令和2年8月27日

 8月27日(現地時間同日)、バングラデシュ人民共和国の首都ダッカにおいて、我が方、伊藤直樹駐バングラデシュ日本国特命全権大使と先方ファティマ・ヤスミン財務省経済関係局次官(Ms. Fatima Yasmin, Secretary, Economic Relations Division, Ministry of Finance)との間で、供与額5億円の初等教育の質の向上のための無償資金協力(「第四次初等教育開発計画」)に関する交換公文の署名が行われました。

1 バングラデシュ政府は、1990年の義務教育法制定、基礎教育の完全普及を目指す国際枠組みである「万人のための教育(Education for All)」に署名後、我が国を含むドナーの支援を得ながら初等教育の拡充に取り組んでいます。その結果、初等教育純就学率は1990年の約60.5%から2016年には約98.0%にまで向上した他、初等教育修了率、中退率等の数値も改善しており、特に量的側面で大きな進捗がありました。一方で、5年生で身につけておくべき水準の学力を有する児童の割合が、算数では10%、国語(ベンガル語)では23%に留まる(いずれも2015年)など、学習達成度等の質的側面では目立った改善が見られない状況にあり、カリキュラムと教科書の改訂、教員研修の実施能力強化等に対し早急な対応が必要とされています。

2 この協力は、バングラデシュ政府の教育プログラムである「第四次初等教育開発計画」に対する財政支援を通じ、同国の初等教育の質的改善を支援するものです。また、我が国が同国でこれまで実施してきている技術協力プロジェクト「小学校理数科教育強化計画プロジェクトフェーズ3」等と組み合わせることにより、支援の相乗効果を狙い、また、同国教育政策への我が国支援の確実な反映と普及・展開を目指します。この協力により、例えば3年生レベルの初等算数の学力に到達する児童の割合が、2016年時点の男子41%、女子40%、全体41%から、2022年には男子、女子、全体で数値が85%に向上する他、初等教育カリキュラム、教科書、教材がバングラデシュの児童の現状や学習課題を踏まえたものになること等が期待されます。

[参考]バングラデシュ人民共和国基礎データ
 バングラデシュ人民共和国は、面積約14.7万平方キロメートル(日本の約4割)、人口1億6,365万人(2018年、バングラデシュ統計局)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,750米ドル(2018年、世界銀行)。