(令和2年7月17日(金曜日)11時51分 於:本省会見室)

日英間の経済パートナーシップ(茂木大臣の英国訪問)

【テレビ朝日 大石記者】英国との間での通商交渉についてお伺いします。二国間協定の来年1月1日の発効を目指して、7月末までの大筋合意を目指されているかと思うのですが、現在の交渉の進捗状況と、また一部報道にありましたが、最後は大臣が訪英されて、直接トラス大臣と対面で最終的な詰めの協議を行うお考えがあるのかお聞かせください。

【茂木外務大臣】日本と英国との間の円滑なビジネスの継続のためには、日EU・EPAに代わる新たな日英間の貿易投資の枠組み、経済パートナーシップ、こういったことを創ることが必要であると考えておりまして、英国のEU離脱後の移行期間、これが本年末に終了すると、こういったことを考えますと、そろそろ詰めの協議に入らなければならないかなと考えております。
 日米貿易協定の場合は、今年の1月1日に発効ということでありましたけれども、スケジュールを考えてみますと、私とライトハイザー通商代表との間で、最終的に合意したのは8月23日でありましたけれども、8月の上旬には、ほぼ合意できるところまで来ていたと。スケジュール的には、おそらく、そんなものも考えながらやっていかなきゃならないんだろうと思っております。その後様々な、相当な、おそらく創るとなるとページ数といいますか、分量になってくるとは思っております。
 ただ、今後、詰めの交渉を行うということでありますけれど、その詰めの交渉の日程であったりとか、どういった形でやるか、これは今、日本と英国との間で調整中であります。

日・UAEによる火星探査機の打ち上げ

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 現在、火星探査機「HOPE」の打ち上げに向けた準備が、三菱重工や、日本政府及びアラブ首長国連邦政府との協力によって進められています。これは火星探査や日本とアラブ諸国の協力という意味でも、大変重要な一歩であると考えます。これについて日本政府の立場はどのようなものでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 種子島の宇宙センターからのロケットの打ち上げ、私(大臣)も実際にその現場に行ったことがありますけれども、実際に現場で見ると本当に感動的でありまして、テレビドラマの「下町ロケット」でも、まさにあそこに出てくるのが帝国重工、このモデルになっているのは三菱重工でありますけれど、この三菱重工と佃製作所の協力関係、これがロケットの打ち上げによって、確認をされるというわけであります。
 我が国のH-2AロケットによりますUAEの火星探査機「HOPE」の打ち上げ、これはまさに我が国とUAEの強固な関係を象徴する重要な事業でありまして、天候不良等によりまして、打ち上げの日時が調整中であると承知をしておりますが、打ち上げが成功することを期待いたしております。
 我が国とUAEは、幅広い分野で協力を進めておりまして、両国の包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブに基づいて、宇宙分野含む様々な分野で協力を引き続き推進していきたいと、こんなふうに考えております。

日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議

【選挙ドットコム 牧野記者】先週可決されました、日本における子どもの連れ去りに関するEU議会決議について、前回、前々回とお答えいただいた内容を踏まえましてお伺いさせていただきます。
 決議では、ハーグ条約の対象となる事案だけでなく、日本国内のEU出身者と日本人との国際結婚間での子どもの連れ去り、面会の拒否についても、それが国連の児童の権利条約(CRC)に反すると問題視しています。
 このCRCの違反について日本側で対応がされない場合、日本・EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)の見直しも検討するという、決議の中で呼びかけています。これにつきまして、日本はCRCを遵守しているとお考えでしょうか。また今回のEU決議への対応次第では、SPA協定の影響も懸念されていますが、外交問題としてどのように対処されるご予定かお聞かせください。

【茂木外務大臣】ハーグ条約の対象とならない日本国内の事案につきまして、児童権利条約、誠実に遵守している、そのように考えております。詳細につきまして、この状況についてお聞きになられたいということでしたら、所管します法務省の方にお聞きいただければと、こんなふうに思うところであります。所管は法務省ですから。
 いずれにしても、日本としてハーグ条約、適切に履行しておりますし、また児童の権利条約についても誠実に遵守していると、このように考えております。

新型コロナウイルス(Go To キャンペーン、国際的な人の往来再開)

【NHK 渡辺記者】昨日、Go To キャンペーン、東京を除外するという形で発表がございましたけれども、今、日本は新型コロナウイルスの水際対策の一環として、各国とのビジネス関係者を中心に人の行き来を再開させていく方向で、緩和に向けた交渉を進めていると思いますけれども、そうした諸外国との交渉の中で、今回のこうした日本国内の状況というのは、どういった影響を持つと考えていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】Go To キャンペーンと人の往来の再開、同列には扱えない問題だと、このように考えております。もちろんGo To キャンペーンをどういった形で実施をしていくか、これは内閣官房であったり、また国土交通省において担当し、進めていくと、昨日もその旨の発表があったところであると、こんなふうに考えているところであります。
 国内の状況、国内経済というものを見てみると、今回、様々な形の自粛要請等によりまして、日本経済が大きく落ち込むという状況が生まれているところであります。
 だいたい底を打っている状態というのが、4月から5月ぐらいになるかと思いますけど、リーマンのとき、底を打つまでに、だいたいあのときでどれくらいかな、GDPが7.1%ぐらい落ちるということで35兆円ぐらい、今回、6.5%ですけれども、GDPが大きくなっていますから同じぐらいの規模のマイナス、これが出ているわけでありまして、もちろん感染の拡大防止、これを徹底すると。
 ただ、それと両立する形で、経済の再生を行っていくということは極めて重要だと思っておりまして、今回、課題になってきますのは、前回を見てみますと、リーマンショックのときは、先進国はマイナスでありましたけれど、新興国、途上国はプラスということでありまして、当時のIMFの世界経済見通しでも、世界経済全体ではマイナスの0.1%でした。今回はマイナスの4.9%という形でありまして、これは先進国だけではなくて、新興国、途上国におきましても、中国でこの問題が発生をし、今、感染の最前線といいますか、拡大をしているのがブラジルであったりインドであったりと、そういった国になってきている。こういったことを考えますと、かなり外需に頼って経済の回復を行っていくことは難しいわけでありまして、いかに国内の消費であったりとか、経済活動を取り戻していくかと。
 特に前回の場合の落ち込みはほぼ製造業でした、大半が。ところが今回は飲食であったりとか、宿泊であったりとか、イベントであったりとか、様々な業種にこういった影響が及んでいるわけでありまして、それを回復させていく、活性化させていくためにはGo To キャンペーンを含めた様々な取組というのは必要になってくる。
 ただ、これはご案内のとおり、Go To キャンペーンという名前のとおり、観光であったりとか、そういった一般の方々の旅行、これを支援する事業でありまして、今、人の往来の再開、これにつきましては累次申し上げているように、まずはビジネス関係者、この往来から始めると。国につきましても限定的にベトナム、タイ、そしてオーストラリア、ニュージーランド、この4か国を対象にする。そしてこれを人の面でも順次、将来的には留学生、更には最終的には観光客も含めた一般の方々に広げていくということになりますし、また国についても、感染の収束しつつある国から順次広げていくと、こういう方向は持っているわけであります。
 そういった意味におきまして、人の往来の再開のアプローチの仕方とGo To キャンペーンにつきましては、同列には語れない問題だと、このように思っております。

【NHK 渡辺記者】関連なんですけれども、私の質問がちょっと足りなかったのかもしれませんが、Go To キャンペーンそのものが一部こうした見直す形で行われることは、つまり日本国内の東京を中心とした状況が深刻であると、感染の状況が、ということが外国との交渉にどう影響するのかっていう点なんですけども、あとちょうど1か月、明日で1か月になりますが、政府として緩和していく方針、条件が満たされれば緩和していくという方針を示してからもう1か月になりますけれども、そうした意味で今後の見通しといいますか、Go To キャンペーンが一部見直されたということは、つまり、国内の状況が深刻だからだということだと思うんですけども、こういう状況というものが、感染の拡大の状況というものがどう影響するかっていう観点からですと、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】Go To キャンペーンに絡んでといいますか、それを含めて国内での感染状況がどうであるか、これにつきましては所管外ですから、お答えは控えたいと、こんなふうに思うところでありますけれど、世界の感染の状況、こういったものを見てみますと、今、1,300万人を超えると、こういう形でありまして、世界全体に広がり、そのスピードも拡大をしていると。感染者、感染確認者が10万人を超えると、ゼロから10万人を超えるのに67日かかりました。10万人から20万人になるのには11日かかりました。20万人から30万人になるのには、わずか4日というレベルであります。
 ところが今、4日間で100万人増えると、こういう状況でありまして、世界における感染の拡大というのは続いていると、こんなふうに考えておりまして、国によりましては何万人単位、こういった形で感染者の確認、これが続いている国もあるわけであります。それぞれの国において感染の収束に向けた取組を進めていると思いますし、日本としてもそういった対策の上で日本が協力できること、支援できることについてはやっていきたい、こんなふうに思っているところでありますが、そういった世界の感染状況を客観的に見たときに、今の日本の感染状況と比べてどうなのかということは、自ら答えというのは明らかではないかなと思います。

新型コロナウイルス(要人の往来)

【産経新聞 石鍋記者】要人往来についてお伺いいたします。大臣、新型コロナ以前は対面での外交を通じて、様々な諸外国と重要な交渉事をまとめられてきたと思います。一方、新型コロナが蔓延してからは、テレビ会議や電話会談、これを重ねてきているところだと思いますけれども、対面での会談とテレビ会議、電話会談、この差、交渉事において具体的にどういうような違いが出てくるか、ご所見があればお願いいたします。

【茂木外務大臣】これは様々な移動制限等々がある中で、必ずしもベストな方法を選べないというのは、日本だけではなくて世界各国に共通することだと思いますし、世界の首脳、外相にも共通していることだと思っております。そういった中でも、今、国際社会、様々なコロナの問題もありますけれども、それ以外の問題についても、緊密に連携したり協議するということが必要でありますから、電話会議であったりとか、またテレビ会議、こういった形で、これまでも意思疎通を図ってきておりまして、各国外相との電話会談だけでも60回近くになるんじゃないかなと思っているところであります。
 やってみると、10時間かけて行かなくていいということで、時間のセーブといいますか、節約になる部分があるのですが、なかなか難しい交渉、おそらく例えば日米の貿易協定をライトハイザー通商代表との間で、電話でできたか、というとできなかったと思います。正直に言いまして。機微に触れる問題であったりとか、場合によっては2日間、3日間にわたる、こういう交渉につきましては、まさに直接会って話をする、それも事務方も入れた状況で話をしたりとか、最後は本当に通訳もなしでテタテになって2人で詰めると、こういったことも必要になってくるというところでありまして、そういった意味では重要な局面においては、そういった対面での会議というのは必要になってくる交渉もあるなと、こんなふうに思っております。

日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議

【選挙ドットコム 牧野記者】先ほどの質問の続きなんですけれども、EU議会の決議について、EU議会のほうではCRCについて、日本は違反した状態であるというふうに指摘しているわけでして、それについて日本側としてCRCは遵守しているんだというふうに答える、問題は起きていないんだというふうに答えるっていうことは、法務省だけの問題ではないと思うんですけれども、それは法務省も含めて日本政府、官邸として了承した見解ということでよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】いえいえ、ですから、先ほど申し上げたのは、誠実に遵守していると、この内容について、あなたがもしこの点に問題があるんじゃないかとか、運用上あるということだったらば、それは所管は法務省ですから法務省にお聞きくださいと言ったわけでありまして、それを、この点こういう運用になってるけれどもこうですというのがあったら、法務省にお聞きいただかないとですね、この国内法、この実際の運用を行っているのは法務省でありますから、それは当然、法務省にお聞きいただくということになるということは、誰かが考えてもそういうことだと思います。

新型コロナウイルス(国際的な人の往来再開)

【NHK 渡辺記者】入国制限措置の緩和についてなんですけども、現在、ベトナムに続くタイなんですけれども、タイとの交渉の状況とか、実際に人の行き来ができるようになる見通しというのは、現時点でどう見てらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】順調に協議のほうは進んでおります。そう遠くない時期だと、そんなふうには思っておりますけれど、相手国もあることですし、詰めは行わなきゃならない。同時に両国の間で仮に合意を、スキームについて合意をしても、実際に行くという人が始まらないと、実際の往来にはならないわけでありまして、どんなタイミングで出ていく可能性があるかと、こういったこともにらみながら協議の方は急いでいきたいと、そんなふうに思っております。そんな先にはならないと思います。