(令和2年10月27日(火曜日)11時21分 於:本省会見室)

核兵器禁止条約

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 日本が参加をしないとしている核兵器禁止条約についてお伺いします。これについての日本の立場を具体的にご説明ください。特に、中東地域では核兵器による現実の脅威が存在するところ、唯一の被爆国であり、核兵器廃絶において道徳的権限を有する日本は、どのようにそれらの国々を先導していけるでしょうか。日本は、核兵器廃絶に向けた動きをどのように活性化させることができるでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 おっしゃるように、我が国は核兵器の非人道性を知る唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しているわけであります。これは我が国の確固たる方針であります。核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴール。これは我が国も共有をしております。
 一方で、核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国を巻き込んで核軍縮を進めていくこと、これが不可欠になってくるわけでありますが、現状では米国を含みます核兵器国の支持が得られていない。更には、カナダ、ドイツなど、NATO諸国をはじめとする、多くの非核兵器国からの支持も得られていないのが現状であります。
 そして中東もそうでありますが、我が国を取り巻く安全保障環境と、一層の厳しさを増す中、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に現実的に、核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であると、このように考えております。

温室効果ガス削減目標

【日経新聞 加藤記者】昨日、菅総理が所信表明演説で、2050年の温暖化ガスの実質、排出実質ゼロを表明されましたが、先ほど、総理、グテーレス、国連のグテーレス事務総長にも、お電話でお伝えになられたようですけれども、国際社会の関心も高いテーマだと思いますが、外務省として、政府として、今後どのように国際社会に発信していくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日、総理が所信表明におきまして、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにして、脱炭素社会の実現を目指すことを、明確に宣言されたわけであります。これに対しまして、国際機関また各国から、これを歓迎する、評価する、こういう声が多く寄せられております。
 グテーレス事務総長、先方からの要請で、今日、菅総理とグテーレス事務総長の電話会談、行われたわけでありますが、グテーレス事務総長から、昨日の演説で示された果敢な決断、これを心から歓迎をし、高く評価をする、完全に支持する、日本のリーダーシップを心強く思い、感謝する旨の発言があったところであります。
 これ以外にも今般の声明につきましては、例えば昨年、COP25の議長でありましたチリ、そして来年、COP26の議長になります英国、そしてEU、チリ、更には中国等、各方面から歓迎の意が表明をされているところであります。
 我が国はCOP26に向けて、イノベーションを通じて、「環境と成長の好循環」を加速し、パリ協定が目指します脱炭素社会の実現のために、引き続き国際社会をリードしていく考えであります。
 今、コロナ禍の中で、例えば欧州も「グリーン・リカバリー」、こういった言葉も使っております。恐らく今後、日本としても潜在成長率を引き上げていく、この中で一つはDX(デジタルトランスフォーメーション)、そしてもう一つは、「グリーン・リカバリー」といいますか、この技術をどう活用していくか、このことも重要になってくると思いますし、まさにSDGsを実行していく上で、この地球環境問題、極めて大きい問題でありまして、日本としてもこういった国際的な取組をしっかりとリードしていきたいと、そんなふうに思っております。