2020年3月31日(火曜日)
10時08分~10時24分
於:記者会見室

冒頭発言

G20貿易・投資大臣会合

まず1点目、昨夜、G20貿易・投資大臣会合に若宮外務副大臣とともに出席をし、新型コロナウイルスの感染拡大が国際貿易投資に与える影響やその対策についての意見交換を行いました。

私からは部品調達や物流面での日本企業の懸念を伝え、不必要な貿易制限措置を採らない等、サプライチェーンを途絶させない努力を継続すべきこと。
パンデミックが貿易に与える影響評価やWTO改革等を通じ、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を維持すべきこと。
事業活動の継続にデジタル技術の活用が一層不可欠であり、大阪トラックの下で電子商取引ルールの策定、DFFTの実現に向けた取組を加速化すべきことについて述べさせていただきました。

その結果、深刻なサプライチェーンの途絶や消費活動の減退を受け、各国で協調をしていくこと、物流ネットワークを円滑かつ継続的に稼働をしていくこと、また、特定の物資の輸出制限といった緊急的な措置は的を絞り、均衡が取れた透明性のある、かつ、一時的なものでなければならず、WTOルールに整合的であることなどにG20で合意をし、共同声明にしっかりと書き込めたことは大きな成果であると思っております。

今般の合意を踏まえて各国と連携して、サプライチェーンを途絶させない努力を継続的に行うとともに、今後とも日本企業や経済への影響をタイムリーに把握し、必要な対応を迅速に行ってまいりたいと考えています。

中小M&Aガイドライン

2点目、後継者不在の中小企業の事業承継を促進するため、本日、平成27年の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を公表いたします。

この中では、中小企業の経営者に対しM&Aにおける仲介手数料の考え方や客観的な判断基準などを提示するとともに、M&A仲介事業者に対し、守るべきルールを行動指針として示しております。

今後、関係の企業や団体、全国48か所の「事業引継ぎ支援センター」を通じて周知を徹底してまいります。

詳細については、この後、事務方によるブリーフィングで説明をさせていただきます。

関西電力への業務改善命令の手続瑕疵

3点目ですが、3月16日月曜日に関西電力に発出した電気事業法の業務改善命令に係る手続に不適切な点があったことに関して報告をいたします。

電気事業法上、業務改善命令の発出には、あらかじめ電力・ガス取引監視等委員会の意見を聞く必要がありますが、これが事前に行われていませんでした。命令発出の直後に職員が手続漏れに気付き、3月16日に意見聴取の手続を実施することになりました。

その際、資源エネルギー庁の担当部局において、実際は3月16日に電力・ガス取引監視等委員会に意見を求めるものの、業務改善命令の発出前に意見を求めたとの体裁を整えるために、3月15日付で意見を求める内容の決裁を行っていました。

こうしたことが行われた理由は、業務改善命令の手続に不備があったとなれば、対外的な批判を免れないとの懸念があり、手続の不備を隠そうとする意図があったと思われます。

また、こうした不適切な手続を実施していることについて、省内幹部には必要な報告がなされていませんでした。先週3月26日に、業務改善命令に関する決裁文書について情報公開請求があり、業務改善命令の決裁手続に係る事実関係を確認する中で不適切な点があったことを把握するに至りました。

関西電力のコンプライアンス改善を求めている中にあって、こうした不適切な行政手続を行っていたことは誠に遺憾であり、経済産業行政に対する信用を損なったことについておわびを申し上げます。不適切な手続を進めた管理職級の職員や組織全体の監督責任を負うべき事務次官など関係者を厳正に処分するとともに、二度とこうした事態を起こさないよう省内の意識を徹底的に改めるよう事務方に厳しく指示をいたしました。

詳細については、この件につきましても、この後、事務方によるブリーフィングを実施し、説明をさせることといたします。

私からは3点、以上です。

質疑応答

新型コロナウイルス感染の流行に伴う人工呼吸器の需給

Q: 人工呼吸器について伺います。
西村大臣が29日に、経産省で人工呼吸器を3,000台確保し、万が一に備えて更なる増産を調整していると述べられました。この事実関係と、今後の経産省としての方針をお聞かせください。

A: 感染症指定医療機関には8,000台程度が確保されていると聞いております。いずれにせよ、人工呼吸器については今後の感染拡大に備え、メーカーへの国内での増産や輸入拡大を働き掛けることにより、国内供給体制を確保することが重要であると思っております。
今後、コロナウイルスの感染拡大状況や人工呼吸器の需給の状況等を見極めつつ、厚生労働省と連携しながら、対応について検討してまいりたいと考えています。

Q: 関連して、人工呼吸器の増産について、補助金の創設などは検討されているんでしょうか。

A: これも厚生労働省と連携しながら必要な措置を講じてまいりたいと思います。
先ほど申しましたように、感染症指定医療機関には約8,000台程度が今確保されているということで、この状況の推移を見ながらも、一方で、そういう準備も必要であると私どもは思っておりますので、厚労省と連携しながら製造メーカーに確認をしたり、またどういう形で支援をしたらいいのかということも含めて模索中であります。

鉱工業生産指数

Q: 1つは、先ほど発表された鉱工業生産指数で2月分は生産が上向いていますが、今後、新型コロナの関連で厳しい状況になると思われます。サプライチェーンの問題、あるいは需要の減少など警戒されていると思うのですが、現状の受け止めと今後の見通し、どのような産業に、業種に警戒をしていくべきか、どうお考えでしょうか。

A: 今御指摘のように、2月のIIP、鉱工業生産指数は集積回路や電子部品等が生産増となったことにより、前月比で0.4%と、3か月連続の上昇となっております。

先行きは、3月は2月比低下を予測しているところであります。
2月は上昇したものの、3月には低下が見込まれることから、2月の基調判断としては「生産は一進一退ながら弱含み」と据え置いたわけですが、3月は大幅な低下が見込まれると思っております。足下の景気も急速に厳しい状況になっていると認識をしております。
景気全体の先行きは感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれておりまして、また感染症が内外経済を更に下振れさせるリスクに十分注意をする必要があると思います。

昨晩、G20の貿易・投資担当大臣会合をしましたけれども、ここにおいても、それぞれやっぱり足下の経済、大変悪くなっているということで、やはり外出ができない、人の往来が少なくなる、また物の往来が少なくなる、経済が急激に各国とも悪くなっているというような状況も含めて、市場という点、また原料供給も含めてどうなっていくかということに関しては注意深く見守ってまいりたいと思っています。

関西電力への業務改善命令の手続瑕疵

Q: もう1点、冒頭で説明された関電の手続の件なんですが、確認ですが、手続上のミス、瑕疵があって、それを、瑕疵があったことを隠そうとする意図が確認されたということですか。

A: それでやり直したということです。

Q: 隠そうとする意図……。

A: そういう、担当者たちにヒアリングをした結果、そういうことだということですね。

Q: 今後処分を検討されていく。

A: もう処分を検討しています(注)。

Q: すみません、今の関連なんですけれども、個人だけで、担当者個人が隠そうとしたのか、上司といいますか、上の方には全く報告はなかったけれども、情報公開請求があって調査した結果、こういうことが判明したと、そういうことなんでしょうか。

A: 複数名が承知をしていたと思います。ただ、これ、決裁は課長ということで、エネ庁長官や私は残念ながら先週の、私自身は先週の土曜日までこの事実知らなかった。聞かされて、やり直せということであります。私がやり直せと言いましたけれども、やり直す手続を進めていたということであります。

細かいことは、また後のブリーフィングでお願いいたします。

関西電力社員の金品受領

Q: 関電の件で、日付を変えようとしていたりしたということなんですけれども、どういう点に問題があったというふうに認識されているでしょうか。

A: 本来、電取に聞かなければならないのが、聞いていなくて発出をしたということですよね。そして、その後付けでそれが分かって、遡った前日の日付でそういうものを了解をしていたということですから、やはり手続上まずいということで、全てそれはもうやり直しということだと私は思っています。

東京電力と東芝の新会社設立

Q: もう1点、東京電力と東芝の原発の新会社に関してなんですけれども、当初、日立などを交えて、4社で東通原発の建設・運営の共同化が想定されていましたけれども、結局、柏崎刈羽の安全対策工事ということで、メーカー側の原発建設への後ろ向きな姿勢みたいなものが見られたのかなと思いますけれども、大臣としてはどんなふうにお考えでしょうか。

A: これは企業間の話合いですから、私の立場から、政府の立場からはコメントすることは差し控えたいと思っております。当事者間での話合いの結果であると思っています。

関西電力への業務改善命令の手続瑕疵

Q: 先ほどの件ですけれども、訂正はされたと思うんですけれども、一時的に公文書の偽造というか誤りというか、それはどういう形になったというふうに理解すればよろしいんでしょうか。

A: 非常に不適切な手続があったということですから、それでやり直したということであります。

Q: 特に改ざんとか、そういうようなことには当たらないということでよろしいですか。

A: と思っております。手続上の不適切な点があったということで。ですから、中身についてはほぼ、ほぼというか、全部同じですから、回答は昨日頂きましたけれども、その手続がおかしいんであれば手続をやり直せということでやり直したということです。

福島第一原発のALPS処理水

Q: ALPSの処理水に関する意見を伺う場について、昨日、詳細な概要が発表されたんですが、率直に伺って、今、新型コロナの感染拡大とか広がっている中で、今本当に開くんですかという点について、なぜ今開くのか、そういう判断をされたのかという点について伺いたい。

A: これは、2月10日に小委員会の議論の結果が公表されたということでありまして、やはりそういったことも含めて続けてやっていくということだと思っています。
それで、今コロナウイルスの関係で今やるべきかどうかというお話がありましたけれども、コロナウイルスが開催に与える影響については最新の状況をよく見極めながら、必要な対応を執ってまいりたいと思っております。

感染拡大の防止の観点も踏まえて会場での一般傍聴不可とさせていただいていますが、全ての議事についてはインターネットによる生中継を行い、どなたでも御覧いただける環境整備をしていこうと思っております。する予定であります。
一般の方からの御意見についても書面で募集させていただくことで、どなたでも意見表明ができる環境を整えて、透明かつオープンな運営を行うことを心掛けたいと思っております。

コロナウイルスが最優先、その対策が最優先だとは思っておりますけれども、このことで間を空けるのもどうかなという思いもありますので、万全の体制を執った上でこういう形にさせていただいているということで、更にまた注意を重ねて開催をしてまいりたいと思っております。

Q: 福島県も東京との往来を自粛するよう求めたりしている中で開催すると、何というのか、手続を急いでいるというふうに受け止められてしまわないのかなと。感覚から、スケジュールありきと。

A: 私の感覚からすると、2月10日に発表があって、そこからずっと何もしないというよりは、万全を期した上でこういう意見を伺う場を重ねていった方が私自身はいいと思っているし、そういった方針の下に開催をさせていただくということで、そこに大勢を集めて危険な状態にするというよりは、危険のない状況でやらせていただきたいと思っております。

関西電力への業務改善命令の手続瑕疵

Q: 1点確認なんですが、さっきの関電の手続に関しては、ちょっと言い方でよく分からなかったです。手続上、決裁文書の改ざんということはなかったという認識なんですか。

A: 非常に不適切な手続であったということ、日付に関してですね、と思っております。ですから、取り直しをして正規の形で業務改善命令を出し直させていただいたということです。

Q: 改ざんはなかったんですね。

A: はい。

Q: すみません、ちょっと聞き漏らしていたらごめんなさい。関電の先ほどの業務改善命令に関する手続上の不備で大臣の御認識としてお伺いしたいんですけれども、手続上の不備が中身、改善命令の中身に対する影響はどのようにあったか、なかったか、その辺の認識を、評価を。

A: これは手続が前後したということで、中身にはなかったと思っております。

Q: 中身には影響なかった。

A: はい。

(注)正確には、発言の時点で処分を実施していました

以 上

最終更新日:2020年3月31日