令和2年8月7日

 8月6日(現地時間同日)、ガーナ共和国の首都アクラにおいて、我が方、姫野勉駐リベリア共和国日本国特命全権大使(ガーナにて兼轄)と先方ジュヌヴィエーヴ・A・ケネディ駐ガーナ・リベリア特命全権大使(H.E. Ms. Genevieve A. Kennedy, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the Republic of Liberia to the Republic of Ghana)との間で、総額3億5,000万円となる2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。対象案件の概要は、次のとおりです。

1 無償資金協力「食糧援助」(供与額2億5,000万円)

 リベリアでは、内戦後も灌漑及び排水施設、農道や作物の貯蔵設備などの農業インフラが依然として荒廃している影響から、農家の生産力が低く、コメ需要の大半を輸入に頼り、同国政府の財政を圧迫しています。同国は、Global Hunger Index 2019でも5段階中3番目に深刻な「Serious」のカテゴリー、117か国中112番目に位置づけられ、飢餓状況が続いています。
 この協力は、食料不足に直面している同国に対し、食料安全保障の改善、栄養状態の改善等を目的として、我が国の政府米(約3,400トン)による食糧援助を実施するものです。
 我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、「強靱かつ持続可能な社会の構築への貢献」を表明しており、この協力は同表明を具現化するものです。

2 無償資金協力「経済社会開発計画」(供与額1億円)

(1)リベリアにおいては、現在でも新型コロナウイルス感染者数が増加している状況です。また、同国は人間開発指標が世界189か国中176位(2019年)に留まる最貧国の一つであり、医療機材の不足等により、主要な保健指標が低位に留まっており、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、リベリアに対し、ICUベッド、保育器等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

(2)新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

(3)我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開くの実現を含むSDGs達成別ウィンドウで開くのための基盤づくりに役立つことを期待しています。

(4)我が国は2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、UHC拡大とアフリカ健康構想の推進を表明(PDF)別ウィンドウで開くしており、この協力は同表明を具現化するものです。

[参考]リベリア共和国基礎データ
 リベリア共和国の国土面積は約11.1万平方キロメートル(日本の約3分の1)、人口は約482万人(2018年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は約610米ドル(2018年、世界銀行)。