(令和2年8月21日(金曜日)11時33分 於:パプアニューギニア)

[オンラインによる記者会見]

冒頭発言

【茂木外務大臣】こんにちは。パプアニューギニア、ポートモレスビーの空港から5分近くのホテルにおります。日本とは時差1時間であります。今回、我が国と歴史的に深い関係を有するパプアニューギニアを、昨年5月のマラペ政権発足後、日本の閣僚として初めて訪問いたしました。新型コロナウイルス感染症拡大以降、パプアニューギニアへの外国の閣僚による訪問は私が初めて、今回が初めてと聞いております。
 本日、マラペ首相との会談を行いました。また、昨晩には、マラペ首相が主催した夕食会に御招待いただき、様々な意見交換を行うことができました。太平洋島嶼国地域は、地政学的に、自由で開かれたインド太平洋の要となる地域であります。今回、その太平洋島嶼国地域随一の大国であるパプアニューギニアと強固な二国間関係を確認するとともに、地域における諸課題について議論できたことは、今後の太平洋島嶼国外交の推進、さらに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて極めて有意義であったと考えております。
 日本は、パプアニューギニアからLNGや海産物を始めとした資源を輸入しておりまして、経済的に深い関係を有しています。また、パプアニューギニアの安定と持続的な成長は地域の安定と繁栄にとって不可欠であります。しかしながら、パプアニューギニアは、感染者数は少ないものの、新型コロナの影響によりまして、経済的に大きな影響を受けており、こうした状況において、日本は、同志国と連携をしつつ、パプアニューギニアを今後も力強く支えていくことを伝達をいたしました。また、LNGを含む経済関係や遺骨収集等の幅広い分野での協力について議論を行ったところであります。
 こうした議論を基礎に、先程、マラペ首相と「日本とパプアニューギニアとの間の二国間関係の更なる促進のための意図表明文書」に署名をいたしました。同文書において、貿易・投資の促進に向けた両国の決意を確認したほか、インド太平洋地域の平和や繁栄に向け、法の支配に基づく、自由で開かれた海洋秩序の重要性を再確認いたしました。また、北朝鮮問題を含め、地域の平和や安定に向けた協力を確認したほか、パプアニューギニア政府から、拉致問題の早期解決に向けた支持についても表明をいただいたところであります。
 来年には、第9回太平洋・島サミット(PALM9)が三重県志摩市で開催される予定でありまして、私からマラペ首相に対して、同サミットへの出席をお願いいたしました。これに対し、マラペ首相から、是非参加したいとの返答を頂いたところであります。同サミットを見据えて、引き続き、パプアニューギニアと緊密に連携していくことも確認を取りました。
 今回の訪問において二回にわたってじっくりと意見交換を行い、マラペ首相との信頼関係を構築できたと考えておりまして、対面での外交の重要性を再認識したところであります。今後とも、パプアニューギニアをはじめとする、太平洋島嶼国との関係を発展、強化するべく、取り組んでいきたいと考えております。
 このポートモレスビーの空港、そして、空港から5分のですね、ホテルへの移動のみと、マラペ首相及び主要閣僚が、このホテルをですね、訪問して会談するという日程でありましたが、ポートモレスビー、快晴でありまして、赤道直下なんですが、日本よりも涼しい、こういう感じでありまして、成果文書の署名を含め、大変有意義な訪問になった、このように考えております。この後、今回二か国目の訪問先、カンボジアの方に向かう予定であります。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】南シナ海をめぐる情勢に関してなのですが、海洋進出を進める中国に関して、具体的なやりというのはあったのでしょうか。パプアニューギニアはかなり経済分野で中国への依存度が高い国だと思いますが、可能な範囲でどのようなやりとりがあったかお願いいたします。

【茂木外務大臣】パプアニューギニアは我が国と豪州を結ぶシーレーンとして重要な位置にもあるわけでありまして、マラペ首相とは両国が共に関心を寄せる様々な海洋の問題を含めてですね、地域情勢についても議論を行ったところでありまして、自分(大臣)からは、航行の自由、法の支配、力ではなく話し合いによる問題の平和的解決など、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向けた日本の基本的な考え方を説明し、マラペ首相からも、自由で開かれたインド太平洋の重要性についてですね、賛同を得たところであります。

【記者】コロナ対策の関係でお伺いなのですが、具体的にパプアニューギニアに対してどういったコロナ支援をしていくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】自分(大臣)からはですね、新型コロナの困難を乗り越えるべく国際社会と連携しながら、パプアニューギニアを力強く支えていくと、こういう考えを伝えまして、マラペ首相からは、これまでも日本には重要なパートナーとして様々な支援、協力をしてもらっていること、また、今回の状況においても日本の力強い支援、これに心から感謝するという言葉を頂いたところであります。具体的にはですね、本年6月に交換公文に署名をしました医療物資・機材物資を含めて、保健医療体制強化のための10億円以上の支援、そして新型コロナの影響を受けているPNG経済の早期回復、財政的にも厳しい状況にあるわけでありまして、そういった財政支援等、具体的な支援について議論させていただきまして、この後詳細な詰めを行っていくということにいたしました。

【記者】キリバスがソロモン諸島で台湾と断交して中国と国交を結ぶなど、南太平洋地域における中国の影響力が強まっていますが、こういった中国の動きについてはどういった意見交換がされたのか可能な範囲で教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】先ほど申し上げたようにですね、自由で開かれたインド・太平洋の実現、この実用性についてマラペ首相と議論し、意見の一致を見たところであります。会談の詳細について申し上げられませんが、この地域の平和と安定のために何が必要か、平和的に物事を解決していく、そして海洋の自由な航行であったり、様々な共通の価値観、こういったものをですね、この地域に広げていきたいです。PNG、この太平洋島嶼国地域においても大国であります。このPNGとの間でそういったことについてですね意見の一致をみた、これは大きなことであると思いますし、先ほど申し上げましたように来年にはですね、PALM9、これも予定されているところでありまして、このPALM9におきましては太平洋島嶼国との協力はもちろんではありますが、この地域が抱えている様々な課題についてもしっかり議論できればと、こんなふうに思っております。

【記者】意図表明文書にあるインド太平洋地域での法の支配や海洋秩序、あるいは全ての国が国際法を尊重することの重要性というくだりについてお尋ねしたいのですけれども、この部分は中国の東シナ海・南シナ海での活動を念頭においたものかということと、あと日本主導の自由で開かれたインド太平洋構想に対してPNGの連携を日本として期待しているのかという点をお尋ねしたいと思います。

【茂木外務大臣】まず、後者につきましてはですね、この自由で開かれたインド太平洋地域の実現につきましてですねマラペ首相からも賛同の意向、これは表明をされたところであります。そして、前者の部分でありますが田所さん(記者)の方からもありましたようにですね、全ての国に対して有効でありますからあらゆる国・地域が入ってくるとこのように考えております。