものを国と国が協力をしながら連携をして進めていくということ、大変重要なことだと思われますし、閣僚宣言というのは大変大きな意義があると思っております。

首脳会議では、閣僚会議での合意内容を踏まえた首脳声明を採択するとともに、2040年に向けたAPECビジョンを合意できるように、引き続き最終調整を進めてまいりたいと思っております。

女川原子力発電所

Q:女川原発2号機の再稼働の関連でお伺いしたいんですが、先週の記者会見の場で、「近く知事とお会いになって、正式に報告を受ける」という言及があったかと思うんですけれども、その後、日程なども含めて調整の方はいかがでしょうか。

A:先週お電話をいただきました。そして、「地元の理解に感謝をしたいということで、大変ありがたく思っております」ということで、あとは「東北電力の安全最優先でやっていただきたい」ということを皆さんにコメントしたと思いますけれども、近々おいでになるということは聞いておりますけれども、まだ今の時点で、いつということは確定しておりません。

米中による輸出管理強化への対応

Q:冒頭の中国の輸出管理法の関連で、今もって下位規則が明らかになっていないという中で12月1日施行という中国のやり方そのものについて、大臣はどういうふうに評価していますか。

A:まあ、本来であれば、こういうのは明確にした上で、予見可能性を持った上で投資を呼び入れるということが本来の筋だと思いますけれども、米中摩擦の中でどういった形になっていくのかということで、多くの企業が懸念を持っているということであります。
そういったもの、例えば中国であろうが、アメリカであろうが、私どもは日本の国の企業が交易、通商に障害を持つようであれば、それはしっかり経産省が前面に立って交渉していく、対応していくということになると思います。

RCEP

Q:先日日本も署名した東アジア地域包括的経済連携、RCEPについてお伺いします。
RCEP、最大の経済大国がコロナ禍をいち早く乗り越え、主要国で唯一プラス成長をしている中国でございます。世界最大の市場でもあります。

日本とオーストラリアがRCEPに入るということは中国包囲網のための安全保障上の枠組みである、安倍前総理が唱えられたセキュリティー・ダイヤモンド、あるいはクアッドの4か国ですね、米国、日本、オーストラリア、インドのうち、日本とオーストラリアの2か国が中国を中心とする巨大自由貿易圏に入るということになりまして、米国とインドは別の道を行くということになります。

一方で、日本と中国が経済的に接近し、他方で米国と中国が覇権をめぐる対立に引きずられる形で日本は米国に追従していくと。こういうふうに貿易圏と経済圏、経済的な圏域と安全保障の圏域がずれていくということについてどうお考えでございましょうか。もはや、中国、日中のデカップリング論というのはあり得ないのではないかというのが、ちょっと質問なんですけれども。

A:中国に引きずられるということはないと思っております。

中国が国際通商の、通商のルールで初めてのんだルールもあります。データの流通であるとか、投資のルールであるとか。そういったものが、もし守られなければ、日本とオーストラリアのみならず、ASEANの国々も、それは中国を、仮にですよ、仮にそういうことがあった場合には中国に対して抗議をすると思います。
ですから、これはルールベースの通商条約だということ。これらを守ることを大前提に署名をしているということであります。
そういったことで、私どもはこのルールを守るための最大限の努力をしていくということ。

インドに関しましては、昨年の11月まではRCEPに入るという前提で交渉をしておりましたけれども、国内事情により今の時点では入れないということであります。

ただ、インドが今後手を挙げれば、いつでも入れるような閣僚の合意も、合意文書も作っておりますので、それはいつになっても、いつでもウエルカムですよという形で我々はまたインドに対して説得をしていくということでもあります。

あとインドの状況の改善のためのお手伝いをしていくということで、例えば経済環境が悪ければ、それが、環境が良くなるための努力ということですよね。例えばルールの整備であるとか、またインフラの整備であるとか、また産業競争力の強化であるとか、キャパビル、能力の向上であるとか、そういったものも15か国連携してしっかりお手伝いをしていきましょうということで閣僚の合意文書というものもできております。

米中による輸出管理強化への対応

A:冒頭に発言ありました中国の輸出管理の、輸出規制の関係なんですが、企業の方、生の声を聴いていくとおっしゃいましたけれども、12月1日以降、何かそういった場を設けるのか、業界団体を通じてヒアリングを強化していく、こういった、どう、困り事を集約していく。

A:これは個別にまたやっていくと思いますけれども、例えばアメリカの法令に対しても皆さんが懸念を持っていた時期もありました。これは国が働き掛けて、説明会、ウェブではありますけれども、企業を対象に説明会を開いていただいたということでありますから、そういうことも含めて個別の企業の懸念でも結構ですし、皆さんが、多くの方が持っておられる懸念を解消するための努力を、最善の努力をしていくということであります。

以上

最終更新日:2020年11月19日