令和2年9月1日

 8月31日(現地時間同日)、インドの首都ニューデリーにおいて、我が方鈴木哲駐インド日本国特命全権大使と先方C・S・モハパトラ財務省経済局次官補(Dr. C. S. Mohapatra, Additional Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で、同国における新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的として、500億円を限度とする円借款に関する交換公文の署名が行われました。

1 対象案件の概要

(1)インドにおいては、本年1月30日に同国初の新型コロナウイルス感染症の感染者が確認され、9月1日時点の総感染者数は約362万人(世界第3位)です。3月25日からインド全土を対象とする厳格なロックダウン政策が実施された後、6月以降経済活動は広範囲で再開しているものの、依然として感染者数、死者数ともに増加傾向が続いており、新型コロナウイルス危機対応及び社会・経済の回復が課題となっています。

(2)インド政府は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、モディ首相の下で、様々な保健セクターの改革を含めた各種対応を行っており、本円借款は、このような保健・医療分野におけるインド政府の緊急対応に必要な資金を供与するものです。この財政支援を通じて、インド政府自身が推進する保健・医療政策の実施を後押しし、その結果、現在インドで不足している集中治療室(ICU)や感染防止・管理機能を備えた病院の整備、都市部のみならず広範な農村部におけるデジタル技術を活用した遠隔医療の実施等が拡大されることが期待されます。また、ひいては、同国における感染拡大の抑制とともに、同国の社会・経済の回復と安定及び持続的発展に寄与することが期待されます。

(3)供与条件(「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」)

(ア) 金利 0.01%
(イ) 償還期間 15年(4年の据置期間を含む。)
(ウ) 調達条件 アンタイド

2 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大及びそれに伴う経済社会活動の停滞は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ本円借款を通じて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるアジア・大洋州などの途上国における経済活動の維持・活性化に貢献することは、日本を含む世界経済を下支えする観点からも重要です。

3 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化及び国際社会・経済の回復と安定及び持続的発展に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく途上国を支援していきます。

[参考]インド基礎データ
 インドは、面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍)、人口13億5,300万人(2018年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)2,010米ドル(2018年、世界銀行)。