2020年4月13日

同時発表:環境省

経済産業省及び環境省は、2省所管の44業種が策定する低炭素社会実行計画について、2018年度実績に基づく評価・検証を実施し、結果を取りまとめました。また、低炭素社会実行計画をはじめとする産業界における地球温暖化対策の取組について、国内外への情報発信を拡充するために、ホームページやパンフレットを作成しました。

1. 背景

一般社団法人日本経済団体連合会及び115業種の業界団体は、CO2排出削減に向けた自主的な取組として、低炭素社会実行計画を策定しています。低炭素社会実行計画は、「地球温暖化対策計画」(平成28年5月13日閣議決定)において産業界における対策の中心的な役割として位置付けられており、関係審議会による厳格かつ定期的な評価・検証を実施することされています。同方針に基づき、業界団体における取組の透明性や信頼性を向上させるため、経済産業省は「産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会」の下に7つの業種別ワーキンググループ(以下、業種別WG)、環境省は中央環境審議会地球環境部会低炭素社会実行計画フォローアップ専門委員会(以下、専門委員会)を設置し、毎年度、所管業種分の評価・検証を実施しています。業種別WG及び専門委員会でのフォローアップ結果は、「産業構造審議会地球環境小委員会・中央環境審議会低炭素社会実行計画フォローアップ専門委員会合同会議」(以下、合同会議)に報告され、評価・検証結果及び今後の課題等を整理しています。

2.評価・検証の結果及び今後の課題等の概要

2019年度は、業種別WG及び専門委員会において、2018年度実績に基づく低炭素社会実行計画の評価・検証が行われ、2020年3月19日から3月27日の期間で書面開催された合同会議において、評価・検証結果及び今後の課題等を取りまとめました。

2019年度低炭素社会実行計画評価・検証及び今後の課題等(合同会議資料)

(1)国内の企業活動における2020年及び2030年の削減目標について

経済産業省及び環境省所管の44業種のうち、2020年目標は31業種、2030年目標は18業種が達成しており、前倒しで着実に取組が進められています。

経済産業省41業種+環境省3業種 2020年目標 2030年目標
2018年度実績が目標水準を上回る 31業種 18業種
基準年度比/BAU1比で削減しているが、2018年度実績において目標水準には至っていない 9業種 23業種
2018年度実績が基準年度比/BAU比で増加しており、目標水準には至っていない 2業種 1業種
データ未集計等 2業種 2業種

1何も対策をせず現状を維持した場合(Business as usual)

(2)他部門での貢献、海外での貢献、革新的技術開発の開発・導入について

経済産業省及び環境省所管の44業種の取組状況は以下のとおりです。すでにリストアップやCO2削減量の定量化を実施している業界団体においては、リストアップの項目を増やしたり、定量化の計算方法を精緻化したりするなど、記載内容の充実が図られました。

経済産業省41業種+環境省3業種 取組についてリストアップを実施した業種数 リストアップを実施した業種のうち定量的記載がある業種数
他部門での削減貢献 41業種 28業種
海外での削減貢献 26業種 15業種
革新的技術の開発・導入 32業種 10業種

(3)今後の課題等について

低炭素社会実行計画の今後の課題等について、以下のとおり整理されました。

  • 目標達成に向けた取組強化
    経済産業省及び環境省所管の44業種のうち、10業種が目標を見直しており、PDCAサイクルが確実に機能していることを確認しました。今後も、2030年目標を前倒しで達成している業種については目標の引き上げ余地がないかを点検する等、計画の不断の見直しを行っていくことが必要です。
  • 2030年目標の点検
    業種別WGにおいて、地球温暖化対策計画において産業界の中心的役割として位置付けられている低炭素社会実行計画と、我が国の2030年目標との整合性について、説明を求める意見がありました。2020年はパリ協定の実行段階に入り、我が国のNDC2達成に向けても重要な最初の年です。低炭素社会実行計画が着実に進捗しているかどうか評価するためにも、政府の2030年目標に対する産業界の貢献度合いも念頭に入れたフォローアップの在り方について検討を深めていくことが重要です。

    2国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution)

  • 他部門貢献・海外貢献
    環境性能の優れた製品・サービス等の国内外への普及等により、バリューチェーン全体を通じて排出削減に貢献していくことが重要です。国際的な環境情報開示の流れを踏まえつつ、投資家等に対してこれら削減貢献の情報を発信することで、日本企業の貢献や強みが国際的にも評価されることが期待されます。
  • 情報発信の強化
    これまで蓄積してきた削減事例、成果、及びその方法等を国内外に発信していくことで、グローバルな排出削減に貢献していくことが必要です。

3.情報発信について

産業界が低炭素社会実行計画をはじめとした自主的な取組を通じて、積極的に地球規模の温暖化対策に寄与していることを国内外に情報発信していくことが重要です。このため、経済産業省は、経済産業省の日本語・英語のウェブサイトに、産業界における温暖化対策の自主的取組に関するページを立ち上げました。さらに、低炭素社会実行計画の認知度向上を目指し、日本語・英語のパンフレットを作成しました。 これらの取組を通じて、より積極的な発信を実施してまいります。

  • パンフレット

関連資料

担当

産業技術環境局環境経済室長 梶川
担当者: 小西、小沢

電話:03-3501-1511(内線 3453)
03-3501-1770(直通)
03-3501-7697(FAX)