令和2年7月22日

 7月21日(日本時間同日)、セルビア共和国の首都ベオグラードにおいて、我が方、丸山純一駐セルビア日本国特命全権大使と先方シニシャ・マーリ・セルビア財務大臣(H.E. Mr. Sinisa Mali, Minister of Finance of the Republic of Serbia)との間で、「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とセルビア共和国との間の条約」(日・セルビア租税条約)和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)の署名が行われました。

1 この条約は、両国間で生ずる二重課税を除去するため、両国において課税することができる所得の範囲を定める規定等を設けています。また、この条約の締結によって、両国の税務当局間において、この条約の規定に従っていない課税についての協議及び租税に関する情報交換の実施が可能となります。これらにより、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

2 この条約の主な内容は以下のとおりです。

(1)事業利得に対する課税
 事業利得については、企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ、進出先国において課税することができます。

(2)投資所得に対する課税
 投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ、又は課税が免除されます。

配当 5% (持分(注)保有割合25%以上・保有期間365日以上)
  10% (その他)
利子 免税 (政府受取等)
  10% (その他)
使用料 5% (著作権)
  10% (その他)
  • (注) 日本法人支払の場合は議決権、セルビア法人支払の場合は資本を指す。

(3)条約の特典の濫用防止
 条約の特典の濫用を防止するため、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については、条約の特典は認められません。

(4)相互協議手続
 条約の規定に従っていない課税は、両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。

(5)情報交換
 国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため、両国間における租税に関する情報交換に関する規定が導入されます。

3 この条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じ、次のものについて適用されることとなります。

(1)我が国においては

  • ア 課税年度に基づいて課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
  • イ 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税

(2)セルビアにおいては
 この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度において取得される所得に対する租税

(3)情報交換に関する規定は、対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず、この条約の効力発生の日から適用されます。