(令和2年4月14日(火曜日)10時52分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルス(邦人の出国・帰国の支援)

【茂木外務大臣】海外からの邦人の出国帰国についてですが,海外で渡航・移動制限,更に航空便の運休等によりまして,出国・帰国等が困難な国から,これまで邦人出国帰国者数,今日の午前0時時点で,6,400名程度が出国・帰国をいたしました。また,そういった国で帰国を希望している邦人の方が,2,000名強いらっしゃいます。順次,チャーター便のアレンジの支援であったりとか,移動手段の確保であったりとか,現地政府への働きかけ等々,在外公館を中心に続けております。この2,000名強の中で,恐らく今週中に1,200名程度が出国できるのではないか,このように考えております。
 更にざっくり申し上げると,どうにか今週中でなくてもチャーター機の手配であったりとか,いろいろなスケジュールの調整がかなり進んでいる人が400名,あと,今後,調整等を行っていくという人が400名,だいたい全体で言いますとこれぐらいになるんじゃないかなと思います。
 いずれにしてもこういった,特に途上国におられる方と,今後,新型コロナウイルスの急速な感染拡大が進んで,医療状況等々が必ずしも,なんていうか,医療提供体制が脆弱な国々にいらっしゃる方については,早期の帰国を呼びかけ,またそれに向けての支援は引き続き行っていきたいと,こんなふうに考えています。

新型コロナウイルス(本省・在外公館におけるコロナ対策)

【NHK 山本記者】新型コロナの関連で,先週,水嶋領事局長の感染,発表がありましたけれども,その後,領事局をはじめとして,省内で感染の広がりというのは確認されているんでしょうか。それと領事局長不在の間ですね,特に邦人保護の業務が重要になってくると思いますけども,省内での体制ですとか取組,どういったことが必要になってくるとお考えでしょうか,お願いします。

【茂木外務大臣】やはりこういった邦人の保護等々を進めるに当たっても,外務省で感染の拡大を防いでいくことが極めて重要でありまして,外務省本省,それから在外公館双方におきまして,手洗い,そして咳エチケット等の徹底,そしてテレワーク,時差出勤の活用,更には複数チームに分けて出勤する等の感染防止策を講じてきておりまして,これを更に強化をしていきたいと思っています。
 領事局,これまでも武漢のオペレーションから始まりまして,たいへん業務量が多い中で,他局からも応援が入って,充実した体制で物を進めてまいりましたが,基本的にはもともとの領事局の人間を半分以下にすると,こういう体制ですでに取組をしているところであります。
 水嶋局長個人につきましては,現在,保健所の指示に従いまして,自宅で療養しております。週末に私が電話しましたら,非常に元気そうと言うとあれですけれど,普通の状態でありまして,病状は安定していて咳などの症状はない,このように聞いているところであります。
 水嶋局長自身は,先週の木曜日,9日の夜に発熱をしましたが,その前から,家族の看病もあって在宅勤務に入っていまして,保健所の判断として,外務省内に濃厚接触者はいないということでありますが,また外務省以外との関係についても,保健所の調査によって,濃厚接触者は局長の家族のみと認定をされていると,そのように報告を受けているところであります。
 水嶋局長がそういった形で,今,自宅で療養しているかにつきましては,辞令を発令するとか替わるということではありませんが,山田総政局長に実務的には仕事を代行してもらうと,こういう形をとっているところであります。

新型コロナウイルス(ASEAN+3特別首脳テレビ会議)

【ベトナムテレビ Vu Duc Cuong記者】今日は,新型コロナウイルスについて,ASEAN+3の会議がインターネット上で開催されますが,この会議はコロナウイルスの感染の抑制する戦いに対する,どんな意味があると思いますか。ベトナムの開催役をどう評価しますか。

【茂木外務大臣】本日,ASEAN+3特別首脳会議が開催され,日本からは安倍総理が出席をしまして,この新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた各国の取組,更にはASEANを含めた国際的な協調について話合いが持たれる,そのように考えております。日本としても,先般のG7及びG20の首脳テレビ会議での議論を踏まえて,積極的に議論に貢献していきたいと考えております。
 会議の内容,これは首脳レベルでやることなので,まだ完全に,こうなりますということをお話することはできませんが,いずれにしても感染症対策,更にはそれと関連した国際協力,そして経済にも影響が出ておりますので,それぞれの経済政策,また,経済財政運営での連携,こういったことが議論をされるのではないかなと思っております。それから,先般決定しました経済対策,そこの中でのコロナ対策,また,途上国支援策等々についても,この会議で発言があるのではないかなと思っております。
 本年のASEAN議長国でありますベトナムの呼びかけで,今回のASEAN+3,この首脳のテレビ会議が実現したわけでありまして,議長国のリーダーシップ,ベトナムのリーダーシップを評価したいと思います。

新型コロナウイルス(入国制限国の外交官の外交ビザ)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための水際対策により、外交官の入国も制限されていると承知します。このような状況において、各国大使館のような外交団との協力が重要だと考えますが、日本が入国を禁止している国の外交官の外交ビザについての外務省の方針について教えてください。このような国の外交官は日本に入国できるのでしょうか、また、どのような手続きを経るのでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 基本的に今はですね,レベル3になっている国からのですね,外国の方については,特段の事情がない限り,入国拒否,上陸拒否という措置をとっておりますが,外交というのは重要でありまして,そういった意味で,個々の事情をそれぞれにお聞きすることになりますが,外交団の方からビザの申請等々がありましたら,その状況等々をお聞きした上で,迅速に対応して発給するような手続を取りたい,このように考えております。

日韓関係

【産経新聞 力武記者】日韓関係についてお聞きしたいと思います。明日15日に,韓国の国会議員の選挙が行われますけれども,政権与党・野党,いずれが勝つとしてもですね,日韓間の旧朝鮮半島出身労働者の問題というのが,なかなか解決していないという状態は,今後も続くと思われます。そうした中で,日本企業の資産現金化というのが,いつ行われるか分からない状態も続くわけですけれども,この問題について改めて,日本としてどのように対応していかれるおつもりか,お考えをお願いいたします。

【茂木外務大臣】日本として,韓国政府が今の国際法違反の状態を,一日も早く是正することを強く求めているところであります。選挙の結果に拘わらず,仮にこの差し押さえの資産の現金化というものが進んだ場合は,より問題が深刻化する,そのようなことがないようにということについても,私(大臣)からも,韓国政府,康京和(カン・ギョンファ)外交部部長に対しては,強く指摘をしているところであります。

新型コロナウイルス(大洋州島嶼国への支援)

【読売新聞 大藪記者】コロナ対策に関しまして,お伺いしたいんですけれども,大臣,昨日,フィジーの外務大臣と会談をされまして,医療物資支援等に関する資金拠出などについて表明されたかと思います。改めて,フィジーにとどまらず島嶼国に対して,日本としてどのような支援を行っていかれるか,お考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】フィジーは今,感染者16人と,決して多い数ではないと思いますが,そうは言いましても医療体制等々を考えると,非常に新型コロナウイルス感染症の拡大について,強い危機感を持っているというのは,昨日の電話会談でも感じたところであります。
 恐らく,途上国であったりとか,また太平洋島嶼国の中には,そういう意識を持たれている国も多いんじゃないかなと。実際にこのコロナウイルスの拡大,全世界に及ぶ,こういう状況になっているのは間違いないと考えております。
 昨日の電話会談では,フィジーを含みます太平洋島嶼国に対して,UNICEF,そして,国際赤十字を通じて技術支援・医療物資供与等を行うため,約340万米ドル,日本円にしますとだいたい3.6億円,これぐらいになりますが,拠出を行うと日本の支援について説明をさせてもらいまして,セルイラトゥ大臣,向こうの外務大臣の方から謝意が表明されたところであります。
 7日には,太平洋島嶼国を含めた途上国におけます,感染拡大防止予防のための支援策,閣議決定いたしました。各国のニーズを踏まえた二国間の無償資金協力によります医療機材の提供であったり,国際機関によります技術協力,こういったことを進めていきたいと考えております。
 各国の取組は極めて重要です。しかし,人の流れがこれだけグローバル化になり,また感染症というものがこれだけ世界的に広がる中で,国際協力というのは極めて重要だと思っておりまして,日本もその先頭に立ち,コロナとの戦いに打ち勝っていきたいと思っています。

新型コロナウイルス(終息後の世界経済に対する日本の役割)

【朝日新聞 佐藤記者】今の質問と若干重複するかもしれないんですけれども,今,感染拡大の局面と戦っている最中ではあるんですけれども,今後,終息ということになってきた場合にですね,日本がいかに世界の復興っていうものを主導するかっていうのが問われてくるかと思うんですけれども,その復興に向けて,日本として世界の復興を主導する姿勢の在り方と,あとは,具体的にどのようなことを行っていきたいかっていうことを教えていただきたいんですけれども。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。ちょっと質問の趣旨が完全には取りきれてないんで,もう一度おっしゃっていただけますか。

【朝日新聞 佐藤記者】そうですね,コロナウイルスの終息後に向けてですね,どういうふうに日本として世界の復興を主導していきたいかということと,そのために具体的にどういったことを行っていかれたいかということなんですが。

【茂木外務大臣】今回の緊急経済対策,ご案内のとおり二つのフェーズに分かれております。最初が,まさに新型コロナウイルス感染症の拡大防止,そして沈静化に向けた対策ということになってくるわけであります。この中は更に二つに分かれておりまして,一つがコロナに対するそのものの対策,そしてもう一つが,今,様々な形で直接影響を受けている方,家計そして雇用,さらには事業,これに対する家計を支え,そしてまた雇用を維持し,そして事業を継続させる,このための対策,こういったものが第1フェーズとして盛り込まれているわけであります。
 更には,第2フェーズ,このコロナが一定の沈静化,これを見せてきた段階から,日本経済をV字回復させていくと。このための,観光業であったりとか,運輸業,更にはエンターテイメント業,そういった大きな影響が出ている産業,またインバウンド等の低迷によりまして影響の出ている地域,これに対する対策を手厚くとっていくと。
 更には,今回の新型コロナウイルスによって明らかになったサプライチェーン,これの在り方,グローバルのサプライチェーンを一国だけに依存している形から,複数国からの調達が可能になる。もしくは,海外で今まで生産していたものを国内で生産するような形に復帰をさせていく,この支援を行っていくと。
 そしてもう一つ,今回,テレワークも進めておりますが,様々な技術革新を活用することによって,働き方とかサービスの提供の仕方というのを変えていくと。テレワーク,遠隔教育,遠隔医療,こういったものを5Gであったりとか,様々な技術革新を使って行っていく。それを企業等がそれに対応するために,必要な資金提供であったりとか支援を行っていくと,こういう形になるわけであります。こういった一連の対策をとるのが,まずは主要国間での様々な形を,経済財政運営での連携・協調というものが必要になってくると思っているところであります。
途上国関係等で言いますと,第1フェーズにおきますコロナの拡大防止の中で国際協力,これは二国間の資金協力もありますし,国際機関を通じた協力,更には治療薬であったりとか,ワクチンの開発,こういったことも進めていくような対策をとっていくことになります。
 そして,その後での国際経済の基本的な発展のためといいますか,回復のために何をするかというのは,基本は各国が,第2フェーズで私(大臣)が申し上げたような措置をとることによって,まずは,それぞれの国の経済,これを立ち直らせる,回復させる,こういったことが必要なんだと思っております。その上で,そのような経済の回復がどうしても遅れてしまう国,途上国等で出てきたら,その段階で,新たな様々な経済援助等々は考えると,こういう道筋ではないかなと思います。