令和2年7月30日

 7月29日(現地時間同日)、セーシェル共和国の首都ビクトリアにおいて、我が方、冨永真在セーシェル日本国大使と先方マリー=ピエール・ロイド保健担当国務長官(H.E. Ms. Marie-Pierre Lloyd, Secretary of State for Health)との間で、供与額1億円の保健・医療関連機材のための無償資金協力(「経済社会開発計画」)に関する書簡の交換が行われました。

1 セーシェルは、観光業に大きく依存しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための国境措置等は、同国の経済に甚大な影響を与えています。また、小島嶼国であることから、周辺国からの人や物資の輸送に困難を伴い、新型コロナウイルス感染症が急激に拡大した場合には、医療従事者や医療機材の不足等により医療体制が崩壊するおそれもあります。コロナ禍が同国の社会経済にもたらす被害は大きく、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、セーシェルに対し、移動式X線撮影装置、小型救急車等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

2 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

3 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開くの実現を含むSDGs達成別ウィンドウで開くのための基盤づくりに役立つことを期待しています。

4 我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、UHC拡大とアフリカ健康構想の推進を表明(PDF)別ウィンドウで開くしており、この協力は同表明を具現化するものです。

[参考]セーシェル共和国基礎データ
 セーシェル共和国の面積は約460平方キロメートル(種子島とほぼ同じ大きさ)、人口は約9.7万人(2018年、世界銀行)、一人当たり国民総所得(GNI)は約15,600米ドル(2018年、世界銀行)。