令和2年7月30日

 7月29日(現地時間同日)、世界貿易機関(WTO)紛争解決機関(DSB)は、インドによる情報通信技術(ICT)製品に対する関税引上げ措置について、我が国の要請を受け、WTO協定に基づき紛争処理小委員会(パネル)を設置しました。

1 我が国は、本件インドの関税引上げ措置は、「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」に違反する可能性があると考えています。

2 我が国は、本件がWTOのルールに従って適切に解決されるよう、今後の手続を進めていく予定です。

[参考1]本件の経緯と概要
 インドは、メイク・イン・インディア政策推進のため、2014年以降、輸入関税の引上げを実施。このうちICT製品に関しては、インドがWTO協定に基づき約束している関税率の上限を超える引上げを行っていることから、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に違反する可能性があり、令和元年5月10日、我が国はインドに対してWTO紛争解決手続に基づく二国間協議を要請し、同年5月23日に協議を実施。問題の解決に至らなかったため、令和2年3月19日にDSBにパネル設置を要請

[参考2]パネルの主な対象品目及び関税率

主な対象品目(インドのHS番号) 関税率
(1) フィーチャーフォン(HS85171219) 0%から20%に引上げ
(2) スマートフォン(HS85171211) 0%から20%に引上げ
(3) 携帯電話用基地局(HS85176100) 0%から20%に引上げ
(4) デジタルマイクロ波通信装置(HS85176290) 0%から20%に引上げ
(5) プリント回路基板アセンブリ(HS85177010) 0%から10%に引上げ
(5) スマートフォン用LCDモジュール(HS85177090) 0%から15%に引上げ

(注)いずれもインドのWTO譲許税率は0%。

[参考3]WTO紛争解決制度におけるパネル(小委員会)について
 他の加盟国による協定非整合的な措置によって不利益を被ったとする加盟国は、当事国間での協議を要請できる。協議を通じて60日以内に紛争が解決されない場合、パネルに紛争を付託し、問題とされる措置と協定との整合性について判断を求めることができる。