(令和2年7月10日(金曜日)13時51分 於:本省会見室)

ビーガン米国務副長官の訪日

【NHK 渡辺記者】今日、大臣もビーガン国務副長官と直接会う形で会談されましたけれども、今回のこうした会談をきっかけに、今後、電話会談やテレビ会談に限らず、人と人が会って行っていく外交というのを、どういう形でこれから拡大していくのか、再開していくのか、その辺のお考えを聞かせてください。

【茂木外務大臣】今日午前中、ビーガン国務副長官の表敬を受けたところであります。
 コロナの拡大後は、各国の外相等と、60か国近くになりますけれど、電話会談、更にはテレビ会議をやってきて、それぞれ有意義だったと思っておりますが、率直に言って、今日対面でやって、対面はいいな、そんなふうに感じたところでありまして、もともと表敬は20分を予定しておりましたが、約1時間強、ビーガン国務副長官とお話をしまして、相当突っ込んだ議論、これを行うことができました。
 内容等につきましては貼り出しをご覧いただければと思いますが、外交活動、対面で実施することの意義、これを感じたところであります。

今後の要人往来

【日本経済新聞 加藤記者】今のご質問に関連するのですけれども、今回いろいろな感染症対策をとって会談されたと思うんですけれど、これが一つの基準というか、ベースになるのかという点と、訪問する、今後日本の高官が訪問するきっかけにもなっていくのかと、そこら辺のお考えをお尋ねします。

【茂木外務大臣】確かに日本にとっては、今回のビーガン国務副長官の訪日というのは、新型コロナの感染の拡大があってから、感染リスクを最小化するための特別な措置を講じた上で、要人が訪日する最初のケース、こういうことになったわけでありますが、欧米等の状況を見てみますと、最近はすでにこういった形での特別な要人の往来、一般的になりつつあると、こんなふうに考えております。すでにそういったことが、かなりの頻度で実施をされていると思っております。
 欧米等でどうやっているかということでありますが、出国前のPCR検査の実施であったりとか、専用機を使用した少人数での移動、短期間の滞在、そして訪問先での会談先・宿泊先の限定、公共交通機関の不使用、一般国民との接触の極力回避と。今回のビーガン副長官もそうでありましたが、こういった措置をとって、帰国時にもPCR検査等をきちんと行って健康観察を続けるといった、特別の措置をとることによって、まず相手国に到着したら、もちろんPCRで陰性が確認されたらということでありますが、すぐに会議を行うことができる。また帰国後も、PCR検査等で陰性が確認されたら、すぐに公務に復帰ができる、こういう取扱い、これが一般的になっていると、そのように考えております。
 このような要人の往来、毎日起こることじゃないわけです。毎日250人単位で来ると、そういう話ではありませんので、毎日起こるわけでもありませんし、また、多くの人数を伴うものでもないことから、通常の水際措置とは別途の枠組み、これで行われる要人の公務での外国訪問の際の対応として検討すべきものではないかな、そんなふうに考えております。

日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議

【ラジオ・フランス 西村記者】今週中にEU議会で、日本人の親による子ども連れ去り問題に対して決議が可決されました。日本の政府はどう受け止めますか。極めて深刻な問題になりまして、海外での日本のイメージは明らかに悪化しつつありますので、具体的に何か動きを考えていますか。

【茂木外務大臣】決議が採択されたことは承知をいたしております。その上で、ハーグ条約の対象となる事案と、対象にならない事案、これで分けて考える必要があると思っておりまして、日本政府はハーグ条約の対象とならない日本国内の事案については、他の国もそうだと思いますが、国内法制度に基づいて、国籍による区別なく、公平かつ公正に対応しております。
 また、ハーグ条約の対象となる事案については、同条約に基づき、EU加盟国の中央当局との協力を通じて、一貫して適切に対応してきております。決議にあります国際規約を遵守していない、この指摘は全く当たらないと考えております。

新型コロナウイルス(人の往来の再開)

【NHK 渡辺記者】新型コロナウイルスの水際対策の関係でお伺いします。先日、ベトナムとの間で特別な枠組みができまして、日本側から人が行きましたけれども、その後、ベトナム側の方からこっちに来るという動きはまだなかなか見えてないんですけども、ベトナムとの今後のですね、人の行き来というのは今現在どうなっているのかということと、それからタイの交渉状況ですね、そして更に、近隣諸国の台湾、韓国、中国といった国々との人の行き来の水際対策の緩和、そういった今の調整状況ですね、どうなってるかというのをちょっと教えてもらえますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、人の往来の再開につきましては、段階的に進めていく。地域につきましては、感染症が収束している、しつつある国から始める。また、人につきましては、ビジネス等必要な人材から始めて、順次、留学生、更には最終的には、観光客も含めた一般の方々に拡大していく、こういう方針の下で、まず、こういった措置の対象として、ベトナム、そして、タイ、オーストラリア、ニュージーランドと協議を始めるということで、先日、日本からベトナムに既にビジネス関係者の渡航をしているわけでありますが、今、特にベトナム、タイとの間では協議が進んでいると、こういう状況でありまして、具体的な人の往来というのはそれぞれのニーズといいますか、それによって起こってきますので、こちらから、いつビジネスマンが来ますということは申し上げる立場にありませんが、かなり、ベトナム、タイとの間では協議というのが進展を見ているという形であります。
 ご案内のとおり、オーストラリア、ニュージーランドと、若干最近になって、新たに感染が出たこと等もあったり、まずはオーストラリアとニュージーランドの間でどう国境を開けるか、こういう協議をやっておりますので、そういったものもにらみながら、更に調整をしていきたいと思っております。
 その上で先日来申し上げておりますが、こういった対象になる国については、順次、広げていきたいと考えておりまして、では、どの国が対象になるかと、まさにですね、それは感染症が収まっている、収まりつつある国でありまして、また、ビジネス等も含めて、そういった人の往来のニーズが高いと、こういう国が優先的になってくると思っております。
 来週早々にどうなるというものではないと思いますけれど、それほど時間をかけずに、第2弾の対象になるようなところを検討していきたいと思っています。

【NHK 渡辺記者】関連なんですけども、第2弾ということは、つまりそのある程度、第2弾と言えるだけのまとまった国という形で発表になるのかということと、あと昨日もそうなんですが、東京、特に感染者の数が200人を、220人を超えたりしていますけど、そういった日本側のその状況というものが交渉の中でですね、何かしらの影響、交渉が進みづらくなっている影響とかですね、及ぼしているということはあるんでしょうか。

【茂木外務大臣】第2弾と申し上げましたので、第2弾というものが、1か国とか1地域になることはないんだと思います、日本語として。それから東京で200人以上の感染が昨日確認されたということでありまして、私の立場から、この人数について多いであるとか、少ないであるとか、その警戒レベルがどうであると、こういうふうに申し上げる立場にありませんが、少なくとも今の日本の状況について、非常に落ち着いた状況にある、アンダー・コントロールである、これが一般的な国際社会の見方であって、これが変わっているとは思っておりません。

香港国家安全維持法

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 納谷記者】香港国家安全維持法に関連してお伺いします。この法が出たことで、在留の日本人、在香港の日本人の方、企業の方やメディアの方、様々いらっしゃると思いますけど、これの活動や自由は今後どうなっていくか、その安全ですとか、活動の自由は保護されているんでしょうか。それをお伺いしたいのと、もう1点。

【茂木外務大臣】もう1点あったら、あとにしてください。香港は我が国にとって、緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーでありまして、「一国二制度」の下に自由で開かれた体制が維持をされ、民主的、安定的に発展していくことが重要である、これが我が国の一貫した立場であります。現時点で、今般の法律に関連して、日本企業や在留邦人に何らかの被害が発生したとの報告、これを受けておりませんが、現在、香港の約2万6,000人の在留邦人、そして1,400社の企業が活動しておりまして、「一国二制度」の将来というものは、香港と密接な経済関係と人的交流を有する我が国にとっても、極めて重要であると考えております。
 こうした観点から、今般の法律をめぐる今後の影響、しっかり注視するとともに、香港における日本国民であったりとか日本企業等の活動や権利が、これまでと同様に尊重、保護者されるように、中国政府に対して引き続き求めていきたいと思います。

日中関係(習近平中国国家主席訪日)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 納谷記者】ご回答ありがとうございます。ちょっと、これに関連して、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の来日、国賓としての来日ですとか、それが中止の要請が、そういう動きがあると思いますが、今後の日本の対中国、日中外交・関係はどのように展開していくでしょうか、お考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】今まで何度もお答えしているとおりです。