(令和2年10月30日(金曜日)12時07分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)感染症危険情報及び危険情報

【茂木外務大臣】私(大臣)の方からの2点、まずは発表させていただきます。
一つは、感染症の危険情報等の引下げ・引上げについてであります。もう一点が、国際的な人の往来の再開についてでありますが、まず、感染症危険情報の引下げ・引上げ及び一般的な危険情報レベル、これの解除についてであります。
 新型コロナ、現在も、欧米や南アジアを始め、依然として感染が拡大している国・地域がありますが、その一方で感染状況が落ち着きつつある国・地域も出てきております。感染の状況、移動制限の緩和、ビジネスニーズ等、様々な要素を総合的に勘案して、お手元にあると思いますが、9か国・地域について、すでに発出している感染症危険情報を、現在のレベル3「渡航中止勧告」からレベル2の「不要不急の渡航はやめてください」に引き下げます。具体的には、オーストラリア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナムが引下げの対象となります。
一方で、ミャンマー及びヨルダンの2か国つきましては、今感染が急速に拡大している状況でありまして、こういった感染状況の悪化等の要素を総合的に勘案して、感染症危険情報をレベル2からレベル3に引き上げます。この結果、合計で世界152の国・地域がレベル3という形になります。
そして、在外邦人が出国困難となることを防ぐために、3月25日に全世界に対して一律に発出をしました、これは感染症危険情報とは異なる一般的な危険情報レベル2についても、行動制限緩和の動きが出てきているほか、国際線の定期便が徐々に再開していることを踏まえ、解除いたします。
なお、シリアやイラクなど、政治情勢や治安情勢などによって、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域に対して、これまでに個別に発出しております危険情報については、引き続き維持をいたします。

(2)国際的な人の往来の再開

【茂木外務大臣】もう一点、国際的な人の往来の再開についてでありますが、菅総理のベトナム訪問に際して、10月19日に行われた日ベトナム首脳会談において、両国との間で、自宅等待機期間中も限定的なビジネス活動を可能とする「ビジネストラック」を開始することで合意したわけであります。これを受けて、ベトナムとの調整を進めた結果、「ビジネストラック」、ベトナムとの間で11月1日から開始することにいたしました。ちなみにベトナムは、短期商用での来訪者が、昨年世界で9番目に多い国でありました。
「ビジネストラック」の開始はシンガポール、韓国に次いで3か国目となるわけであります。ベトナムを含め、すでに10か国・地域との間で開始をしている「レジデンストラック」、これで来訪する方も順次いいペースでといいますか、伸びてきておりますが、この「レジデンストラック」に加えて、今回の措置は、感染再拡大の防止と両立する形で、国際的な人の往来を部分的・段階的に再開していく上で、重要な一歩となると考えております。私(大臣)からは以上です。

感染症危険情報と水際措置

【NHK 山本記者】今発表ありました感染症危険情報と、あと水際措置として取っている入国拒否の関連で伺いたいんですけれども、今回レベル3に引き上げたミャンマー、ヨルダンについては入国拒否の対象に加えて、レベル2に引き下げた9か国・地域は、逆に入国拒否の対象から今後外れていくことになるという認識でしょうか。 
【茂木外務大臣】入国拒否の対象からは外れていきますが、その一方で、ビザ等の停止、これは残る形でありますから、実質的にはこういった「レジデンストラック」であったり「ビジネストラック」、これがなければ実質的には入国できない、こういう状況は続くことになります。

北方領土問題(日露間の諸合意)

【朝日新聞 佐藤記者】今の話題から変わってしまうんですけれども、日露交渉について伺いたいと思います。菅総理はですね、総理就任後のインタビューですとか、昨日の参院本会議で、56年宣言を基礎に交渉するとしたシンガポール合意に触れつつですね、これまでの両国間の諸合意を踏まえて交渉するというふうにも述べられています。
大臣も国会で度々触れられているとおりですね、この諸合意には、東京宣言とかそういったものが含まれているというふうに考えられるんですけれども、今回、菅総理が言及された過去の諸合意というのは、具体的に何を指すか確認させていただきたいということと、二島返還を盛り込んだ56年宣言に加えてですね、過去の諸合意にも菅総理、言及されているということで、今後の交渉姿勢に変化はないのかどうかということを、念のため確認をさせていただきたいと思います。 
【茂木外務大臣】交渉姿勢に変化はございません。そして、今までどおりの言い方は、私(大臣)の国会答弁もそうだと思いますが、国会で菅総理が述べられた諸合意、例えばシンガポールでの両首脳の合意の他に、2001年のイルクーツク声明であったりとか、1993年の東京宣言等々が含まれるということであります。その上で基本的には、この「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」、こういう合意の下で現在交渉は進めております。

大和堆周辺の中国漁船違法操業

【読売新聞 森山記者】大和堆について伺います。日本海の好漁場の大和堆で、中国漁船の違法操業が相次いでいる事態になっています。日本政府として、どう対応されていくかお聞かせください。 
【茂木外務大臣】水産庁、海上保安庁等々と連携をしながら、しっかりと対応していきたいと思っております。不測な事態が起こることがないように、日中間でも、しっかり意思疎通を続けていきたいと思います。

米大統領選

【NHK 山本記者】来週、投票が行われます米国の大統領選挙についてですけれども、今回、郵便投票のですね、利用者が大幅に増えたということで、当落の大勢がすぐに判明しないという可能性も指摘されていますけれども、日本政府としても、勝者への祝意を伝えるタイミングの検討などもあろうかと思いますが、そのあたりの見通しについてはどのようなお考えでしょうか。 
【茂木外務大臣】投票の方は11月3日に行われるわけでありますが、例えば郵便投票でいいますと、各州ごとにそのやり方も違っていまして、例えば、ペンシルバニア州は確か11月3日の消印があって、11月6日に着いたものまで有効とか、そういった個々の決まりがあるわけでありますが、いずれにしても、同盟国であります米国の大統領選挙の情勢、そして結果につきましては、高い関心を持って注視をしているところであります。
 ご案内のとおり、なかなか日本とは違う制度といいますか、全米各州単位での戦いとなってきて、基本的に各州の一般投票で最も多い票を集めた候補が、各州によって異なっております選挙人全てを獲得すると、「Winner-Takes-All」という形で、総取り方式で行われるわけでありまして、接戦州、よく言われているフロリダ29票、ペンシルバニア20票、ミシガン・イリノイ15票、ノースカロライナ15票、アリゾナ11票、そしてウィスコンシン10票、これがどうなっているかということが注目をされるのではないかなと思っておりまして、なかなか現段階でどう推移をしていくか、他にもいくつか接戦州があるようですから、そういったものを見ていかなければなりませんし、前回と比べて圧倒的に郵便投票が増えているのは確かでありまして、この郵便投票の開票作業等も含めると、時間がかかることが予想されますが、その状況を見ながら、適切に、勝者が決まりましたら、当然日本として祝意を送ることになると思います。

資産公開

【共同通信 中田記者】閣僚の資産公開についてお伺いいたします。本日ですね、閣僚ですとか、副大臣の方々の資産公開が行われますが、大臣、この資産公開制度の意義等についてのご所見を伺えますでしょうか。 
【茂木外務大臣】資産公開制度は、政治と行政への国民の信頼を確保することを目的とするものであると考えております。政治家として、国務大臣等の公職にある者として、その目的に沿って、適切に対応していきたいと思っております。