令和2年7月20日

 7月20日(現地時間同日)、インドネシア共和国の首都ジャカルタにおいて、我が方、石井正文駐インドネシア日本国特命全権大使と先方デスラ・プルチャヤ・インドネシア共和国外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長(Dr. Desra Percaya, Director General for Asia-Pacific and African Affairs, Ministry of Foreign Affairs of the Republic of Indonesia)との間で、無償資金協力(保健・医療関連機材整備のための支援、20億円)及び同国における新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的として、500億円を限度とする円借款に関する交換公文の署名が行われました。

1 対象案件の概要
(1)保健・医療関連機材整備のための支援(無償資金協力「経済社会開発」)
  【供与額20億円】

 インドネシアにおいては、7月17日現在、累計感染者数81,668人、死者3,873人を記録し、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大しています。しかし、国内の医療関係のインフラ・関連機材等が十分でなく、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、インドネシアに対し、移動式X線撮影装置等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

(2)円借款「新型コロナウイルス感染症への積極的な対応及び支出支援プログラム・ローン」
  【供与限度額500億円】

(ア)インドネシアにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、新型コロナウイルス危機対応及び社会・経済の回復が課題となっています。本円借款は、インドネシアに対し、アジア開発銀行(ADB)との協調融資による財政支援を通じて、同国における感染拡大の抑制とともに、同国の社会・経済の回復と安定及び持続的発展に寄与することが期待されます。 本円借款を通じて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるアジア・大洋州などの途上国における経済活動の維持・活性化に貢献することは、日本を含む世界経済を下支えする観点からも重要です。

(イ)円借款案件の供与条件(新型コロナ危機対応緊急支援円借款)

(a) 金利 0.01%
(b) 償還期間 15年(4年の据置期間を含む。)
(c) 調達条件 アンタイド

2 新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大は、人の往来やモノがグローバルに流通している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとって大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への更なる感染輸入を予防・緩和する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

3 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化及び国際社会・経済の回復と安定及び持続的発展に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく途上国を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現を含むSDGs達成のための基盤づくりに役立つことを期待しています。

[参考]インドネシア共和国基礎データ
 インドネシアは、面積約192万平方キロメートル(日本の約5倍)、人口約2.68億人(2018年、世銀)であり、人口1人当たりのGNI(国民総所得)は4,050米ドル(2019年、世銀)。