(令和2年8月13日(木曜日)14時40分 於:シンガポール)

[Teamsを使用したオンラインによる記者会見]

冒頭発言

【茂木外務大臣】それでは始めさせていただきます。
 先週の英国訪問以来、外務大臣として海外訪問を再開いたしましたがアジアではこのシンガポールが最初の訪問国となります。シンガポール側にとっても新型コロナウイルスの世界的拡大以降、最初の外国要人の受け入れということであります。ここで一度ホテルに入りますと部屋から出られない、こういった行動制限もありましたが、その分の成果もあったと思っております。
 まず、人の往来の再開については入国後、14日間の期間中でも行動範囲を限定した形でビジネス活動が可能となるビジネストラックと駐在員等を念頭においたレジデンストラックについて、後ほど共同プレス声明を配布いたしますが、9月の開始を目指すことで外相間で一致いたしました。合意をいたしました。
 また新型コロナの世界的拡大の局面展開にはワクチンの開発・普及が不可欠でありその公平なアクセスを確保するためのCOVAXファシリティが重要な取組であることについてバラクリシュナン外務大臣と一致をいたしました。日本として今後COVAXファシリティを通じた途上国支援・国際協力も進めていきたいと考えております。また、東シナ海・南シナ海情勢など地域情勢や二国間関係についても有意義な意見交換ができました。外相会談の後、リー・シェンロン首相を表敬し、人の往来の再開、コロナ対策での協力、地域情勢、さらに二国間関係の強化について意見交換を行ったところであります。以上です。

質疑応答

【記者】二点質問があります。一点目は人の往来の再開についてですけれども、これ確認なんですけれどもビジネストラックとレジデンストラック双方について9月1日の開始を目指すということでしょうか。
 
【茂木外務大臣】まずレジデンストラックについて、この後共同のプレス声明を配布致しますが、今文言の調整等を行っておりまして、日本語になってないのですけれども、ビジネストラックについてはearly Septemberですから、9月の初旬。そしてレジデンストラックについては、現段階では9月としております。今後詰めてですね、最終的な時期について決めたいと思います。
 
【記者】ありがとうございます。もう一点お願い致します。南シナ海情勢について有意義な意見交換ができたということなんですけれども、海洋進出を強めています中国についてですね、懸念ですとかそういったものを先方の大臣と共有するということは出来たのでしょうか。お願いします。
 
【茂木外務大臣】東シナ海及び南シナ海に関して私から、一方的な現状変更の試みに関して懸念を有している、こういう風にお話を申し上げました。先方の外相もですね、航行の自由の重要性を強調しておりまして、それ以上につきましては、外交上のやりとりでありますから控えさせて頂きたいと思います。
 
【記者】先程、ビジネストラックに9月初旬の開始を目指すというお話がありましたけれども、合意に向けてまだ何か交渉で、その課題が残っている点があれば教えていただければと思います。
 
【茂木外務大臣】課題って言うほどじゃないんですけど、じゃあ具体的にearly Septemberのいつから始めるかとかですね、さらに言いますと細かい事務的な詰めというのが当然あるわけですけれど、基本的に課題というものではありません。
 
【記者】内容的には基本的に完全に合意しているという理解でよろしいでしょうか?
 
【茂木外務大臣】そのように理解していただいて結構だと思います。あとは事実確認と言いますか、細かいですね、相互にこれ行うものでありますから、お互いにちゃんとレシプローカリーになるような形に通していくということでですね、一つ一つ細かいところまで確認するということで、何か考えの隔たりがあるとか、どこかにですね、まだ詰めなきゃならいことがあるということではありません。
 
【記者】地域情勢の中で香港情勢に関してなんですけれども、先ごろ香港では民主派の象徴的な人物が多数逮捕されるという事案がありましたけれども、こうしたことを受けて、香港情勢について外相会談でやりとりというのはありましたでしょうか。
 
【茂木外務大臣】香港情勢につきましてのやりとりはさせていただきました。日本として昨今の香港情勢については重大な懸念を強めております。言論の自由や報道の自由は香港が一国二制度のもとに自由で開かれた体制を維持し、民主的、安定的に発展していくための重要な基礎となるものであります。今般のジミー・ライ(黎智英)氏及びアグネス・チョウ(周庭)氏を含みます10名の逮捕や、メディアへの立ち入り捜査を含む一連の事案は、香港における言論の自由や報道の自由に疑念を抱かせるものであります。香港情勢に対する我が国の懸念については、日中外相電話会談を含みます様々な機会に伝達をしておりまして、関係国、シンガポールを含めた関係国とも連携しつつ、引き続き適切に対応していきたい、そのように思っております。