令和2年8月23日

ラオス人民民主共和国に対する教育分野・公共交通分野の支援にかかる無償資金協力(2件)に関する書簡の交換及び医療関連機材支援の引渡式の実施

 8月23日(現地時間同日)、ラオス人民民主共和国の首都ビエンチャンにおいて、現地を訪問中の我が方茂木敏充外務大臣と先方サルムサイ・コンマシット外務大臣(H.E. Mr. Saleumxay KOMMASITH, Minister of Foreign Affairs of the Lao People’s Democratic Republic)との間で、ラオスに対する計2件の無償資金協力(合計24.12億円)に関する書簡の交換と、本年6月に交換公文を締結した無償資金協力「経済社会開発計画」で供与する医療関連機材の引渡式が行われました。

1 対象案件の概要(2件の無償資金協力について)

(1)教員養成校やその付属校の新築・建替や教育機材の整備にかかる支援(無償資金協力「教員養成校改善計画」【供与限度額:19.12億円】)
 ラオスでは、初等教育における教育の質の改善、中等教育における低い総就学率等の課題があります。また、ラオスでは、就学前・初等・中等教育の新規教員のうち約8割が全国8校の教員養成校で養成されていますが、こうした教員養成校や付属校の施設の多くは老朽化、施設・機材の不足といった課題を抱えています。
 本計画ではラオス全国8校の教員養成校において、養成校及び付属校の新築・建替及び教育用機材の整備を行うことにより、就学前・初中等教育の新規教員養成及び現職教員研修の環境の改善を図っていきます。この計画により、事業完成3年後の2026年においては、全ての教員養成校の付属校(計24校)がラオス教育省の標準基準を満たすことになると共に、その教室数も大幅に増加する予定です。本計画により、ラオスの基礎教育の質の改善、環境の整備、及び人材育成に寄与することが期待されます。

(2)ビエンチャン市内等を走る路線バス車両の供与にかかる支援(無償資金協力「経済社会開発計画」【供与額:5.00億円】)
 ラオスの首都ビエンチャンでは、ラオス総人口の10%以上に当たる約80万人が居住しており、近年の都市化と人口増に伴い、市内の交通量も増加し、朝と夕方のピーク時を中心に大規模な交通渋滞が発生しています。そのため、公共交通の更なる活用が必要とされており、特に公共バス(路線バス)の質・量両面の早期の改善が求められているところです。
 ビエンチャンの路線バスは、100%国営のビエンチャンバス公社によって担われており、我が国も長年この公共交通セクターへの協力を行ってきました。直近ではバス公社の会社経営改善・サービス改善及び公共バス交通に関する適切な公共交通政策と計画の策定にかかる技術支援の実施に加え、2016年には京都市が独自に供与した中古バスがビエンチャン市内の主要な路線バス網を走るなど、同市内の路線バスに対する日本の貢献は非常に大きいものとなっています。
 一方、ビエンチャン市内を走る路線バスの多くは老朽化が著しく、バス公社は耐用年数・走行可能距離を大幅に超過したバスを修理・維持管理しながら運行しており、長期の使用は望めないのが現状です。また、こうしたバス車両の老朽化は、運行バス台数の減少やサービスの質の低下などの問題も引き起こし、速やかな改善が求められているところです。
 このような状況を背景に、本計画は、ラオス政府に対し、路線バス車両等を供与するものです。この協力により、同市内交通の改善・強化を図り,社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

(3)なお、これら支援は、平成28年9月の「日・ラオス首脳会談」において安倍総理大臣から発表された「日ラオス開発共同計画」の三本柱のうち、二番目の「産業の多角化と競争力強化、そのための産業人材育成」(教員養成校改善計画)および三番目の「環境・文化保全に配慮した均衡のとれた都市・地方開発を通じた格差是正」(「経済社会開発計画」(路線バスの車両の供与))に位置づけられます。

2 上述の2件の無償資金協力に関する書簡の交換とあわせ、本年6月5日に交換公文を締結した無償資金協力「経済社開発計画」の一環で調達した医療関連資機材の引渡式が行われました。本計画は、ラオスに対し小型救急車や病棟用ベッド等をはじめとする保健・医療関連機材を供与するものであり、8月上旬にその第一陣としてシリンジポンプ等が現地に到着しました。我が国は引き続き本計画の医療関連資機材の調達をスムーズに行っていくとともに、今般の支援を含め、今後も国際社会と連携しながら新型コロナウイルス感染症対策に主導的かつ積極的に取り組んでいく考えです。

[参考]ラオス人民民主共和国基礎データ
 ラオスは、面積約24万平方キロメートル、人口約701万人(2018年、ラオス政府発表)、一人当たり国民総所得(GNI)は2,460ドル(2018年、世界銀行)。