令和2年9月4日

 9月4日(現地時間同日)、ケニア共和国の首都ナイロビにおいて、我が方、堀江良一駐ケニア日本国特命全権大使と先方ウクル・ヤタニ財務・計画長官(Hon. Ukur Yatani, Cabinet Secretary of the National Treasury and Planning)との間で、無償資金協力2件(保健・医療関連機材供与及び若手行政官育成、合計12億3,900万円)に関する書簡の交換が行われました。

1 無償資金協力「経済社会開発計画」(供与額:10億円)

(1)ケニアでは、新型コロナウイルスの感染者が増加しており、それに伴う医療従事者や医療器具の不足が深刻化しており、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、ケニアに対し、移動式X線撮影装置、小型救急車等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

(2)新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

(3)我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開くの実現を含むSDGs達成別ウィンドウで開くのための基盤づくりに役立つことを期待しています。

(4)我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、UHC拡大とアフリカ健康構想の推進を表明(PDF)別ウィンドウで開くしており、この協力は同表明を具現化するものです。

2 無償資金協力「人材育成奨学計画」(供与限度額:2億3,900万円)

 ケニアにおいては、各開発課題を取り扱う政府機関・関係省庁の行政能力の向上と、制度構築を担う行政官の人材育成が喫緊の課題となっています。本計画は、ケニアの若手行政官等が日本の大学院において学位(修士・博士)を取得することを支援し、我が国で学んだ人材が、帰国後に同国の開発課題の解決に取り組むことを通じて同国の経済発展に貢献すること、また、日・ケニア間の人的ネットワーク構築を通じて二国間関係の強化に寄与することが期待されます。
 我が国は、TICAD7において「質の高い教育の提供」を表明しており、この協力は同表明を具体化するものです。

[参考] ケニア共和国基礎データ
 ケニアの面積は約58万平方キロメートル(日本の約1.5倍)、人口は約5,139万人(2018年、世界銀行)、一人当たりの国民総所得(GNI)は1,620米ドル(2018年、世界銀行)。