(令和2年5月15日(金曜日)14時19分 於:本省会見室)

冒頭発言

国際線の運行停止等による邦人の出国・帰国

【茂木外務大臣】それではまず,邦人の出国・帰国の状況について簡単に報告いたします。
 これまでに出国・帰国された方の合計,約9,400名ということになります。
 引き続き,出国・帰国を希望されている方,30か国で約340名という形でありまして,どうしても日本に帰国しても,また海外にいらっしゃる方で,帰国を希望する方が増えるということで,こういう数字になっておりますが,この340名の方々のうち約210名の方は,一両日中に出国・帰国予定となってきているところであります。

新型コロナウイルス感染症(出入国規制緩和の可能性,「ファストトラック」)

【読売新聞 大藪記者】中国,韓国とのビジネス関係者の往来に関してお伺いいたします。中国と韓国は,新型コロナウイルスの陰性が確認されたビジネス関係者に限って,両国の行き来を認めるやり方をとっております。中国が日本に対しても,同様の仕組みでの人の往来を認めるよう打診したという報道がございましたが,この事実関係と,あとこういった形の往来についての,現時点でのお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】人の往来の再開のためには,まず,日本での感染拡大の収束が必要であると考えておりまして,同時に海外の状況をもう少ししっかりと見極めた上で,国によっては第二波が来ているという国もあるわけでありまして,海外への渡航が安全か否かについて,相手国における感染状況等,様々な情報を総合的に勘案して,移動についてどういうアプローチが可能か,検討していきたいと思っております。
 「ファストトラック」と呼ぶかどうかは別にしまして,仮にこの入国制限等々,移動制限等々を緩和する場合でも,ステップバイステップといいますか,段階を分けてやっていくということになるのではないかなと思います。
 おそらく最初は,人でいいますとエッセンシャル人材といいますか,どうしてもビジネス上の必要な人であったりとか,専門家であっていろいろな意見交換が必要な人であったりとか,そういう必要不可欠な人材というのが急がれるのだと思います。なかなか観光客も含めて一般ということになると,それよりはかなり遅い段階ということになると思います。
 グループをいくつに分けるかというのはあると思いますけれども,考え方というのはそういうステップバイステップで必要な人からと。あまり複雑にしたいとは思いませんけれども,そういうステップバイステップ。
また国につきましても,1か国1か国というよりも,1か国を見ていきますけれど,段階的にこのグループといいますか,だいたいこの10か国ぐらいが最初に来るとか,次に何か国か分かりませんけれど来る。こういう形になるのではないかなと思っております。
 そして,例えば昨日もハンガリーなどの場合は,ハンガリーの方で既に日本のビジネスマン等々の受入れを,昨日から認めるという形をとったわけでありますけれど,できれば,日本での措置と相手国との措置が同時に行われる,もしくはそんなにタイミングがずれずに行われる,こういったことが望ましいと,そんなふうに思っています。

新型コロナウイルス感染症(WHO総会への台湾の参加)

【朝日新聞 佐藤記者】今度のWHOの総会についてお伺いしたいんですけれども,大臣は以前,衆議院外務委員会で台湾の総会参加が困難になっているという状況について,率直に言って,中国の問題があるというふうにおっしゃったんですけども,そこに込めた思いといいますか,問題意識についてですね,今一度確認をさせていただけたらと思います。

【茂木外務大臣】あの答弁で申し上げたと思うのですけれども,我が国は従来より感染症等国際保健分野での課題への対応にあたっては,地理的空白を生じさせるべきではないと考えておりまして,この立場をWHOで一貫して主張してきているわけであります。
 係る観点から,我が国は台湾のWHO総会のオブザーバー参加,一貫して支持をしてきているところであります。重要なのはそちらなんですね。それができていないと,なぜなのかと言ったら,いくつかの理由があるでしょうけれども,例えばということで申し上げたということです。

新型コロナウイルス(「アビガン」無償供与の最新の調整状況)

【産経新聞 原川記者】いつも伺っているんですが,「アビガン」なんですけれども,また,供給の最新の状況について教えていただきたいと思います。

【茂木外務大臣】「アビガン」についてでありますけれども,そんなに数は変わっていないのですが,80か国近くから,外交ルートで提供の要請を受けているところであります。これまでに3か国,エストニア,オランダ,カザフスタン,これに既に提供いたしまして,昨日,更に,インドネシアに対して提供を行った他,既に45か国について,具体的供与調整済みという形でありまして,今までに出た国がインドネシアを含めて4か国,出すための調整が終わっている国が45か国という形であります。
 本件の供与につきましては,各国から高い関心が寄せられておりまして,先日のエストニアに加えて,昨日のハンガリーの外相会談,また一昨日,タイの外相会談を行ったところでありますが,私(大臣)から,「アビガン」錠の提供を伝達いたしまして,先方からそれぞれに謝意が述べられたところです。

新型コロナウイルス(WHOの初期対応に関する調査)

【共同通信 小野塚記者】コロナ対応の世界的な検証についてお伺いします。大臣は今日の外務委員会で,発生源や初動対応の問題点,WHOの機能が発揮されていたかについて,独立性を持った機関によって行われることが重要だと答弁されました。この独立性を持った機関が必要だと考える理由と,あと,枠組みができた場合に,中国や日本も参加するべきかなど,どういった枠組みのイメージをお持ちでしょうか。

【茂木外務大臣】三つのことを言ったと思うんですけれども,一つは,まず今回のような世界に甚大な影響を与える感染症に対しては,WHOを中心に,国際社会が一致して対応することが必要であると,まさに今はその状況だということであります。
 その上で,今後,同様の事態に備えるためにも,WHOの機能について,また初期対応にどういう問題があったか等々について,今回の事態が収束した後に,十分な検証,これが行われなければならないと。
 そして,その検証の結果というのは,各国が,国際社会が納得するようなものであるべきだと思っておりまして,そのためには,公平で独立した包括的な検証が行われることが重要だと考えております。
 ではどういった形で,公平性や独立性を保っていくか,これは,今後,関係国間で議論していくことになると思います。

新型コロナウイルス(WHO総会への台湾の参加)

【NHK 木村記者】WHOの台湾のオブザーバー参加について伺いたいのですけれども,既に日本としての意向は示されているということなんですが,18日までもう少し時間がありまして,その中で日本として,新たな,更なる働きかけというのは何か考えていますでしょうか。

【茂木外務大臣】来週の月曜ということですから,今,継続中ということであります。台湾もそうでありますし,米国もそうでありますが,連携をしながら継続して,できる限りのことはやるということです。