茂木外務大臣会見記録

【NHK　山本記者】新型コロナウイルスの関連で韓国政府について伺います。政府は昨日，韓国からの入国者に指定場所での2週間の待機を要請する措置などを決めましたが，これについて韓国外務省が「過度な措置できわめて遺憾だ」とする声明を出し，今日午後，康京和（カン・ギョンファ）外相が富田大使を呼んで抗議をしました。大臣，これに対する受け止めと，今回日本側の措置について韓国側にはどのように今後説明して理解を求めていくお考えでしょうか。お願いいたします。

【茂木外務大臣】これまで，政府として，新型コロナウイルス感染症の国内での蔓延を防ぐために，様々な抜本的な対策を講じてきたところであります。今，世界全体を見ますと，中国で発生し，大きく拡大し，そして韓国も感染者が6,000名を超えるという状況で，まさに今が正念場であると考えておりまして，国内対策はもとより，機動的な水際対策についても極めて重要であると，こういった認識から今回の措置を講じたものであります。
　中国，そして韓国に対しましては，今回の措置を採ることに関しましては，きちんと通報致しております。そして，これはあくまで日本国内における感染症の拡大を防止するための措置であると，こういったことは富田大使からも康京和外交部長に丁寧に説明しております。

【読売新聞　阿部記者】昨日，総理が入国制限を表明された際に，発給済みの一次・数次ビザについては効力を停止するということですけれども，新規のビザ申請については発給する場合があるのかどうか，どのような方針で対応するかお聞かせください。

【茂木外務大臣】こういう状況でありますから，基本的には慎重な審査が必要だと思っておりますが，人道上の配慮等から必要なケースについては，個々の事情を精査した上で，適切に対応することとなると考えております。

【パンオリエントニュース　アズハリ記者】
（以下は英語にて発言）

　入国制限措置について伺います。現在，主に，中国，日本，韓国，イタリア，イラン，アラブ諸国等からの旅行者に対して，入国制限を課す国が多くあります。このような入国制限措置は，日本と韓国の間でさらにエスカレートしているようです。これは，一般市民の生活や人権，旅行の自由に影響を与えています。このように，日本からは誰も入国できないとして，入国制限を課すイラクやサウジアラビア等のアラブ諸国を含めた国々に対して，日本政府はどのようなメッセージを伝えますか。また，入国制限措置については，全ての国が新型コロナウイルスから自国を守るためにも，統一した国際的な取組が確立されるべきと考えますか。

【茂木外務大臣】
（以下は日本語にて発言）

　まず米国の入国制限等の措置でありますが，日本に対してそのような措置を採るという話は現時点で聞いておりません。そのような話にはなっていない，そのように承知をいたしております。
　その上で外国人の入国を認めるか否か，認める場合にどのような条件下にこれを認めるかについては，一般に国家の裁量に属する，このようにされているわけであります。その上で，例えば我が国が締約国となっております人権・諸条約が，感染症対策を適切に実施する観点から国内法令に従って，外国人の入国の適否を判断することまで禁じているものとは考えておりません。もちろん今回の新型コロナウイルス感染症，これの拡大，この経験を受けまして，今後様々な形で，国際的な協力体制を築いていくということは極めて重要だと思っておりますが，基本的に入国制限等々の措置について，それは先ほど申し上げたような各国の判断に属するものだと，こんなふうに考えております。

【日経新聞　加藤記者】今回のビザの効力の停止が当面3月末までということですけれども，そもそもどういった基準でこの韓国，中国を対象にしたのかという点と，この措置を更新するかしないかというのはどういった基準に基づいて判断をされるのでしょうか，お伺いします。

【茂木外務大臣】冒頭申し上げたように，感染者の数，そしてまた拡大の状況，更には人的往来の多さ少なさ，そういったことを総合的に判断して，今回の措置については決めさせていただいたという状況であります。そしてこの新型コロナウイルスの拡大の状況，日々刻々と変わっているわけでありまして，そういった状況を見極めながら，措置については考えていかなければならないと思います。
　もちろん，例えばビザの停止についても3日間だけ停止するとかそういうものではありませんので，一定のスパンをとらせていただいて，3月末まで実施するということにさせていただいた次第であります。その後どうするか，当にこれは今後の推移と，こういったものを見ながら判断していくものだと思っております。

【テレビ朝日　大石記者】新型コロナウイルスの関連で，ハンガリーのブタペストで，日本人の団体観光客の方15人が，新型コロナウイルスに感染した疑いで病院に搬送されたと一部報道がありました。今，外務省で把握されている事実関係を確認させていただければと思います。

【茂木外務大臣】現地時間昨日の夕刻（3月5日(木)夕刻（現地時間）），ハンガリー政府新型コロナウイルス対策本部は，邦人観光客15名を新型コロナウイルス感染症の疑いで，ブダペスト市内の病院に搬送して，隔離措置下においた旨発表いたしました。
　在ハンガリー日本国大使館においてハンガリー政府等と緊密に連携しつつ，邦人保護の観点から必要な支援を行っていきたいと思っております。
　ハンガリー当局によると，15名の体調は良好ということでありまして，ハンガリー，もうそろそろ朝になるところでありまして，この15名の方とも連絡を取って必要な措置を採っていきたいと思います。

【NHK　高野記者】韓国側の反発について重ねてお伺いします。康京和外相は，「非友好的であるだけでなく，非科学的だ」と強く反発しています。先ほど大臣は，康京和さんには丁寧に説明していると言われましたが，理解が得られているようには思えないんですけれども，どのようにお感じでしょうか。またこういった反発は想定したうえで，それでも優先することがあるということでの今回のご判断なのでしょうか。

【茂木外務大臣】これはあくまで先ほど申し上げたように，日本国内においてコロナウイルス感染症の拡大を防止する，こういう観点から採っているわけであります。そして韓国におきまして今，感染者の数が急激に増え，6,000人を増えているというのは事実であります。そういう事実に基づいて採っている措置でありまして，外交上の観点であったりとか，何らか他の問題に関連付けて採っている措置ではありません。こういったことについて引き続き，きちんと説明していきたいと思っております。

【朝日新聞　竹下記者】日本から渡航の際の，他国が採っている入国制限の関係なんですけれども，今日，大臣，国会でも今日の時点で24か国・地域だというふうにおっしゃっておりましたけれども，先月の27日の時点では11か国でした。日本から国内の対策について説明はしていると思いますけれども，こういった制限をしている国が増えている現状について，大臣，どのように受け止めていらっしゃるかお願いします。

【茂木外務大臣】何度も申し上げておりますけれど，そういった措置を採っている国，これは日本だけについて採っているわけではございません。日本を含めて新型コロナウイルス感染症の発症が確認をされている，こういう国・地域からの制限を採っていると，また危険情報の発出をしていると，このように理解いたしております。

【東亜日報　キム記者】昨日，14日間，待機要請措置で韓国側から日韓関係がもっと，冷え込む恐れがあるという声が出ているんですけれども，今回の措置が日韓関係にどのような影響を及ぼすのか，お考えを伺いたいです。

【茂木外務大臣】先ほどから繰り返しておりますが，今回は，外交上の政策として採っている措置ではありません。あくまで日本国内におけます，新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する，今が，その極めて重要な時期だと，このように考えて採っている措置であります。更に言いますと，この措置，時限措置として実施をしているものでありまして，これが何らかの形で日韓関係に悪影響を及ぼすとは考えておりません。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル　千浦記者】隔離の措置を考えられていらっしゃるというようなことが表明されていますけれども，そのための具体的な場所や人員の用意はあるんでしょうか。それからまた，それが大幅な人権侵害にあたるというような非難も予想されますが，それをどうお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】前者につきましては，厚労省に方にお聞きをいただきたいと，そのように思っております。その上で移動制限等の措置につきましては，先ほど英語の質問にお答えしたとおりであります。

【NHK　山本記者】新型コロナの関係で，アメリカのクルーズ船のグランド・プリンセス，カルフォルニア沖を航行中ということですけれども，アメリカの保健当局の方で感染者の調査を行っているそうですけれども，日本人の乗員・乗客について，把握している情報があればお願いします。

【茂木外務大臣】乗客3名，乗員1名が乗船した乗船だと，このように承知をいたしております。

【NHK　高野記者】水際対策の関連でお伺いします。中国，韓国に対する発給済のビザの効力停止ですけど，具体的に何人くらいのものになるんでしょうか。発給済みのビザの効力停止というのは，そもそもどういった効果を見込んでいるのかという意味で，質問したいんですが，要は，今，停止されるものは，何人分くらいのものになるんでしょうか。

【茂木外務大臣】ちょっとごめんなさい，数字持ってないんで，聞いてください。事務方が説明します。

【NHK　高野記者】分かりました。規模を知りたかったということです。

【茂木外務大臣】すみません。聞いてください。