2020年2月25日

本日、「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。本法案は第201回通常国会に提出されます。

1.法改正の背景

自然災害の頻発、中東等の国際エネルギー情勢の緊迫化、再生可能エネルギーの拡大等、電気供給を巡る環境変化を踏まえ、災害時の迅速な復旧や送配電網への円滑な投資、再エネの導入拡大等のための措置を通じて持続可能な電気の供給体制を確保することが必要です。
これを踏まえ、強靱かつ持続可能な電気の供給体制を確立するため、送配電事業者に対する災害時連携計画の策定義務、再生可能エネルギーの新たな導入支援制度の創設、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の業務の追加をはじめとする、以下の措置を講じます。

2.法律案の概要

(1) 電気事業法の一部改正

①災害時の連携強化

  • 災害時に迅速かつ効率的に対応できるよう、送配電事業者に、共同して、相互の連携に関する事項等を記載した災害時連携計画を策定することを義務づけます。

  • 経済産業大臣の求めに応じ、災害復旧時に送配電事業者が自治体等に対して、戸別の通電状況等の情報提供を義務づける等の措置を講じます。

②送配電網の強靱化

  • レジリエンス強化の観点から、プッシュ型のネットワーク整備計画(広域系統整備計画)の策定業務を電力広域機関の業務に追加するとともに、送配電事業者に既存設備の計画的な更新を実現するための義務を課します。

  • 送配電網の強靱化等の実現のため、経済産業大臣が事業者の投資計画等を踏まえて収入上限を定期的に承認し、その枠内でコスト効率化を促す託送料金制度を創設します。

③災害に強い分散型電力システム

  • 特定エリア内で分散小型の電源等を含む配電網を運営しつつ、緊急時にも独立したネットワークとして運営可能となるよう、配電事業を法律上位置付ける等の措置を講じます。

(2) 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法) の一部改正

①市場連動型の導入支援

再生可能エネルギー発電事業者の投資予見可能性を確保しつつ、市場を意識した行動を促すため、固定価格での買い取りに加えて、新たに、市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度(FIP制度)を創設します。

②再生可能エネルギーポテンシャルを活かす系統増強

これまで地域の送配電事業者が負担していた、再生可能エネルギーの導入拡大に必要な地域間連系線等の系統増強の費用の一部を、賦課金方式で全国で支える制度を創設します。

③再生可能エネルギー発電設備の適切な廃棄

太陽光発電が適切に廃棄されない懸念に対応するため、発電事業者に対し、廃棄のための費用に関する外部積立て義務を課します。

(3) 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(JOGMEC法)の一部改正

①緊急時に、電気事業法の規定に基づく経済産業大臣からの要請により、LNG等の発電用燃料をJOGMECが調達する業務を創設します。

②LNGの調達先の多様化や金属鉱物の安定的な供給を確保するため、JOGMECに天然ガスの積替・貯蔵基地や金属鉱物の採掘・製錬事業に対する出資等業務を追加します。

関連資料

担当

資源エネルギー庁 長官官房エネルギー制度改革推進室
総合調整官 稲邑
担当者:三宅、片岸、吉倉

電話:03-3501-1511(内線4432)
03-3501-9482(直通)
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