(令和2年6月2日(火)  9:25~9:40)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭2件お話をさせていただきます。まず唾液を用いた PCR検査が本日から利用可能となります。唾液を用いたPCR検査を早急に実用化すべく、厚生労働科学研究における研究を進めてまいりましたが、発症から9日以内、お手元の資料のとおり、症例では、鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査と唾液によるPCR検査の結果に高い一致率が認められることが検証されました。このため、発症から9日以内の者について唾液PCR検査を認めることとし、本日、感染研の検体採取マニュアルの改定を行うとともに、既に承認されているPCR検査キットの一部の変更承認、保険適用を行うこととしております。
 今後、唾液を用いた検査で確定的診断がなされることによって、これまでの鼻咽頭をぬぐうということに比べ、患者の負担も、また検体採取機関の感染防御の負担も大幅に軽減されると考えております。また、あわせて濃厚接触者に対するPCR検査の見直しについて、先週5月29日に国内外の研究も踏まえ、退院基準の見直しをさせていただきましたが、それとともに、速やかに陽性者を発見する観点から、濃厚接触者について、これまでは発症した人ということでありましたが、無症状であってもPCR検査の対象とすることとし、都道府県に周知しています。また、検査体制について、PCR検査の分析能力は直近5月31日現在では1日約2万5800件となっています。5月13日に承認された抗原検査は、今月から月次78万件の供給がなされると聞いております。また、地域のPCR検査センターは6月1日現在で157箇所に増加しています。
 本日、自治体に対して検査体制の強化のための指針を発出をし、相談から検体採取、検査までの一連のプロセスを6月中旬までにそれぞれにおいて点検していただき、必要な対策を講じていただくよう依頼したところであります。検査体制の強化に向けて、各自治体と国が力を合わせて取り組んでいく必要があると思いますし、厚生労働省では第2次補正予算案に関連事業を盛り込んでおりますが、予算案成立後にこうしたものも活用して自治体における取組を強力に支援していきたいと考えております。

 それからもう1点ですが、雇用調整助成金のオンライン受付システムについては、スタート当初にトラブルがありストップをし、大変皆さまにご迷惑をおかけし ておりました。必要なシステム改修を行い、十分な再発防止策を講じた上で、今月 5日、従って今週金曜日12時からシステムを再開します。システムに不具合が生 じた原因については、初回登録時に登録者に対し、システム上で利用者を判別する ためのIDが付与されることになっていますが、複数の者が同じタイミングで登録 作業を行った場合に、複数の者に同一のIDが付与されてしまうという不具合が生 じた、それに伴うトラブルと聞いております。このため、付与するIDが重複しな いように仕組みを見直すと共に、登録段階でもIDが重複していないかを確認する 仕組みの改修も行い、このような問題が生じないよう再発防止に努めていきたいと 考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
2点お伺いします。先ほどお話のあった唾液のPCR検査の件ですが、具体的に現場でどのような使用方法をお考えなのかということについて、それから保険適用のお話がありましたが、これについていつ頃とお考えなのか、まず1問目お願いします。
大臣:
これはすでに現場においてまさに今日からしていただけるということで、プラスチック製の容器、既に医療機関では持っておられる物でありますが、そこに唾液を採っていただき、それを検体として分析機関に回していただければ分析ができると承知しています。保険適用は今日からとなります。
記者:
専門家会議の議事録の件についてお伺いします。菅官房長官は昨日の会見で速記録が保存されるとして今後担当部局やメンバーで対応を決めるという方針を示しています。議事概要以上に議事録を改めて作成する方針なのか、いつ頃を目処に結論を出されるのかお願いします。
大臣:
新型コロナウイルス感染症の専門家会議の事務局である内閣官房において適切に処理をされると承知していますが、5月29日の専門家会議で構成員の方から議事概要の在り方を一度検討しても良いのではないかというご意見があり、その点を含めて西村大臣と、脇田座長をはじめ先生方において相談がなされていると承知しております。
記者:
二点お伺いします。一点目は、北九州市で新型コロナウイルスの感染が拡大しておりますが、現在の状況は感染拡大注意都道府県の指定にあたるとお考えでしょうか。判断は都道府県知事ということは承知していますが、厚労省の評価や見解を教えてください。
大臣:
まず、北九州市では3週間以上にわたって陽性者がいませんでしたが、昨日、6月1日時点では113名の陽性者、このうち感染経路の追えない方は36名と承知しております。これはもちろん、積極的疫学調査の結果ということであります。これに対して、私どもとして、既に5月27日以降クラスター対策の専門家を2名現地へ派遣する、また、現地での病院や施設に対する支援、患者搬送の要請に対する支援等を行うためDMAT要員2名を6月1日に派遣いたしました。それから北九州市・福岡県と情報共有や現地での支援のため、厚生労働省職員を5月31日に1名派遣するとともに、本日、課長級職員を含む2名を追加で派遣し、北九州市と福岡県とともに、感染拡大防止の努力をしていきたいと思っております。
 ご指摘の感染拡大注意都道府県にあたるかどうかは、提言にもありますように、各都道府県において判断されるべき状況であります。ただ、いずれにしても現下の状況を踏まえて、厚労省として、先ほど申し上げた対応を逐次取らせていただいています。引き続き、北九州市・福岡県とよく連携を取って、この地域の感染拡大の抑止にともに努力をしていきたいと思います。
記者:
休業手当を受け取れていない中小企業の労働者を対象に、個人がハローワークに直接申請して給付を受け取れる制度の創設についてお伺いします。休業手当を支払わない企業がかえって増えることも考えられますが、安易な不払いを防ぐための対策があれば教えてください。
大臣:
まず、雇用維持の要となる雇用調整助成金が中心であり、最大限活用を図っていただきたい。そして、休業手当が支払える状況を維持していただきたいと思っております。昨日も、テレビ会議で経済団体の方とお話をして、そのことを重ねてお願いしたところであります。ただ一方で、事務処理体制や資金繰りの面から休業手当の支払いがままならない中小企業においては、休業手当の支払いもされないまま、苦しい状況に置かれている労働者・働き手の方もいらっしゃいますので、そうした方を支援する必要があることから、今回特例として個別給付の仕組みを導入すべく今準備しているところであります。
 いずれにしても、労基法の26条、要するに使用者の責に帰すべき事由によって労働者を休業させた場合には、休業手当の支払義務は、新たな支援金が支払われても支払われなくても、これは当然生じているということで、それを履行していただかなければならないわけです。そうしたことも含めて、先ほど申し上げた雇用調整助成金を活用して、休業手当をしっかり払っていただけるように、重ねて我々から働きかけをしていきたいと思っております。
 なお、労働基準法上の休業手当の支払義務に違反するかどうかは、個々の事案ごとに判断することになりますが、違反が認められた場合には休業手当の支払を指導し、是正を図っていただくとともに、悪質な事業者に対しては書類送検を行うなど、厳しい対応をこれまでしてきたところであります。そうしたことも含めて、先ほど申し上げた雇用調整助成金の活用を通じた休業手当の支払い、これを各企業にお願いしていきたいと思っております。
記者:
先ほどの北九州市の感染状況についてお伺いします。北九州市内で、クラスターが現在は3つの医療機関と特別養護老人ホーム、それと小学校の計5つ、5箇所で起きているという指摘があります。厚生労働省としてはいくつの発生と分析されているのか、そのあたりの詳細をお願いします。
大臣:
ご指摘のクラスターという言葉をどういうふうにお使いになるのか、ということなんだと思います。私どもが3月31日にクラスターマップを出させていただいたときには、クラスターは、現時点で、同一の場にいて、5人以上の感染者の接触歴が明らかとなっていることを目安として記載をしているところであります。したがって、今の段階でその目安に該当するかどうか、まだ都道府県でお調べになっていることなので、それはクラスターか、そうでないか、それを判断しうる状況にまだないと考えています。
 これから報告をいただく中で、クラスターであるかないか見えてくるんだろうと思います。ただ、クラスターという言葉自体、複数件あればクラスターと使われる方もあるように思いますが、私どもとしては先ほどのような目安で、これまでは都道府県・市町村と、お互い確認しながらクラスターの有無を判断しているということであります。  
記者:
雇用調整助成金についてお伺いします。企業から、持続化給付金に比べて、雇調金はやはり実際に振り込まれるまで時間がかかるというふうに聞きます。まず現状での最新の相談数、申請数、支給決定件数などをお教えください。
 あと、実際、手続の簡素化など、様々な対応をされていると思いますが、それによって支給までのスピードが速くなっているのかについて大臣のご所見をお伺いします。またオンラインがどれほど効果が見込まれるのかも併せてお願いします。
大臣:
まず最新の実績については、6月1日時点で、申請件数は84,395件、支給決定件数は40,884件。ちょっと日にちはずれますが、5月29日時点の支給決定額は、183億7千万円となっております。なお、相談件数、これは5月27日現在ですが、延べ41万3千件ということであります。
 今お話がありましたように、申請手続きの大幅な簡素化、社労士の方々にもご協力をいただいて、相談体制の強化を図ってまいりました。国会でも申請から給付までの期間を2週間を目標に取り組んでいくということを申し上げさせていただきました。5月中に支給決定されたものをサンプル調査したところでは、平均15日。これは暦日になっております。4月に行った調査結果では平均21日でありますから、相応の短縮が図れていると思いますが、昨日の申請件数は1日で1万件を超えてきている訳であります。先週が、雇用調整助成金と雇用保険の対象でない人を対象とする雇用安定助成金の両方足して、大体5千~7千件であったものが、ここにきて1万件ということであります。
 私どもしても相談員の逐次増加を図っておりますが、更にそのスピードを増やしていく、あるいは労働局他部門からの応援、これを更に図っていく、加えて、社会保険労務士の方々も、既に協力いただいておりますが、一層協力を拡大すること等を通じて、これから更に増えていくということを前提としながら、体制を組み、そして先ほど申し上げた、2週間以内に支給するということで更に努力をしていきたいと思います。
記者:
オンラインでどれほどの効果がでるとご認識でしょうか。
大臣:
どれほどの効果かはにわかに申し上げられませんが、申請の受付としてまた新たな窓口がこれによって整えられる訳ですので、そういった意味で申請における様々な対応がよりスムーズになることに資すると考えております。

(了)