(令和2年5月28日(木曜日)17時58分 於:本省大臣接見室前)

冒頭発言

【茂木外務大臣】全人代における香港に関する決議についてお話をしたいと思います。今般,全人代におきまして,香港に関する決議が,国際社会や香港市民が強く懸念する中なされたこと,および,それに関連する香港の情勢について,深く憂慮しております。
 香港は我が国にとって密接な経済関係,および人的交流を有する極めて重要なパートナーでありまして,「一国二制度」の下,自由で開かれた体制が維持され,民主的,安定的に発展していくことが重要である,これが我が国の一貫した方針であります。
 中国側には,このような我が国の考え方をこれまでも伝えてきておりまして,本日も自分(大臣)の指示の下にですね,秋葉次官が孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日中国大使を召致してこの旨伝えたところであります。
 引き続き状況を注視するとともに関係国と連携して適切に対応していきたい,このように考えております。同時に,日中両国と新型コロナウイルス感染症の拡大防止をはじめとする,地域・国際社会の課題に共に取り組むべき関係にあるわけでありまして,このような課題には共に取り組みつつ,主張すべきことはしっかりと主張していきたい,こんなふうに思っております。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】大臣から,一貫してこれまでお伝えになられている立場を今日もお伝えされたということですが,それに対して孔鉉佑大使からどのような返答があったのかという点と,一貫して日本として立場を伝えてきたけれども今日この全人代でこのような採択がされたということについて受け止めをお願いします。
【茂木外務大臣】まず1点目でありますが,秋葉次官と孔鉉佑大使のやりとりに関しまして,このあと貼り出しをさせていただきたいと思いますが,外交上のやりとりでありますので,あまり詳細についてはつまびらかにできない,このことはご理解いただければと思っております。そして香港のあり方について,これまでも繰り返しですね,中国側には働きかけ等々を行ってきておりますが,今回の事態ということにつきましては,冒頭申し上げたように,深く憂慮しております。

【記者】今,日中の間で習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓来日については延期という形になっていますが,その点について,今日の会談の中でお話がありましたでしょうか。
【茂木外務大臣】会談の中身につきまして先ほど申し上げた通りでありますが,まず日本にとっても中国にとっても,この新型コロナの1日も早い収束が最優先であると考えておりまして,その上で今後の外交日程については検討していくということになると考えておりまして,国際協調,こういったものは極めて,コロナ対策の上でも重要だと思っております。そして,日中間,様々な懸案,これもあるわけでありまして,ハイレベルな往来,そしてハイレベルの意見交換によりまして,一つ一つ課題を解決していくことが重要であると思っておりますし,現在において,国際社会が抱える様々な課題に対してですね,大国としての責任,日中ともに共有する,こういうことを再確認をしながら,様々な活動していくことが重要だと,こんなふうに思っております。

【記者】今日は抗議をしたわけではない,申入れをした,日本の立場を伝えたということでしょうか。
【茂木外務大臣】定義にもよりますけれど,大使を召致して,日本の立場を強く申し入れるということでありまして,それは日本として憂慮する事態がなければ,大使を呼ぶということはない,このように考えております。

【記者】もし差し支えなければ,先方からは,アメリカからの反発に対しては内政干渉だということを中国は言っているわけですけども,先方は秋葉次官の申し入れに対してどういった反応があったのでしょうか。
【茂木外務大臣】それも先ほど申し上げたようにですね,このあと貼り出しを出させていただきたいと思いますが,外交上のやりとりということでありまして,詳細について控えたい部分がありますが,日本としては,「一国二制度」の下で,自由な香港,これがしっかりと繁栄していくことが極めて重要だと思っております。

【記者】今回の会談で,尖閣諸島への中国公船の侵入というのが,何らか話題になったんでしょうか。
【茂木外務大臣】基本的には今日の,大使を呼んでの日本側の申し入れといいますか,議論っていうのは,この全人代におけます香港に関する決議についてであります。

【記者】今日の大使を召致した強い申し入れというのは,習主席の訪日には影響するとか,そういうことは大臣としてはお考えにならないのでしょうか。
【茂木外務大臣】習国家主席の国賓としての来日につきましては,先ほど幹事社の方から質問があってお答えしたとおりです。

【記者】影響は特にしないということで。
【茂木外務大臣】先ほどお答えしたとおりです。